【2024年】太陽光発電の発電量はどれくらい?発電量の計算式を1日あたりまで詳しく解説!
こんにちは!
「太陽光発電と蓄電池の見積サイト『ソーラーパートナーズ』」記事編集部です。
太陽光発電が業者に言われた通りの発電量になるのか、不安に感じますよね?
でも、安心してください。
この記事を読めば太陽光発電がどれぐらいの発電量になるのか簡単に計算することができるようになります。
「kWとkWhの違い」や「1日あたりの発電量」についても解説しています。
もし内容が難しければ、条件を入力するだけで発電量がわかるシミュレーションも用意しています。
太陽光発電を設置してから「思ったよりも発電しない」といったことにならないように、この記事を読んで発電量を確かめてみましょう。
また発電量の他にも事前確認しておくべきポイントは多くあります。
併せて太陽光発電のメリット・デメリットを確認することもお勧めします。
- 1 太陽光発電の経済メリットは発電量で決まる
- 2 太陽光発電の年間発電量は1kWあたり1,000~1,200kWhが目安
- 3 都道府県別の日照時間ランキング
- 4 kWキロワットとkWhキロワットアワーの違い
- 5 太陽光発電の発電量と収支のシミュレーション
- 6 収支シミュレーション(万円)
- 7 太陽光発電の発電量はどうやって計算するのか?
- 8 太陽光パネルの発電量
- 9 システムによるロス
- 10 太陽光発電の発電量の計算式
- 11 太陽光発電システム5.0kWの発電量と収支の計算 モデルケース
- 12 平均的な回収年数は約10年
- 13 発電量についてよくある質問
- 14 日照時間から算出されたおかしなシミュレーション
- 15 発電量を計算するには「日射量」が必要
- 16 まとめ
太陽光発電の経済メリットは発電量で決まる
太陽光発電は太陽光で電気を発電し、自宅で使用することで電気代を削減し、余った電気を電力会社に売ることで売電収入を得ることができます。
では、この『電気代削減』と『売電収入』の2つの経済メリットの大きさが何によって決まるのかというと、それは「発電量」です。
つまり、太陽光発電の経済メリットはすべて発電量によって決まるということです。
発電量について学ぶのと同時に、電気代削減・売電価格についても理解しておくことをオススメします。
太陽光発電の年間発電量は1kWあたり1,000~1,200kWhが目安
では、具体的に太陽光発電が年間どれぐらいの発電量を生み出すことができるのでしょうか。
一般的には太陽光発電の年間発電量は1kWあたり1,000kWhが目安と言われています。
また、経済産業省の資料によると、10kW未満の太陽光発電の平均的な年間発電量は1191kWhというデータ※もとれているようです。
年間発電量をざっくりと計算するときには、「手堅く考えるのであれば1kWあたり1,000kWh」、「実際の発電量に近い数字で考えるのであれば1
kWあたり1,200kWh」で考えるようにしましょう。
全国平均の住宅用太陽光発電の平均設置容量は約5kWです。仮に1kWあたり1,200kWhで計算すると、年間に6,000kWhも発電することになります。
また、4人家族の年間電気使用量はおおよそ6,000kWhだと言われています。太陽光パネルは日中にしか発電しないため、全ての使用電力を発電した電力で賄うことはできず、自家消費(蓄電)と売電のバランスを考えていく必要がありますが、決して少なくない発電量であることが分かります。
メーカーによって発電量は大きく異なる
同じkW数の太陽光発電でも、メーカーによって実際の発電量は異なります。
また、設置できるkW数もメーカーによって異なりますので、メーカー選びによって発電量に大きな差がつきます。
業者によって得意メーカーが異なりますので、太陽光発電を検討するときには複数の業者の提案を比較するのが基本です。
都道府県別の日照時間ランキング
太陽光パネルの発電量を考える上で、切っても切り離せないのはそもそもの日照時間です。日照時間は、太陽が地表に光を当てる時間を表しています。この日照時間が長ければ長いほど、太陽光パネルはより多くの発電ができるということは間違いないです。
日照時間は都道府県によって、地理的条件や気候条件などの要因から差があります。例えば、内陸部や平地では山や海が原因となる悪天候の影響を受けにくいため日照時間が長くなる傾向があります。
都道府県別 日射量ランキング
順位 | 都道府県 | |
---|---|---|
1位 | 大阪府 | |
2位 | 兵庫県 | |
3位 | 山梨県 | |
4位 | 徳島県 | |
5位 | 高知県 | |
6位 | 和歌山県 | – |
引用元:社会・人口統計体系 / 統計でみる都道府県のすがた2024
ランキングに入っていないからと言って悲観的になる必要は全くありません。そもそもこのランキングは毎年大きく入れ替わります。また太陽光発電の効率は、ただ日照時間だけでなく、パネルの角度や方向、さらには太陽光パネルの種類や品質にも影響されます。
太陽光発電は昨今の電気代高騰の影響でメリットを生み出しやすい製品です。日照時間が短くても十分にメリットがでるケースも多く存在します。
kWとkWhの違い
kWとkWhの違いについてはちゃんと把握していますか。
少しややこしいポイントなのでここで解説しておきます。
kWとは何か?
kWとは「瞬間的に発電する電気の大きさ」及び、「瞬間的にどれくらい発電する能力(出力)を持っているか」を表しています。
太陽光発電の設置容量はkWで表されますが、kW数が大きければ大きいほど、たくさん発電する「能力(出力)」を持っているということになります。
ちなみに、太陽光発電の設置容量には以下の2種類があります。
- 太陽光パネルの容量の合計
- パワコンの容量の合計
多くの場合、設置容量は「1.設置する太陽光パネルの容量の合計」を指していますが、「2.パワコンの容量の合計」を表していることもあります。
また、経済産業省に申請をするときには、2種類の設置容量のうち、小さい方の値で申請するといったルールもあります。
混同してしまい、「太陽光パネルとパワコンの容量を比較していた」といったことにならないように注意しましょう。
kWhとは何か?
kWが「瞬間的に発電する電気の大きさ」と「どれくらい発電する能力(出力)を持っているか」を表していたのに対して、kWhは実際の発電量を表しています。
では、具体的に1kWhがどれぐらいの発電量なのかというと、1kWの発電を1時間続けることで得られる発電量が1kWhです。
つまり、「瞬間的な発電に『時間をかけて』発電量を表したのがkWh」ということです。
kWとkWhの違いは勘違いしやすいポイントなので、しっかり理解しておくようにしましょう。
太陽光発電の発電量と収支のシミュレーション
発電量の細かい計算方法を確認する前に、シミュレーションを確認してみましょう。
標準的なシステムを標準的な価格で導入したときのシミュレーションをご確認ください。(設置場所は住宅用太陽光発電の導入件数日本一の愛知県で設定しています)
愛知県で太陽光発電を設置した場合の収支シミュレーション
メーカー | kW数 | 価格 | 回収年数 | 20年目利益 |
---|---|---|---|---|
長州産業(Bシリーズ) CIC (CS-340B81) |
6.12kW | 134.0万円 | 9.03年 | 103.6万円 |
メーカー | kW数 | 価格 |
---|---|---|
長州産業(Bシリーズ) CIC (CS-340B81) |
6.12kW | 134.0万円 |
回収年数 | 20年目利益 | |
9.03年 | 103.6万円 |
電気代削減(年間) | 売電収入(年間) | 導入メリット(年間) |
---|---|---|
70,176円 | 84,010円 | 154,186円 |
収支シミュレーション(万円)
設置費用がどのように回収されるかを示したグラフです。
年数 | 費用 | 導入メリット | メリット(累計) | |
---|---|---|---|---|
0年目 | 134.0万円(設置費用) | 0.0万円 | 0.0万円 | |
1年目 | - | 15.4万円 | 15.4万円 | |
2年目 | - | 15.4万円 | 30.8万円 | |
3年目 | - | 15.4万円 | 46.2万円 | |
4年目 | 2万円(点検費用) | 15.3万円 | 59.5万円 | |
5年目 | - | 15.3万円 | 74.8万円 | |
6年目 | - | 15.3万円 | 90.0万円 | |
7年目 | - | 15.2万円 | 105.3万円 | |
8年目 | 2万円(点検費用) | 15.2万円 | 118.5万円 | |
9年目 | - | 15.2万円 | 133.6万円 | |
10年目 | (設置費用の回収完了) | 15.1万円 | 148.8万円 | |
11年目 | - | 11.6万円 | 160.3万円 | |
12年目 | 2万円(点検費用) | 11.6万円 | 169.9万円 | |
13年目 | - | 11.5万円 | 181.4万円 | |
14年目 | - | 11.5万円 | 192.9万円 | |
15年目 | - | 11.5万円 | 204.4万円 | |
16年目 | 2万円(点検費用) | 11.5万円 | 213.9万円 | |
17年目 | 20万円(パワコン交換) | 11.5万円 | 205.4万円 | |
18年目 | - | 11.4万円 | 216.8万円 | |
19年目 | - | 11.4万円 | 228.3万円 | |
20年目 | 2万円(点検費用) | 11.4万円 | 237.7万円 | |
… | (20年目以降もメリットは出続けます) |
・回収年数=設置費用÷導入メリット
・売電価格: 16.0円/kWh(2024年度中に設置の場合)
・11年目以降の売電価格: 9.0円/kWhと仮定。
・買電価格: 34.0円/kWhを仮定(一般的な家庭の買電価格)
・4年ごとに訪問点検費用2万円を計上
・17年目にパワコン交換費用 20万円を計上(20万円/台×1台)
・毎年0.27%ずつ発電量が劣化していくと仮定。
正確な発電量シミュレーションが必要でしたら見積り依頼をしてください。
シミュレーションを確認していただければ、実際に太陽光発電を設置したときに「どれぐらいの発電量で、どれぐらいの収支になるのか」がイメージしやすいかと思います。
このシミュレーションは全国平均の相場価格をもとに、各メーカーの公表値を使って発電量を計算し、収支のシミュレーションを表示しています。
シミュレーションの『回収年数』というのは太陽光発電を設置することで得られる経済メリットの累計が設置費用を上回る年数、つまり元が取れる年数を表しています。
固定買取期間が終了する11年目以降は、売電価格を11円と想定してシミュレーションしています。
また、このシミュレーションでは20年目までの収支を算出していますが、多くのメーカーがパネルの出力保証を25年で設定していることから考えると、太陽光発電は25年以上使える可能性が高いです。
その場合には、更に経済メリットが積み増されることになります。
太陽光発電の発電量はどうやって計算するのか?
「シミュレーションソフトではなく、自分で予測発電量を計算したい」という方に向けて、計算方法を説明します。
太陽光発電の発電量の計算式は、NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が発行している太陽光発電導入ガイドブックに、下記のように記載されています。
年間予測発電量の算出
そのシステムの年間予測発電量(kWh/年)は、次の式で概算できる。ただし、実際の日射量は、平年値とは異なることもあり、さらに、設置環境(影などの影響)や採用する機器により損失係数が異なることなどの要因があるため予測発電量は、あくまでも目安です。
Ep = H × K × P × 365 ÷ 1
Ep: 年間予想発電量(kWh/年)
H: 設置面の1日あたりの年平均日射量(kWh/m²/日)
K: 損失係数・約73%(モジュールの種類、受講面の汚れ等で多少変わります。)
・年平均セルの温度上昇による損失・約15%
・パワーコンディショナによる損失・約8%
・配線、受光面の汚れ等の損失・約7%
P: システム容量(kW)
365: 年間の日数(日)
1: 標準状態における日射強度(kW/m²)出典: NEDO 技術開発機構太陽光発電導入ガイドブック
つまりわかりやすく言うと、太陽光発電の予測発電量は、
予測発電量=太陽光パネルの発電量 × システムによるロス
によって求めることができるということです。
ではこれらを実際に計算してみましょう。
太陽光パネルの発電量
先ほどの式で考えると、太陽光パネルの発電量は以下の部分です。
Ep = H × K × P × 365 ÷ 1
Ep: 年間予想発電量(kWh/年)
H: 設置面の1日あたりの年平均日射量(kWh/m²/日)
K: 損失係数・約73%(モジュールの種類、受講面の汚れ等で多少変わります。)
・年平均セルの温度上昇による損失・約15%
・パワーコンディショナによる損失・約8%
・配線、受光面の汚れ等の損失・約7%
P: システム容量(kW)
365: 年間の日数(日)
1: 標準状態における日射強度(kW/m²)
『H:設置面の1日当たりの年平均日射量』についてはNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が1981年~2009年の29年間の平均データを方位別、角度別、地点ごと、月ごとに開示してくれています。
データベースによると例えば以下の条件の場合、
- 地点:東京都八王子
- 屋根方位:真南
- 屋根角度:30度(約6寸)
『H: 設置面の1日当たりの年平均日射量』は3.88kWh/m²/日です。
また、国の統計によると昨年度(2023年度)の太陽光発電の平均システム容量は5.0kWでしたので、ここでは『P: システム容量』は5.0kWとします。
ここに、残りの『365: 年間の日数』『1: 標準状態における日射強度』を掛け合わせると、太陽光パネルの発電量は、
太陽光パネルの発電量=3.88kWh/m²/日 × 5.0kW × 365日 × 1kW/m² = 7,081.0kWh
となります。
システムによるロス
太陽光発電は発電する際に多少システムによるロスが発生しています。
システムによるロスは以下の3つに大別できます。
- 年平均セルの温度上昇による損失
- パワーコンディショナによる損失
- 配線、受光面の汚れ等の損失
先ほどの式で考えると、システムによるロスは以下の部分です。
Ep = H × K × P × 365 ÷ 1
Ep: 年間予想発電量(kWh/年)
H: 設置面の1日あたりの年平均日射量(kWh/m²/日)
K: 損失係数・約73%(モジュールの種類、受講面の汚れ等で多少変わります。)
・年平均セルの温度上昇による損失・約15%
・パワーコンディショナによる損失・約8%
・配線、受光面の汚れ等の損失・約7%
P: システム容量(kW)
365: 年間の日数(day)
1: 標準状態における日射強度(kW/m²)出典: NEDO 技術開発機構太陽光発電導入ガイドブック
『K:損失係数』についてはNEDOの資料では約73%と書かれていますが、損失係数は各メーカーによって異なります。
どのメーカーも発電量のロスを少なくするために技術開発を進めていますので、現在ロスはかなり少なくなっています。
1.年平均セルの温度上昇による損失
太陽光パネルは熱に弱いので、温度が高いと発電能力が下がります。
これが温度上昇によるロスです。
メーカー別 温度上昇による損失 一覧
メーカー (型式) | 年間平均ロス | 夏期ロス | 春秋期ロス | 冬期ロス |
---|---|---|---|---|
ソーラーフロンティア(標準タイプ) SOLAR FRONTIER (SFK185-S) |
7.3% | 10.0% | 7.0% | 5.0% |
パナソニック(MODULUS) Panasonic (VBM240FJ01N) |
7.7% | 10.3% | 7.7% | 5.2% |
長州産業(Gシリーズ) CIC (CS-333G51) |
9.9% | 13.2% | 9.9% | 6.6% |
カナディアンソーラー(HiKu6) Canadian Solar (CS6R-410MS ) |
11.1% | 14.8% | 11.1% | 7.4% |
シャープ(ブラックソーラー) SHARP (NQ-230BP) |
11.2% | 15.0% | 11.0% | 7.5% |
長州産業(Bシリーズ) CIC (CS-340B81) |
13.2% | 17.6% | 13.2% | 8.8% |
DMMソーラー(標準タイプ) DMM.makesolar (DMM6-60PH-370J) |
15.0% | 20.0% | 15.0% | 10.0% |
京セラ(エコノルーツ) Kyocera (KT370-120HL4) |
15.0% | 20.0% | 15.0% | 10.0% |
京セラ(ルーフレックス) Kyocera (KJ270P-5ETCG) |
15.0% | 20.0% | 15.0% | 10.0% |
ネクストエナジー(高出力タイプ) Next Energy (NER120M340J-MB) |
15.0% | 20.0% | 15.0% | 10.0% |
Qセルズ(Q.ANTUM DUO) Q.cells (Q.PEAK DUO-G11) |
15.0% | 20.0% | 15.0% | 10.0% |
シャープ(大型タイプ) SHARP (NU-415PP) |
15.0% | 20.0% | 15.0% | 10.0% |
シャープ(単結晶タイプ) SHARP (NU-228AP) |
15.0% | 20.0% | 15.0% | 10.0% |
XSOL(ハーフカット) XS●L (XLM120-380L) |
15.0% | 20.0% | 15.0% | 10.0% |
XSOL(単結晶マルチバスパー) XS●L (XLM60-325X) |
15.0% | 20.0% | 15.0% | 10.0% |
夏期:6~9月。春秋期:4~5月と10~11月。冬期:12月~3月
温度上昇によるロスが少ないメーカーとしては東芝、ソーラーフロンティア、パナソニックが挙げられます。
これらのメーカーは『温度上昇による損失』が少ないため、他のメーカーと同じ設置容量を設置しても、実際の発電量が多くなることが多いです。
2.パワーコンディショナによる損失
パワーコンディショナーでも発電量のロスが発生します。
太陽光パネルで発電する電気は乾電池などと同じ直流電流ですが、コンセントの電気は交流電流です。
そのため、太陽光パネルで発電した電気をコンセントから使うためには直流から交流に変換する必要がありますが、このときにロスが生じてしまいます。
このロスはメーカーのカタログなどにパワコンの変換効率として記載されています。
変換効率95%であればロス率は5%ということになります。
メーカー | パワコンの損失 |
---|---|
DMMソーラー DMM.makesolar |
3.0% |
カナディアンソーラー Canadian Solar |
3.5% |
長州産業 CIC |
3.5% |
ネクストエナジー Next Energy |
3.5% |
パナソニック Panasonic |
3.5% |
Qセルズ Q.cells |
3.5% |
シャープ SHARP |
3.5% |
京セラ Kyocera |
4.0% |
ソーラーフロンティア SOLAR FRONTIER |
4.0% |
XSOL XS●L |
4.0% |
三菱の新商品のパワコンはこのパワコンでのロス率がたったの2%です。
3.配線、受光面の汚れ等の損失
太陽光パネルから分電盤(ブレーカー)に到達するまでの配線や回路でのロスや太陽光パネルの汚れによるロスのことです。
『3.配線、受光面の汚れ等の損失』はメーカーによって差がつくことはありません。
どのメーカーも一律で5%のロス率で計算されています。
太陽光発電の発電量の計算式
まとめますととても長くなるのですが、年間の予測発電量の計算式は以下のようになります。
太陽光発電システム5.0kWの発電量と収支の計算 モデルケース
では、発電量の計算式を踏まえて、実際にモデルケースで発電量と収支を計算してみましょう。
モデルケースの条件
- 電気契約:40A 基本料金1123円
- 一か月の平均電気使用量:371kWh
(ちなみに我が家の平均です) - 一か月の平均電気代:10,243円
(実際は燃料費調整と再エネ賦課金があるのでもう少し高いです) - 日中の平均電気使用量:74.2kWh
(※日中の電気使用割合20%) - 地点:東京都八王子
- 屋根方位:真南
- 屋根角度:30度(約6寸)
この条件に、全国の設置量量平均である5.0kWを設置した場合の年間予測発電量を、先程の式を元に計算してみます。
一般的な単結晶シリコンの太陽光パネル5.0kWの太陽光発電システムの年間予測発電量
年間予測発電量(kWh) | = | 斜面日射量(kWh/m²/日) | × | 日数(day) | × | 出力(kW) | ÷ | 標準日射強度(kW/m²) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
× | (1-温度上昇による損失率) | × | (1-パワコンによる損失率) | × | (1-その他損失率) | |||
年間予測発電量(kWh) | = | 3.88 (kWh/m²/日) |
× | 365day | × | 5kW | ÷ | 1kW/m² |
× | (1-0.15) | × | (1-0.05) | × | (1-0.05) | |||
= | 5,432.0kWh |
太陽光発電システムの売電収入は、発電した電気を自家消費して余った分を売電しますので、上で計算した年間予測発電量から年間日中電気使用量を引きます。
年間日中電気使用量(kWh) | = | 74kWh | × | 12か月 |
---|---|---|---|---|
= | 890kWh |
一年間の売電収入(円) | = | (5,432kWh | - | 890kWh) | × | 16円/kWh | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
= | 72,672円 |
太陽光発電システムの金銭メリットは売電収入と電気代削減にあります。
売電収入は上で計算した通り一年間で72,672円です。
電気代削減額は一年間で41,796円※です。
※電気代削減額の計算式は以下の記事に詳しく説明しています。
平均的な回収年数は約10年
このモデルケースですと一般的な単結晶の太陽光発電システム5.0kWを設置すると売電収入と電気代削減を合わせて年間114,468円の金銭メリットがあるという事になります。
相場である131万円(税込)でこのシステムを購入すれば、ほぼ10年で設置費用の131万円の回収は完了する計算となります。
10kW未満の場合、太陽光発電の電気を電力会社が同じ金額で買い取ってくれる固定買取期間は10年間ですが、大体その期間中に元がとれるということです。
また、もちろん10年が経つと太陽光発電のメリットがなくなるわけではありません。
買取価格こそ下がってしまいますが、売電することはできますし、太陽光発電の電気をご家庭で使うことによる電気代削減効果はずっと続きます。
長期的に考えれば、太陽光発電は手堅く、そしてお得な投資だということです。
ソーラーパートナーズは共同購入制度で低価格を実現
太陽光発電の回収年数を短くするために重要なのが「太陽光発電を安く買うこと」です。
ソーラーパートナーズでは全国の認定企業の仕入れを束ねる「共同購入制度」で、全国トップクラスの低価格での仕入れを実現していますので低価格で提案が可能です。
また、契約内容は全件本部がチェックしますので、登録企業が割高な契約を結ぶことを許しません。
実際に、2018年度のデータでは全国平均をおおよそ30万円下回っています。(5kWの場合)
低価格で提案してくれる業者をお探しでしたらお気軽にご依頼ください。
発電量についてよくある質問
5kWの太陽光発電を設置しようと思っていますが、1日でどれぐらい発電しますか?
5kWの場合、一日およそ14kWh発電します。ただし毎日差があります。
ざっくりとした計算にはなりますが、太陽光発電パネル1kWあたりの年間発電量を1000kWhと仮定すると、1000kWh×5kW÷365日≒14kWhとなります。
ただし、これはあくまで平均です。
実際には季節や天候によって毎日発電量が異なります。
発電量は年単位で考えるのが適切と覚えておきましょう。
日照時間から算出されたおかしなシミュレーション
パネル容量の記載は問題なし
まず一番上の行に、
295W×20枚=5.9kW/システムとあります。
これはパネル容量を表していますので全く問題ありません。
なぜか日照時間をもとに一日の発電量を計算している
次に「5.9kW/時×4.2時間(秋田県レベル)=24.78kWh/日」とあります。
パネル容量に日照時間をかけることで発電量が計算されています。
ちなみに(秋田県レベル)と書かれていますが、このお客様は静岡県の方でした。
にもかかわらず(秋田県レベル)と書かれているのは、
「日照時間の短い秋田県の条件にあわせて、控えめに計算していますよ」
ということなのだと思います。
日照時間から算出した年間予測発電量9,036kWhはさすがに多すぎる
その下には「×365日/12か月=753kWh」と書かれており、月間予測発電量が753kWhと示されています。
月間753kWhということは年間9,036kWh。これはかなり多い数字です。
日射量から算出した正しい予測発電量は7,597kWh
比較材料として、正しい計算方法で発電量を試算してみました。
メーカーはパナソニックで同容量、すべてのパネルが南面への設置だと仮定しても年間予測発電量は7,597kWhでした。
今回のお客様がご提案されていたのは某海外メーカーで、実際にはパナソニックの方が発電量は多くなるはずです。
しかし反対に、日照時間をもとに算出したシミュレーションに比べて、1,439kWhも少なくなってしまいました。
寄棟屋根なので発電量は少なくなるはず
また、日照時間から算出したシミュレーションの設置環境は四方を向いた寄棟屋根でした。
パネル配置図や図面はご提供いただけなかったため、どのように設置されているのかはわからなかったのですが、
おそらく東西面にも設置されているプランだと思います。
東西面に設置した場合、南面に比べて85%程度と、発電量は少なくなります。
にもかかわらず、南面のみに設置をした場合よりも予測発電量が多くなるのはどう考えてもおかしいです。
あまりにもでたらめなシミュレーションでつっこみどころしかないのですが、
大きく分けると2つのポイントに集約されます。
発電量の計算に不可欠なポイント1 「日射量」
当然と言えば当然ですが、太陽光発電は日射量に応じて発電量が決まります。
日射量とはわかりやすく言うと、光の強さ×面積×時間です。
先ほどのシミュレーションでは予測発電量が「システム容量×日照時間」で計算されており、あたかも陽があたっているときには、常に一定の発電量であるかのように計算がされています。
ところが真夏と真冬、晴れの日と曇りの日でまぶしさが違うように、実際には日射量は常に変化しています。
当然それに伴い発電量も常に変化します。
もちろん地域によっても日射量が変わるので、その点も考慮する必要があります。
発電量の計算に不可欠なポイント2 「各種ロス」
このシミュレーションでは「システム容量×日照時間」と非常にシンプルなロジックで発電量の計算がされていますが、
実際には「パワーコンディショナーの発電量ロス」「温度上昇によるロス」など、いくつかの発電量を損なう要因があります。
このシミュレーションでは「各種ロス」がまったく計算されていません。
発電量を計算するには「日射量」が必要
NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が発行している太陽光発電導入ガイドブックに、太陽光発電の発電量の計算式が以下のように記載されています。
年間予測発電量の算出
そのシステムの年間予測発電量(kWh/年)は、次の式で概算できる。ただし、実際の日射量は、平年値とは異なることもあり、さらに、設置環境(影などの影響)や採用する機器により損失係数が異なることなどの要因があるため予測発電量は、あくまでも目安です。
Ep = H × K × P × 365 ÷ 1
Ep: 年間予想発電量(kWh/年)
H: 設置面の1日あたりの年平均日射量(kWh/m²/日)
K: 損失係数・約73%(モジュールの種類、受講面の汚れ等で多少変わります。)
・年平均セルの温度上昇による損失・約15%
・パワーコンディショナによる損失・約8%
・配線、受光面の汚れ等の損失・約7%
P: システム容量(kW)
365: 年間の日数(日)
1: 標準状態における日射強度(kW/m²)出典: NEDO 技術開発機構太陽光発電導入ガイドブック
予測発電量を計算するには、まずは「日射量」を把握することが必要だとわかると思います。
ソーラーパートナーズでは各設置場所、設置条件ごとの日射量に対応した太陽光発電シミュレーションソフトを用意しております。
当社にお見積もり依頼をいただいた方には、詳細な条件設定が可能なパスワードも公開しております。
まとめ
この記事では太陽光発電の発電量の計算方法について詳しく解説しました。
発電量は太陽光発電の経済メリットを決める最も重要な要素ですが、残念ながら、実際よりも多く発電量が得られるかのように見せて契約をする悪徳業者も存在します。
騙されることのないように、ご自身でも発電量のチェックができるようにしておきましょう。
もしも、「難しくて計算ができない」「面倒だ」ということであれば、お気軽にソーラーパートナーズまでご相談ください。
アドバイザーが設置条件に合わせて予測発電量を計算をしてお伝えします。
また、お見積り依頼をいただいた方には、無料のシミュレーションソフトを自由に設定できるパスワードもお伝えしています。
ご希望の方は登録フォームより是非ご依頼ください。
また太陽光発電には発電量以外にも、事前に知っておくべき事項が多く存在します。
併せて太陽光発電のメリット・デメリットも確認することもお勧めします。