結局、太陽光発電の耐用年数・寿命は何年なのか?劣化率とあわせて考える

かんたんに言うと…
  • 太陽光発電の寿命・劣化についての明確な実証データは無い
  • 30年以上前に設置された太陽光発電は故障なく安定稼働している
  • 劣化率は0.25%~0.5%というデータを経産省・水産省・NTTが公表している
つまり太陽光発電は劣化するけどずっと使い続けられると理解しておけば大丈夫です。

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太陽光発電システムの耐用年数・寿命は何年?

太陽光発電システムの寿命がどれくらいかをインターネットなどで調べていると、よく「耐用年数17年」という数字が出てきます。
しかしながら、これはあくまでも税制面での「法定耐用年数」であって、システムの寿命を意味するものではありません。
通常は17年を経過してもまだまだ使えます。

では、実際にはどれくらいの年数使えるのでしょうか?

この質問については、調べても歯切れの良い答えが見つかることはありませんでした。
耐用年数の17年も、固定資産税の計算に使用するための数字ですから、実際の寿命とは異なります。 私どもで耳にする情報は、20~30年、あるいは40年との情報です。

なぜこんなに歯切れが悪いのかと言うと、それは太陽光発電システム自体の歴史がまだ浅く、「一般的に何年くらい使える」と言えるだけの事例がまだ蓄積されていないからでしょう。
太陽光発電システムを数十年の長期に渡って設置し、寿命を意識するところまで使った人は、現時点で数えるほどもいないのではないでしょうか。

30年以上稼働している太陽光発電も存在する

とは言え、年月の経過とともに、徐々に事例も蓄積されてきています。
太陽光発電の長期安定運転でよく話題になるのが、以下の2か所の太陽光発電システムです。
いずれも30年以上安定稼働しています。

  • 佐倉ソーラーセンター(千葉県)
  • シャープの壷阪寺つぼさかでら(奈良県)

当時のパネル(30年前の技術)で30年以上稼働できているのですから、現在のパネルだと35~40年の稼働も期待できるかもしれませんね。
そうなってくると、もはや日本の住宅の建て替えサイクル年数(約30年)を上回ることにもなりますので、一度設置したら、今の住宅に住んでいるうちはずっと使い続けられることになるかもしれません。

ただ繰り返しになりますが、(特に住宅について)一般化するにはやはりまだまだ事例が少ないので、現時点では30年以上稼働する事例がある、あるいはそういった事例が増えてきていると(歯切れ悪く)しておきたいと思います。

太陽光パネルは年々劣化していく?

太陽光発電システムは、長期に渡って使い続けられるとは言え、使っているうちに少しずつ性能が劣化していきます。
具体的に最もよくあるのが、配線の劣化です。

また、長年の使用によって、

  • 配線の腐食
  • 剥離
  • 断線
  • ガラス表面の汚れや変形、変色等

等が発生することで、発電性能が低下します。

それでは実際、これらの劣化によって、太陽光発電の出力はどの程度低下するのでしょうか?
太陽光発電システムの寿命の話と同様に、長期に渡る性能のデータも少ないので、色々な値が言われていますが、その中からいくつか事例をご紹介しましょう。

各団体の発表している「発電量低下」データ

各団体の発表している「発電量の低下」のデータ
データ元 発電量の劣化(年間)
NTTファシリティーズ*1 0.25~0.5%
水産庁*2 0.5%
調達価格等検討委員会(経済産業省)*3 0.27%
京セラ佐倉ソーラーセンター*4 0.38%

数多くのメガソーラー構築実績があるNTTファシリティーズによると、メガソーラーでは、毎年0.25~0.5%程度の発電量の劣化があるようです。
また、水産庁が提供している太陽光発電の事業性検討のためのツールでは、同0.5%
さらに、2012年3月19日に開催された調達価格等検討委員会(毎年の売電価格を決める国の委員会)に、太陽光発電協会が提出した資料には、多数の国内メーカーの実例として、同0.27%という劣化率が示されています。

ちなみに、先ほどご紹介した京セラ佐倉ソーラーセンターの例では、25年間で9.6%の出力低下があったとのことで、単純にこれを年数で割ると、毎年0.38%の劣化となります。
性能の劣化をどのように測定するかによっても値が変わってくるので、これらの劣化率の数値同士を単純に比較することはできませんが、こうして見ると、毎年0.25~0.5%程度の出力性能の劣化があるようです。

*1: NTTファシリティーズ「PV Japan2013 資料 固定価格買取制度における太陽光発電の現状と課題」(2013年7月)
*2: 水産庁「漁港のエコ化方針(再生可能エネルギー導入編) 巻末資料:事業性検討シートの利用法(太陽光発電)」(2014年3月)
*3: 太陽光発電協会「太陽光発電システムの調達価格、期間への要望」(2012年3月)
*4:メガソーラービジネス(日経BP社)「国内パネルメーカーの“品質戦略”<第5回>京セラの“こだわり”」(2014年3月)

劣化とシミュレーション、出力保証との関係は?

ここまでの話で、年数の経過とともに太陽光発電システムが徐々に劣化し、出力が低下していくことがわかりました。
ここで、以下の2つの疑問がふと頭に浮かびます。

  1. 発電量の将来予測シミュレーションには、この劣化の影響は考慮されているのか?
  2. パネルの出力保証で設定されている劣化率の設定は、妥当なのか?

シミュレーションには、劣化の影響は考慮されているのか?

1つ目は、「太陽光発電の導入前に参考として示されることが多い発電量の将来予測シミュレーションには、劣化の影響は考慮されているのか?という疑問です。
これについては、「考慮しているシミュレーションもあれば、考慮していないシミュレーションもある」というのが回答です。

例えば、あるパネルメーカーのホームページ上の発電量シミュレーションではパネルの経年劣化は考慮されていませんでした。
一方、ある住宅メーカーのホームページ上のシミュレーションでは0.5%の経年劣化が考慮されています。

仮に、シミュレーション時に劣化が考慮されず、実際には毎年0.5%ずつ劣化していったとしても、10年間を通した出力量の累積では数%程度の下ブレにしかなりません。
しかしながら、少なくとも提示されたシミュレーションが劣化を考慮した発電量なのか、そうでないのかは頭の片隅に置いた上で、シミュレーション結果を吟味するようにしましょう。
そのシミュレーションが発電量を多めに見積もっているのか否かくらいはわかると思います。

パネルの出力保証で設定されている劣化率の設定は、妥当なのか?

次に2つ目の疑問ですが、よくパネルメーカーなどが10年間で90%の出力保証や、25年間で80%の出力保証を提供していますが、劣化という観点から、これら出力保証の劣化率の設置は妥当なものと言えるのでしょうか?
なお、あらかじめご説明しますと、「90%の出力保証」は公称最大出力90%のさらに90%の81%を下回る出力のパネルが保証対象です。

もし出力が毎年0.2%ずつ低下すると仮定すると、単純計算で10年後には2%の低下なので、10年後の出力は98%になります。
毎年の低下が0.5%でも、10年後の出力は95%です。
10年後の出力が81%になるとすれば、毎年1.9%ずつ劣化していくことになります。
先に紹介した、太陽光発電協会が多数の国内メーカーの実例として出した0.27%とは大きな開きがあることがわかります。
メーカーとしては出力保証サービスを提供しているとは言え、実際に保証する事態はできるだけ避けたいわけですから、保証条件を相当きびしく設定しているということですね。

劣化しにくいパネルを選ぶことは可能か?

ここまでは一般的な話として太陽光パネルの劣化率を見てきましたが、太陽光パネルの種類によって違いはあるのでしょうか?
かつて産業技術総合研究所は、2005~2009年にかけて測定した、パネルの種類ごとの劣化率をホームページ上に掲載していましたが、現在はなぜかリンク切れとなっていて、見ることができなくなっています。

そこで、当時、弊社のソーラーアドバイザーが同資料を引用して書いた記事を参照して、説明したいと思います。 (

)

表1は上記測定の結果を示したものですが、これを見ると、単結晶で劣化が大きく、逆にCISで劣化が小さいという数字になっています。
CISが非常に優秀な数字を出していますが、本当なのでしょうか?

この5年間で言うと、劣化のしにくさは、
CIS > HIT > 多結晶 > 単結晶
の順となっています。

表1 太陽光パネルの5年間の劣化率(種類別)
種類 5年間の総低下率*5
多結晶 2.3~2.8%
単結晶 3.2~3.9%
ヘテロ接合(HIT) 2.00%
CIS 1.4~1.5%
*5: 総低下率:2005年に対して5年間で低下した割合

出典:第6回 新エネルギー技術シンポジウム 一般講演 C・D・E 講演概要|産業技術総合研究所
(現在リンク切れのため、

を参照)

気になるのは25年、30年経った後にそれぞれがどうなっているのかということですが、結論から言うと、現時点ではわからないというのが正直なところです。
表1の結果はあくまでも5年間の比較であって、その先の10年20年後のデータはまだないのです。

図1 多結晶シリコンの出力の推移

図1 多結晶シリコンの出力の推移

図2 CISの出力の推移

図2 CISの出力の推移

図1,2に示された出力推移が上下する様子をご覧いただければわかるように、5年間の劣化率を単純に掛け算をして25年なり30年引き延ばせばよいというわけでもありません。
もし、上記研究が継続されているとすれば、そろそろ10年間での比較結果が得られている頃かと思います。
10年間のデータがあれば、その後の推移も、今よりずいぶん予測しやすくなると思います。
研究継続の有無はわかりませんが、是非、結果を見てみたいものです。

まとめ

本文でも述べた通り、太陽光発電システムの寿命や劣化については、長期に渡るデータの蓄積がまだ十分でないため、ある程度の予測は可能ですが、依然として不明確な点も多いのが現状です。
しかしながら、現時点でも確実に言えることは、少しでもシステムの寿命を延ばしたり、劣化を防いだりするためには、専門家によるメンテナンスが重要という事です。

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