蓄電池ってなに?メリット、価格、選び方まで全てをプロが解説!
これから太陽光発電を設置しようとしている方や、既に太陽光発電を設置している方は、蓄電池という商品をおすすめされたことがあるのではないでしょうか。
太陽光発電だけの場合、発電した電気はその場ですぐに使い切らないと勝手に電力会社に売られしまうので、余った電気をためておくために蓄電池を設置するという選択肢を持つ方が年々増えています。
最近では停電対策だけでなく、昨今の高騰し続ける電気代を削減するために省エネ目的で、導入するという方も増えてきました。
今回は、蓄電池の工事会社ネットワークを運営する弊社の知見や、実際に蓄電池を設置した方の情報を元に、下記の側面から説明していきたいと思います。
蓄電池とは?
蓄電池とは“電気をためて、ためた電気を放電する”機能をもったものです。
蓄電池というと、持ち運び可能なポータブルタイプの商品を想像する方もいるかもしれませんが、今回の記事は家に据え付ける「家庭用蓄電池」と呼ばれるタイプについて解説していきます。
ポータブルと家庭用蓄電池の一番大きな違いは、工事の有無です。
一般的にポータブルタイプは、家のコンセントから本体に充電し、充電した電気を使いたいときにはポータブル蓄電池のコンセントに差して使います。価格も安く、ある程度持ち運びもできるのが特徴です。キャンプで使いたい方、集合住宅や太陽光発電がついていない方には、ポータブルが合っています。
対して、今回紹介する家庭用蓄電池は、家に電気工事をして備え付けをするタイプです。主に太陽光発電を設置した後や、太陽光発電とセットで導入するものなので、太陽光発電と連携して電気をためるため、そして家じゅうに電気を放電するために工事をする必要があります。
蓄電池普及の背景
一番最初に蓄電池は普及したきっかけは、2019年問題です。
2019年は、太陽光発電の10年間の売電期間が終了した方が初めて出てきた年です。
太陽光発電を設置してから10年間は、固定価格買取制度(FIT)によって決まった売電単価で電気を売ることができます。
しかし、10年経過した卒FITになると、売電はできますが単価が著しく落ちてしまうため、何かしらの対策を考えて蓄電池を導入する方が急増しました。
そして、蓄電池の導入の追い風となったのが、電気代単価の高騰です。
東京電力の最も一般的な料金プランの従量電灯Bの単価が2009年には16.46円~22.72円/kWhだったのに対して、2024年現在は29.8円~40.49円/kWhへと大きく高騰しているので、なるべく電力会社から電気を買わないように蓄電池を導入したいという層が現れました。
今まで停電対策の商品として認識されていた蓄電池が、経済的にも多少お得になったという点で大きく注目を集めました。
さらに、固定価格買取制度の売電単価の推移も大きく関わっています。2009年に設置した場合は48円/kWhで売電ができたものが、現在新規で太陽光発電を設置した時の売電単価が16円/kWh、太陽光発電を設置して10年経過した方は7円~9円/kWhで売電することになります。
そのため、太陽光発電を新規で設置する方にとって、16円/kWhで売電をするより、多少値段が張っても蓄電池を設置して、電力会社から29.8円~40.49円/kWhの電気を買う量を減らしたいという購買意識の変化によって蓄電池は急激に普及が進みました。
蓄電池のメリット・デメリット
蓄電池はとても便利な商品ですが、同時に高価なものなので、どんな方にも手ばなしでお勧めできるものではありません。導入する目的や、設置環境によっては、設置しない方が良いということも十分考えられますので、まずはどんなメリットやデメリットがあるのか知ることが重要です。
蓄電池のメリット
蓄電池の代表的なメリットは、電気代削減、停電対策、パワコンの交換費用がお得、EVと相性がいいの4つです。
いずれも太陽光発電が既についている、もしくはこれから設置するという方にとって特にメリットが大きいものです。
電気代削減
最近弊社に問い合わせをいただく中で、一番多い蓄電池の検討理由が電気代削減です。
蓄電池を使って電気代を削減する方法は、大きく分けて2つあります。
・太陽光発電のあまった電気をためる
・深夜の安い電気をためる
まず、太陽光発電のあまった電気をためる方法について解説します。
太陽光発電のあまった電気を売らずに蓄電池にためておくことで、電力会社から電気を買う量を減らすことができます。以前は電力会社から電気を買う時の買電単価と太陽光発電の電気を売る時の売電単価にそこまで差がありませんでした。
現在は電力会社の買電単価がとても高いので、太陽光発電を設置している方の多くにメリットがありますが、何年度に設置をしたのかにより、そこまでメリットが出ないことがありますのでご確認ください。
太陽光設置年度 | 現在の売電単価 | 買電単価の参考 例)東京電力従量電灯B |
---|---|---|
2013年度以前 | 7~9円/kWh(卒FIT) | 29.8円~40.49円/kWh |
2014年度 | 37円/kWh | |
2015年度 | 33円/kWh | |
2016年度 | 31円/kWh | |
2017年度 | 28円/kWh | |
2018年度 | 26円/kWh | |
2019年度 | 24円/kWh | |
2020年度 | 21円/kWh | |
2021年度 | 19円/kWh | |
2022年度 | 17円/kWh | |
2023年度・2024年度 | 16円/kWh |
※固定価格買取制度が終了後(卒FIT)の売電価格は、ご自身で売電先を変更した場合この限りではありません。
次に、深夜の安い電気をためる方法についてです。
太陽光発電を設置している方の中には、電力会社の時間帯別プランに入っている方もいらっしゃるかと思います。
時間帯別プランというのは、電力会社から電気を買う時の単価が、深夜かそれ以外の時間かで異なるプランです。一部のプランは昼間、朝方と夕方、夜と分けられていることもあります。基本的には、ピークタイムの昼間の買電単価が高く、深夜の買電単価が低く設定されていることがほとんどです。
時間帯別プランに入るためには、太陽光発電やエコキュートなどの機器が設置されていることが条件となっていることもあるため、興味があったけど入れなかったという方もいるかもしれません。
深夜電力をためる蓄電池の使い方としては、安くなった深夜の買電単価の時間帯に蓄電池にためておいて、昼間や夕方の電気使用量が多い時間帯に放電をします。すると、買電単価の価格差で電気代がお得になるという仕組みです。
東京電力 スマートライフプラン | |
---|---|
時間帯 | 買電単価 |
午前1時~午前6時 | 27.86円 |
午前6時~午前1時 | 35.76円 |
ただし、こちらの方法だけではそこまで大きなメリットはありません。
仮に電気代が月に10,000円かかっている家庭の場合、家の電気を全て深夜電力分でまかなえたとしても、お得になるのは月に約2,500円程度です。
多くの蓄電池は充電と放電を行える回数が1日あたり1回、一部の商品が2回なので、太陽光発電のあまった電気を充放電する方がお得に使うことができます。
停電対策
電気代が高騰する前まで、一番多かった導入目的が停電対策です。
停電中は蓄電池を設置せず太陽光発電だけの場合、発電をしている日中でも普段通り使うことができません。停電中の太陽光発電は、発電してくれていれば非常用コンセント(太陽光発電の工事をした時に設置したコンセント)に繋げば同時に1500Wまで使うことができますが、コンセントに繋がない照明や200Vの機器(リビング用エアコンやオール電化機器など)は使用することができません。
太陽光発電がせっかく発電してくれていても、停電中は他の家と同じように不便を感じるのはもったいないと思い蓄電池を設置する方も多くいます。
たいていの蓄電池は、停電中でも太陽光発電から蓄電池にためることもできるので、停電が二日三日と続いても普段通りの生活を送ることができます。また、最近の蓄電池は、気象情報を取得して台風などによる停電が起きそうな時に、前もって電気をためておくよう作動してくれる機能もあるため、普段から意識しなくても停電に備えておけるのが嬉しいポイントです。
パワコン交換費用がお得
太陽光発電を設置している方は「太陽光発電システムで一番故障しやすいのはパワーコンディショナー」という話を聞いたことがあるのではないでしょうか。
パワコンは、太陽光発電のシステムでは一番の精密機械なので、太陽光パネルが25年の保証をされているのに対し、パワコンの保証期間は10年か15年と設定しているメーカーがほとんどです。
そして、蓄電池にも蓄電池用パワコンが必要となるのですが、実は太陽光発電のパワコンと兼用させることができるタイプがあります。
つまり、本来太陽光発電のパワコンが故障した時には、ただ交換するだけだったものが、蓄電池を導入するタイミングで太陽光発電とパワコンを共有すれば、パワコン1台分の費用が浮くという考え方です。
太陽光発電のパワコンが故障していなくても、設置してから10年15年と経過している時には、パワコンの寿命が近いため蓄電池と兼用のものに変更する方が多いです。
もちろん、太陽光発電を設置してから間もない方や、まだ故障していないパワコンを交換するのはもったいないとお考えの場合は兼用せずに、太陽光と蓄電池で別々のパワコンを使うこともできます。
EVとの相性がいい
今後益々EVの普及が進んでいくなかで、太陽光や蓄電池とEVを組み合わせることでより快適に使うことができます。
EVを購入した家に蓄電池を導入するメリットは大きく分けて2つあります。
・EVで上がった電気代のコストを吸収してくれる
・EVで外出中に電気をためる役割を果たしてくれる
EVを使うとガソリン代が浮く代わりに電気代がかかってきます。そうなると、今の値上がりした電気代では負担があまりに大きくなるので上で紹介したように電気代を安くする方法として蓄電池を活用することができます。
特に太陽光発電を導入している場合は、太陽光が発電してくれる昼間にEVが外出中ということも多いので、太陽光発電のあまった電気をためておくためにも蓄電池を設置するという方も多いです。
また、EV自体を大きな蓄電池と考えることもできますが、基本的に車で外出に使うものなので家に無いことも多いです。そして、EVが家にない時に停電が起きた場合、せっかくEVやV2Hを導入していても家にいる家族は停電の影響を受けてしまいます。
家と太陽光発電と蓄電池とEVの間で電気のやり取りをすることで、快適にEVを使うことができるようになります。
蓄電池のデメリット
蓄電池の代表的なデメリットは、初期費用が高い、経年劣化、設置スペースの確保、好きな商品が選べないの4つです。
蓄電池自体のデメリットというよりは、設置する上で気を付けていただきたい項目です。
初期費用が高い
家庭用蓄電池は、スマホの充電器やポータブル蓄電池とは異なり、ためられる電気の量も多く電気工事も必須です。
そのため、安い商品ではありません。電気をためられる容量にもよりますが、工事費込みで120万円~200万円という価格帯なので、もし投資目的で経済的なメリットのみで蓄電池を検討されるのであれば、正直あまりおすすめはできません。
蓄電池の魅力は、あくまで保険的な役割の商品にもかかわらず、電気代の削減効果が大きいことです。なので、10年間の売電が終了、停電対策を考えたい、電気代が高いので対策したい、などいくつかの条件が当てはまったときに検討をすることをおすすめします。
また、価格に関して後で詳しく解説しますが、原材料のリチウムイオンの仕入れも高騰しているため、近いうちに大きく価格が下がることはなさそうです。
経年劣化
蓄電池は原材料がリチウムイオンなので、スマホのバッテリーなどと同じく、何度も充放電することによってためられる電気量の上限が落ちてきます。
家庭用蓄電池の場合は、商品による違いと多少の個体差により寿命が異なりますが、何年ぐらい使えるのか下記の項目を目安にすることができます。
・サイクル数
・メーカー保証年数
サイクル数というのは、蓄電池の充放電の回数です。サイクル数を公表していないメーカーもありますが、約6,000回~12,000回と商品によって大きく異なります。
サイクル数を参考とする際、注意しなくてはいけないことは、どこまで使用したら1サイクルとカウントするのかという点です。容量の半分以上使用したら1サイクルとカウントするメーカーもあれば、すべて使用して1サイクルとカウントするメーカーもあるため、サイクル数のみで寿命を判断するのは危険です。
寿命の目安としては、メーカーの保証年数を参考にすることをおすすめします。製造したメーカー側が、間違いなくこの程度は使えるだろうという判断を元に保証年数を決めているため、信ぴょう性もありますし、万が一性能が下回ったときには修理や交換をすることができます。
メーカーの保証年数は、使用年数に対して性能の何パーセントを下回ったら保証をするという内容です。
例として、人気商品の保証をいくつか紹介します。
蓄電池メーカー保証一覧 | |
---|---|
商品(メーカー) | 保証内容 |
ESS-T3シリーズ(ニチコン) | 15年無償保証(充電可能容量50%以上を15年間保証) |
スマートPVマルチ(長州産業) | 15年無償保証(初期の蓄電可能容量60%を保証) |
JH-WB2021(シャープ) | 10年無償保証(引き渡しから10年充電可能容量が定格容量の60%) 15年有償保証(引き渡しから15年充電可能容量が定格容量の60%) |
設置スペースの確保
蓄電池を検討している家の現地調査をする際、意外に困るポイントが設置スペースです。
ひとくちに蓄電池と言っても、電気をためる蓄電池本体と電気を変換するパワーコンディショナーで構成されています。蓄電池本体とパワーコンディショナーが一つの大きな箱に収納されているタイプもあれば、それぞれが分かれているタイプもあります。
それだけであれば設置場所を決める時に大きな問題はありませんが、本体やパワコンは設置する場所についてメーカーからある程度条件が決められていたり、家によっては分電盤の位置を考えると設置が難しいケースがあります。
そのため、設置したいと思っていた蓄電池のサイズも見越して、設置したい場所まで決めていても、いざ工事業者に現地調査をしてもらうと、思っていた場所に設置ができないことが分かったということがあるので注意が必要です。
好きな商品が選べない
自分で蓄電池のことを調べて検討を進めていくと、せっかく機能や容量が希望に合いそうなものを見つけても、下記の3つの要因によって選べる蓄電池の選択肢が狭まることがあります。
・太陽光発電と蓄電池のメーカーの不一致
・太陽光発電の回路設計
・設置スペースの問題
設置スペースに関しては先ほど紹介したので、「太陽光発電と蓄電池のメーカーの不一致」と「太陽光発電の回路設計」について解説します。
まず「太陽光発電と蓄電池のメーカーの不一致」についてです。
太陽光発電のメーカーと残りの保証年数によっては、自由に蓄電池を選びづらい状況になります。太陽光発電のメーカーによっては、他のメーカーの蓄電池を選ぶと太陽光発電や周辺機器の保証が外されてしまうケースがあります。
たいていの場合、太陽光発電システムと連係するハイブリッド型(蓄電池のパワコンを太陽光発電と共有するタイプ)を選ばなければ保証に影響はありませんが、現在蓄電池で人気があるのは圧倒的にハイブリッド型です。
そのため、人気な蓄電池を設置したいと思ったら自宅には設置できなかったということも珍しくありません。特に厳しいのは、シャープの太陽光発電がついている場合です。シャープの場合は太陽光パネルの保証まで失効してしまうことがあるので事前確認が重要です。
次に「太陽光発電の回路設計」についてです。
太陽光発電は、数枚のパネルをひとまとまりにして回路を設計した上で家に電気を流しています。
そのため、蓄電池側で対応できる回路の数を確認しておかないと、いざ蓄電池を設置してみたら太陽光発電の電気の一部が、家にも蓄電池にも流れずに無駄になってしまう回路となってしまうことがあります。
この点は、経験が浅い営業マンがそもそも仕様を知らずに売ってしまうケースとして聞くことがあるため注意が必要です。工事に詳しい工事業者に現地調査をしてもらうことをおすすめします。
蓄電池の選び方
蓄電池にもメーカー、容量、性能、使い方など様々な違いがあります。そのため、一般的に蓄電池を選ぶ上で最低限おさえておきたいポイントを紹介します。
単機能型とハイブリッド型
蓄電池には電気の接続方法で大きく分けて単機能型とハイブリッド型があります。
わかりやすい違いは、蓄電池を太陽光発電システムと繋ぐか繋がないかという点です。
単機能タイプの”単”は”単独”の意味で、単独で動かすため太陽光発電には繋がずに家に分電盤に直接接続します。
対してハイブリッド型は、太陽光発電のパワーコンディショナーと蓄電池のパワーコンディショナーを兼用させて1つのパワコンで制御するため”ハイブリッド”です。
単機能とハイブリッドのメリットとデメリットは下記の通りです。
単機能型 | ハイブリッド型 | |
メリット | ・太陽光発電の保証の年数やメーカーにかかわらず設置可能 ・価格面でハイブリッドより安いことが多い |
・太陽光発電のパワコン交換費用を浮かせられる ・太陽光から蓄電池に電気をためるときに変換ロスが発生しない |
デメリット | ・蓄電池を使うたびに電気の変換ロスが発生する | ・太陽光発電システムの保証がなくなることがある |
電気の変換ロスという聞きなれない言葉が出てきたので補足します。
太陽光で発電した電気は直流という種類です。
そのままでは家で使うことができないのでパワコンで交流という電気に変換してから家で使います。
電気はパワコンで変換される度に大体3~4%程度のロスが発生してしまいます。そして蓄電池にためておける電気の種類は直流です。
つまり太陽光発電と蓄電池のパワコンが別々の単機能型の場合、太陽光で発電した電気がパワコンを通り1度目のロスが発生し、蓄電池のパワコンを通って2度目のロスが発生した後に蓄電池にためられ、家で使う時には蓄電池のパワコンで3度目のロスを経たあとに、ようやく家の中で消費されます。
対してハイブリッド型の場合は、太陽光が発電した電気は直流のまま蓄電池本体にためられ、使用するときにパワコンで1度変換されるのみなので、少ないロスで電気を使用することができます。
上記のように電気の流れるケースでは、単機能の場合96%×3回で88%、ハイブリッドの場合96%×1回で96%なので、1日あたりでは大きな差は出ませんが、長期間使う商品ということを考えると、変換ロスも考慮して蓄電池を選ぶ必要があります。
2021年頃までは単機能型の商品が充実していて人気も高かったのですが、現在は各蓄電池メーカーがハイブリッド型の商品を隙がないほど充実させているため、ここ数年の人気商品の上位はハイブリッド型が占めています。
特定負荷型と全負荷型
機能面でも蓄電池には分け方があり特定負荷型と全負荷型に分けられます。
この負荷型というのは、停電した時にどこまでの範囲で蓄電池から電気を流すことができるのか、という違いです。特定負荷型は停電時にひと部屋にのみ電気を流すことができるタイプで、全負荷型は家全体に電気を流すことができるタイプです。
特定負荷型はリビングでテレビや照明など使うケースを想定されているため、容量が小さい5kWh前後のものが多く価格も安い傾向にあります。200Vの家電(リビング用エアコン、IH、エコキュートなど)に対応できない商品もあります。対して全負荷型のほとんどの商品は基本的に200Vの家電も対応可能ですが、まれにエコキュートだけ対応できないなどあるので注意が必要です。
先に解説した単機能やハイブリッドと組み合わせて、蓄電池タイプを全負荷型単機能、全負荷型ハイブリッド、特定負荷型単機能、特定負荷型ハイブリッドと4つのパターンで表します。
ここ数年の人気商品の上位は全負荷型ハイブリッドが占めているため、容量が大きく停電時に家全体をカバーできる商品に需要があるようです。
下記の表を参考に、どのタイプが自宅に合っているか確認してみてください。
単機能型 | ハイブリッド型 | |
特定負荷型 | ・停電時にはリビングでテレビや照明だけ使えればいい ・太陽光のパワコンは継続して使いたい |
・停電時にはリビングでテレビや照明だけ使えればいい ・太陽光のパワコンはそろそろ替え時 |
全負荷型 | ・停電時には家全体で使えてある程度ためられる容量が欲しい ・太陽光のパワコンは継続して使いたい |
・停電時には家全体で使えてある程度ためられる容量が欲しい ・太陽光のパワコンはそろそろ替え時 |
容量
最後に蓄電容量についてです。
家庭用蓄電池の容量は、大きく分けて3つに分けられます。5kWh前後、10kWhまで、11kWh以上です。
ここで蓄電池の容量で使われるkWh(キロワットアワー)という単位をおさらいしておきます。
太陽光発電を設置している方であればkW(キロワット)という出力を表す単位なら聞いたことがあるかもしれません。kWはいわば発電する能力を表す数値で、そこにh(時間)をかけたものがkWhです。そのため、kW(発電する能力)がh(時間あたり)に発電する電気の総量がkWhとなります。
そして、蓄電池のカタログをみていると容量を示す数値がいくつかあることに気づいた方もいるかもしれません。
代表的なものが公称容量と実効容量です。
公称容量は設計時の容量を表したもので、実効容量は実際に使用可能な容量を表していますので、実際にどの程度ためることができるのかという点で蓄電池を選ぶのであれば、実効容量(もしくは初期実効容量)を参考にすることをおすすめします。
蓄電池の公称容量と実効容量の例 | |||
---|---|---|---|
公称容量 | 実効容量 | ||
JH-WB2021(シャープ) | 9.5kWh | 8.1kWh | |
ESS-U4M1(ニチコン) | 11.1kWh | 9.4kWh | |
KP-BU65B-S(オムロン) | 6.5kWh | 5.9kWh |
そして、ようやく本題のどの程度容量が必要なのかについて解説します。これは、どのような目的で設置したいかによって変わるので、いくつか例を挙げて説明します。
【目的】売電期間が終了するのであまった電気を家で使いたい
・年間平均で売電量が180kWh/月の場合
→1日あたりで電気があまる量は6kWhなので5kWh前後の蓄電池を検討
※売電量は明細をご確認ください。ない場合は月の売電収入額を売電単価で割ると売電量を計算することができます。
【目的】蓄電池で停電に備えたい
・1日の電気使用量から計算する場合
3~4人家族で月の電気使用量が400kWh(そのうち昼間は太陽光発電の電気を使用)だと想定
→1日あたり約13kWhで、昼間の電気使用量が3割だとすると、蓄電池を使用する時間帯の電気使用量は9.1kWhなので10kWhまでの蓄電池を検討
【目的】蓄電池で停電に備えたい
・停電時に使いたい家電の消費電力から計算する場合
リビング用エアコン5時間(3.75kWh)、照明10時間(0.45kWh)、テレビ10時間(2.3kWh)、冷蔵庫24時間(0.68kWh)使える容量だと想定
→合計7.18kWhなので、もう少し使用量が少ない場合は5kWh前後の蓄電池、もう少し多ければ10kWhまでの蓄電池、余裕をもっておきたければ11kWh以上の蓄電池を検討
このようにいくつか計算する方法がありますが、これらの計算方法に加えて太陽光発電の出力からバランスのいい蓄電容量を考えることも重要です。
電気代削減シミュレーション
ゼロから電気を生み出す太陽光発電ほどではありませんが、蓄電池にも太陽光発電の電気代削減効果を高める役割があります。
太陽光発電が発電している昼間の電気代は家で消化され、あまった電気は売電として売られてしまいます。今回は蓄電池の電気代削減シミュレーションなので、あまった電気を蓄電池にためて夕方以降に家で使う場合に、どの程度の効果があるのか計算していきます。
シミュレーションに必要な前提の数字
参考にするのは、太陽光発電の設置年度と売電単価、そして現在契約している電力会社の単価です。
太陽光設置年度 | 現在の売電単価 |
---|---|
2013年度以前 | 平均8円/kWh(卒FIT) |
2014年度 | 37円/kWh |
2015年度 | 33円/kWh |
2016年度 | 31円/kWh |
2017年度 | 28円/kWh |
2018年度 | 26円/kWh |
2019年度 | 24円/kWh |
2020年度 | 21円/kWh |
2021年度 | 19円/kWh |
2022年度 | 17円/kWh |
2023年度・2024年度 | 16円/kWh |
※固定価格買取制度が終了後(卒FIT)の売電価格は、ご自身で売電先を変更した場合この限りではありません。
電気代の単価は、時間帯別プランもしくは使った分に応じて単価が変わる従量電灯になると思いますので、それぞれ使って計算してみたいと思います。
例)東京電力の時間帯別単価(スマートライフS) | |
---|---|
時間帯 | 単価 |
午前1時~午前6時(5時間) | 27.86円/kWh |
午前6時~午前1時(19時間) | 35.76円/kWh |
例)東京電力の従量電灯B | |
---|---|
使用量 | 単価 |
120kWhまで(1段階目) | 29.8円/kWh |
121kWh~300kWh(2段階目) | 36.4円/kWh |
301kWh以上(3段階目) | 40.49円/kWh |
蓄電池の経済効果シミュレーション
まずは、一番シンプルな前提で計算してみます。
【ケース1】太陽光発電を設置して10年以上経過し卒FITを迎えているが、あまった電気はそのまま売電されている
【電気契約】東京電力のスマートライフSで契約
【備考】蓄電池から家に使う場合、夕方から就寝時間までに最も多く消費されるが、シミュレーションに余裕を持つために時間帯別に半々で消費されるよう計算。小数点切り捨て。
あまっている電気量(月の売電量) | そのまま売電をする場合の売電収益 | 蓄電池導入時の電気代削減効果 |
---|---|---|
150kWh | 1200円/月 | 4771円/月 |
300kWh | 2400円/月 | 9543円/月 |
450kWh | 3600円/月 | 14314円/月 |
次は、毎月の電気使用量も考慮しながら計算してみたいと思います。
【ケース2】太陽光発電を設置して10年以上経過し卒FITを迎えているが、あまった電気はそのまま売電されている
【電気契約】東京電力の従量電灯Bで契約
【備考】
・月の電気使用量は400kWh(そのうち昼間の分として太陽光発電が30%をカバーしているため)電力会社から買っている電気は280kWh(9400円)
・基本料金は、蓄電池を導入するしないにかかわらず考慮しないものとする。
・蓄電池導入時にあまった電気が購入している電気量を超えた時は売電に回す。
あまっている電気量(月の売電量) | 電気代-売電収入 | 蓄電池導入時の電気代 | 蓄電池導入時の電気代削減効果 |
---|---|---|---|
150kWh | 9400円-1200円 =8200円 |
3940円 | 4260円 |
300kWh | 9400円-2400円 =7000円 |
-160円 | 7160円 |
450kWh | 9400円-3600円 =5800円 |
-1360円 | 7160円 |
一部数字を補足させていただきます。
150kWhの場合、蓄電池を導入すると、購入しなくてはいけない電気量が(280kWh-150kWh=)130kWhになるので、120kWh×29.8円+10kWh×36.4円で3940円となります。300kWhと450kWhも同様に計算すると余った電気が購入している電気を上回ります。電気の購入量280kWhを上回る電気があまった場合、上回った分はすべて売電される(蓄電池導入時の電気代がマイナスは、上回った分を8円で売電した時の収益)ため、蓄電池の電気代削減効果はありません。そのため、300kWh以上の電気があまるケースでは、電気代削減効果は一定となります。
ケース1では毎月の電気使用量が定義されていませんが、あまった電気が購入電気を上回った場合、蓄電池の削減効果が一定になるのは時間帯別プラン(スマートライフS)でも同様です。
次は、一番メリットが出ずらいケースを考えてみます。
【ケース3】太陽光発電を設置して9年目(売電単価37円)
【電気契約】東京電力のスマートライフSで契約
【備考】
・月の電気使用量は400kWh(そのうち昼間の分として太陽光発電が30%をカバーしているため)電力会社から買っている電気は280kWh(9400円)
・基本料金は、蓄電池を導入するしないにかかわらず考慮しないものとする。
・蓄電池導入時にあまった電気が購入している電気量を超えた時は売電に回す。
・蓄電池導入時はシミュレーションに余裕を持つために時間帯別に半々で消費されるよう計算
あまっている電気量(月の売電量) | 電気代-売電収入 | 蓄電池導入時の電気代 | 蓄電池導入時の電気代削減効果 |
---|---|---|---|
150kWh | 9400円-5550円 =3850円 |
2584円 | 1266円 |
300kWh | 9400円-11100円 =-1700円 |
-160円 | -1540円 |
450kWh | 9400円-16650円 =7250円 |
-1360円 | -5890円 |
このケースは300kWh以上余っている時には明確に蓄電池を導入する方が損という結論が出ました。
特に蓄電池導入時の電気代削減効果にマイナスが多いため混乱する方も多いと思うため、文章で補足します。
このケースでは37円という高い売電単価がまだ有効です。そのため、あまった電気を家で使って電力会社から買う電気を減らすより、そのまま売電してしまった方が経済効果が高くなります。蓄電池導入時の電気代削減効果のマイナスは、売電すればよかった電気をわざわざ家で使うことで生じる経済損失を表しています。
ちなみに売電単価37円の場合、254kWh余っていれば売電収入で電気代をカバーできます。
シミュレーションまとめ
蓄電池の電気代削減効果は、太陽光発電の経済効果を高めるものなので、蓄電池だけでは経済メリットはありません。また、売電単価が現在の電気代単価より高く、かつ期間も十分残っていたら、メリットは出づらくなります。しかし、最近の電気代の単価高騰で、売電単価が高い時期に太陽光発電を設置した方にとっても、メリットを感じやすくなりました。そのまま売電を続けていたらもったいないという方は、選択肢のひとつとして検討してみることをおすすめします。
停電対策に必要な容量
先ほど、蓄電池の選び方の項目で容量について解説しましたが、停電対策として必要な容量をもう少し踏み込んで考えます。
停電が数時間程度であれば、どの家庭用蓄電池を選んでも問題ありませんが、2日3日と続く場合は太陽光発電で電気を供給しながら蓄電池を併用して生活しなければいけません。そんな長期で停電を経験したことがない方もいるかもしれませんが、実際に災害による停電は令和に入ってから何度も起こっています。
停電期間 | 停電戸数 | |
令和元年房総半島台風 | 最大12日間 | 最大93万戸 |
令和元年東日本台風 | 最大4日間 | 最大52万戸 |
令和2年台風10号 | 最大2日間 | 最大53万戸 |
では、どのような蓄電池であれば停電に十分対策できるのでしょうか。
まず前提として、停電が2日3日続くようであれば昼と夜で電気を使い続ける必要があります。
そして、停電した時には昼でも夜でも家の電気は蓄電池経由で供給することになります。単機能型は充電と放電を同時に行うことができないため、夜に蓄電池を使おうとすると太陽光が発電してくれる昼間は蓄電池は充電しか行えません。
そのため、蓄電池は充電と放電を同時に行えるハイブリッド型をおすすめします。
それでは本題の容量についてです。
停電時に使いたい家電に応じて容量が変わってくるという点は変わりません。
その際、使用量を計算するときに壁として立ちはだかるのがエアコンです。エアコンは他の家電と同じように一定の電気を使い続けるというものではなく、電源を入れた時と室温を保つ時で消費電力が変化します。また、部屋の広さだけでなく、冷房か暖房かでも消費電力は大きく異なります。
以下に用意した家電の消費電力表では人気のエアコンを、リビング用、部屋用、冷房、暖房に分けて電気使用量を試算してみたので参考にしてみてください。
時間 | 消費電力量 | |
LEDシーリングライト(14畳) | 24時間 | 1.08kWh |
LEDシーリングライト(6畳) | 24時間 | 0.72kWh |
冷蔵庫(省エネ性能高) | 24時間 | 0.68kWh |
冷蔵庫(省エネ性能並) | 24時間 | 0.82kWh |
テレビ(50型) | 6時間 | 0.996kWh |
テレビ(30型) | 6時間 | 0.39kWh |
スマホの充電(iPhone15) | 4台フル充電 | 0.05kWh |
電気ケトル | 5分 | 0.104kWh |
IH | 10分 | 0.967kWh |
電子レンジ(600W) | 5分 | 0.5kWh |
メーカー | 畳数目安 | 冷暖房 | 6時間 | 12時間 | 24時間 |
ダイキン | 14畳 200V |
冷房 | 2.57kWh | 3.47kWh | 5.27kWh |
ダイキン | 14畳 200V |
暖房 | 3.545kWh | 4.295kWh | 5.795kWh |
パナソニック | 6畳 100V |
冷房 | 1.465kWh | 2.215kWh | 3.715kWh |
パナソニック | 6畳 100V |
暖房 | 1.93kWh | 2.71kWh | 4.27kWh |
これらの消費電力の数字を参考に、太陽光発電からの電気の供給が少なくなる夕方(17時)から翌朝(5時)までの12時間使用すると仮定すると下記のようになります。
【ケース1】リビングのみ
【使用家電内訳】
0.54kWh(シーリングライト14畳)
0.41kWh(冷蔵庫(省エネ性能並))
0.996kWh(テレビ(50型))
0.05kWh(スマホ4台)
0.104kWh(電気ケトル)
0.5kWh(電子レンジ)
3.47kWh(冷房12時間)
【必要な蓄電池容量】6.07kWh
【ケース2】家全体
【使用家電内訳】
0.54kWh(シーリングライト14畳)
0.72kWh(シーリングライト6畳×2)
0.41kWh(冷蔵庫(省エネ性能並))
0.996kWh(テレビ(50型))
0.05kWh(スマホ4台)
0.104kWh(電気ケトル)
0.5kWh(電子レンジ)
0.967kWh(IH)
3.47kWh(冷房14畳)
4.43kWh(冷房6畳×2)
【必要な蓄電池容量】12.187kWh
実際にはこんなに電気を使用しない家や、逆にもっと多くの電気を使用する家もあると思うので、自宅にHEMSなどがついていればその数値を参考に計算してみるとスムーズに算出することができます。
ここ数年の人気上位は10kWh前後の商品です。リビングだけ使えればいいが少し余裕を持っておきたい方と、家全体使いたいけどエアコン3台も動かすつもりがないという方の両方のニーズを捉えた容量として人気があるようです。
蓄電池の人気メーカー
蓄電池の人気メーカーについて解説します。
※昨年一年間で全国の蓄電池工事会社から提供された設置報告に基づいたものなので、上位の商品が必ずしも自宅で検討するときに最適とはならないことはご了承ください。
ニチコン
2022年、2023年の人気No.1メーカー。
全価格帯、容量、機能を網羅するような幅広いラインナップが特徴で、最近のトライブリッド(電気自動車対応セット)人気と相まって更にシェアを伸ばしています。
長州産業
太陽光発電・蓄電池の国内老舗メーカーで、
直近数年は太陽光発電のメーカーとしては圧倒的1位の人気。
シャープ
機種別のランキングでは9.5kWhタイプが堂々の一位。
卒FIT対策として導入しやすいハイブリッド型蓄電池が多数そろっています。
メーカー別商品一覧
人気上位のニチコン、長州産業、シャープはもちろん、他にもおすすめのメーカーや商品を一覧で紹介します。
ニチコン
型式 | 容量 | 負荷型 | タイプ | 200V対応 | 保証 |
---|---|---|---|---|---|
ESS-T3S1 | 4.9kWh | 全負荷 | ハイブリッド/トライブリッド | 〇 | 15年 |
ESS-T3L1 | 9.9kWh | 全負荷 | ハイブリッド/トライブリッド | 〇 | 15年 |
ESS-T3M1 | 7.4kWh | 全負荷 | ハイブリッド/トライブリッド | 〇 | 15年 |
ESS-T3X1 | 14.9kWh | 全負荷 | ハイブリッド/トライブリッド | 〇 | 15年 |
ES-T3F1 | 12kWh | 全負荷 | トライブリッド | 〇 | – |
【新】ES-E1M1 | 7.7kWh | 全負荷 | ハイブリッド/トライブリッド | 〇 | 15年 |
【新】ES-E1L1 | 9.7kWh | 全負荷 | ハイブリッド/トライブリッド | 〇 | 15年 |
【酷寒地対応】 ESS-H2L1 |
12kWh | 全負荷 | ハイブリッド | 〇 | 15年 | 【酷寒地対応】 ESS-U2LS |
12kWh | 全負荷 | 単機能 | 〇 | 15年 |
ESS-U4X1 | 16.6kWh | 全負荷 | 単機能 | 〇 | 10年(有償で15年) |
ESS-U4M1 | 11.1kWh | 全負荷 | 単機能 | 〇 | 10年(有償で15年) |
【重塩害地域対応】 ESS-U3S1J |
4.1kWh | 特定負荷 | 単機能 | ✕ | 10年 |
長州産業
長州産業はオムロンのOEMで蓄電池を扱っているため、こちらで紹介している商品はオムロンでも取り扱いがあります。保証年数など異なることがありますのでご注意ください。
型式 | 容量(kWh) | 負荷型 | タイプ | 200V対応 | 保証 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
スマートPVマルチ | 6.5kWh & 9.8kWh & 16.4kWh | 全負荷/特定負荷 | 単機能/ハイブリット | 全負荷のみ〇 | 15年 | 単機能全負荷型は無し |
スマートPVマルチ | 6.3kWh & 12.7kWh | 全負荷/特定負荷 | 単機能/ハイブリット | 全負荷のみ〇 | 15年 | 単機能全負荷型は無し |
スマートPVプラス | 7.04kWh & 14.08kWh | 全負荷 | ハイブリット | 〇 | 15年 | 1日2サイクル可 |
シャープ
型式 | 容量(kWh) | 負荷型 | タイプ | 200V対応 | 保証 |
---|---|---|---|---|---|
JH-WB1621 | 4.2kWh | 特定負荷 | ハイブリッド | ✕ | 10年(有償で15年) |
JH-WB1711 | 6.5kWh | 全負荷/特定負荷 | ハイブリット | 〇 | 10年(有償で15年) |
JH-WB1921 | 6.5kWh & 13kWh | 全負荷/特定負荷 | ハイブリッド/(2024年春)トライブリッド | 〇 | 10年(有償で15年) |
JH-WB1821 | 8.4kWh | 全負荷/特定負荷 | ハイブリット | 〇 | 10年(有償で15年) |
JH-WB2021 | 9.5kWh | 全負荷/特定負荷 | ハイブリット/(2024年春)トライブリッド | 〇 | 10年(有償で15年) |
パナソニック
型式 | 容量(kWh) | 負荷型 | タイプ | 200V対応 | 保証 |
---|---|---|---|---|---|
LJB1335 | 3.5kWh | 全負荷/特定負荷 | ハイブリット | 条件を満たせば〇 | 10年(有償で15年) |
LJB1367 | 6.7kWh | 全負荷/特定負荷 | ハイブリット | 条件を満たせば〇 | 10年(有償で15年) |
LJB2363 | 6.3kWh | 全負荷/特定負荷 | ハイブリット | 条件を満たせば〇 | 10年(有償で15年) |
LJB1256 | 5.6kWh | 全負荷/特定負荷 | ハイブリット | 条件を満たせば〇 | 10年(有償で15年) |
京セラ
型式 | 容量(kWh) | 負荷型 | タイプ | 200V対応 | 保証 |
---|---|---|---|---|---|
Enerezza(エネレッツア) | 5.0kWh | 特定負荷 | 単機能 | ✕ | 15年 |
Enerezza(エネレッツア) | 10.0kWh & 15.0kWh | 全負荷/特定負荷 | 単機能 | 全負荷のみ〇 | 15年 |
ハイブリッドタイプ | 5kWh & 10.0kWh & 15.0kWh | 全負荷/特定負荷 | ハイブリッド | 全負荷のみ〇 | 15年 |
伊藤忠商事
型式 | 容量(kWh) | 負荷型 | タイプ | 200V対応 | 保証 |
---|---|---|---|---|---|
スマートスターL | 9.8kWh | 全負荷 | 単機能 | 〇 | 10年 |
スマートスター3 | 13.16kwh | 全負荷 | 単機能 | 〇 | 10年 |
ファーウェイ
型式 | 容量(kWh) | 負荷型 | タイプ | 200V対応 | 保証 |
---|---|---|---|---|---|
LUNA2000 | 5.0kWh | 全負荷/特定負荷 | ハイブリット | 全負荷のみ〇 | 10年(有償で15年) |
LUNA2000 | 10.0kWh | 全負荷/特定負荷 | ハイブリット | 全負荷のみ〇 | 10年(有償で15年) |
LUNA2000 | 15.0kWh | 全負荷/特定負荷 | ハイブリット | 全負荷のみ〇 | 10年(有償で15年) |
蓄電池の相場価格
現在主要な蓄電池の価格について解説します。
※昨年一年間で全国の蓄電池工事会社から提供された設置報告に基づいたものなので、こちらの価格がどの会社でも提案できるわけではないということはご了承ください。
こちらで紹介する価格は、工事費と税込みの最終提示価格がベースとなっています。蓄電池の価格の内訳は、本体代、人件費、工事費、利益となりますが、それぞれの項目は見積書上で自由に書き換えることができるため、全てを合算した総額でしか価格を比較する方法はありません。
加えて、お見積書に関連して気を付けていただきたいことは、カタログやメーカーのホームページに書いてある本体代は実際の仕入れ値よりもかなり高いという点です。見積書ではカタログの価格を参照して載せておき、お値引きとして実際の仕入れ値よりも少し高い価格まで下げるのが一般的です。
そのため、お見積り上では100万円以上の大きなお値引きがされていても、実際の相場と比較するとそこまで安くなかったり、むしろ高いケースもありますので注意が必要です。
これらを踏まえて、蓄電池を容量別に4つに区分した時の相場価格は下記のようになります。
容量帯 | 蓄電容量 | 相場価格 |
---|---|---|
3kWh~5kWh | 4.06kWh | 133.5万円 |
5kWh~9kWh | 7.05kWh | 160.5万円 |
9kWh~13kWh | 10.1kWh | 191.5万円 |
13kWh~ | 15.2kWh | 235.4万円 |
これまでの蓄電池価格の推移
経済産業省が「蓄電池戦略プロジェクトチーム」を立ち上げるほど、家庭用蓄電池のコスト低減に力を入れています。
しかし、実情として、ここ数年でさほど価格下落はありませんでした。
家庭用蓄電池が本格的に普及しだしたのは2018年頃からですが、少なくとも私たちソーラーパートナーズが、実際の販売価格を調査したデータでは、2018年度から2019年度、そして2020年度にかけては市場価格はまったくといっていいほど下落していませんでした。
しかし2021年度になって急に1kWhあたり4万円近く下がりました。
2021年度の下落後は大きな価格下落はありませんが、これには理由があります。
蓄電池の原材料であるリチウムやコバルトは、EVの材料でもあります。EVへのシフトを方針として行っている国が、大量に必要としているため需要増となり、価格が下がりづらいという状況です。
近いうちに解決する問題ではないため、市場が大きくなった結果、メーカーの企業努力によって多少価格が下がることはあっても、すぐに大きく価格が下がることはなさそうです。
現在の蓄電池の相場価格
それでは、現在人気メーカーの蓄電池の相場価格を紹介します。
ニチコン
メーカー | ニチコン | ||
---|---|---|---|
製品 | |||
型名 | ESS-T3L1 | ESS-T3M1 | ESS-U4M1 |
タイプ | ハイブリッド型 | ハイブリッド型 | 単機能型 |
停電時利用 | 全負荷型 | 全負荷型 | 全負荷型 |
蓄電容量 | 9.9kWh | 7.4kWh | 11.1kWh |
相場価格(税込) | 184.0万円 | 169.8万円 | 186.2万円 |
シャープ
メーカー | シャープ | ||
---|---|---|---|
製品 | |||
型名 | JH-WB1621 | JH-WB1921 | JH-WB2021 |
通称 | クラウド蓄電システム コンパクトタイプ | クラウド蓄電システム ミドルタイプ | クラウド蓄電システム 大容量タイプ |
タイプ | ハイブリッド型 | ハイブリッド型 | ハイブリッド型 |
停電時利用 | 特定負荷型 | 特定/全負荷型 | 特定/全負荷型 |
蓄電容量 | 4.2kWh | 6.5kWh | 9.5kWh |
相場価格(税込) | 131.5万円 | 156.6万円 | 199.2万円 |
オムロン
メーカー | オムロン | ||
---|---|---|---|
製品 | |||
型名 | KP-BU65B-S | KP-BU98B-S | KP-BU164-S |
タイプ | 単機能型 ハイブリッド型 |
単機能型 ハイブリッド型 |
単機能型 ハイブリッド型 |
停電時利用 | 特定/全負荷型 | 特定/全負荷型 | 特定/全負荷型 |
蓄電容量 | 6.5kWh | 9.8kWh | 16.4kWh |
相場価格(税込) | 153.4万円 | 172.2万円 | 220.7万円 |
蓄電池の補助金
蓄電池は国や自治体から補助金を受けられる場合があります。蓄電池は高額な商品なので、可能な限り利用して設置することをおすすめします。
しかし、近年の傾向として国の補助金は事前に登録した業者でないと申請することができません。登録も申請も煩雑なので対応できない業者の方が多いです。また、自治体の補助金も、市内業者でないと受けることができないなど、条件が設けられていることが多いため業者選びには注意が必要です。
基本的な補助金のルールとして、国、都道府県、市区町村がそれぞれ補助金を出している時には併用可能ですが、国の補助金を複数使うことなどはできません。
国の補助金
国では省庁別に補助金が用意されていますが、既に太陽光発電を設置している方であれば、令和6年度は下記の補助金が対象になります。
- 子育てエコホーム補助金
- DR補助金(家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業)
子育てエコホーム
蓄電池に限らず、住宅の購入やあらゆるリフォームを対象にした補助金です。
予算は2000億円と莫大ですが、蓄電池に対しての補助金額は6万円/1台なので、他の国の補助金が使えない場合に申請することをおすすめします。
DR補助金(家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業)
各家庭の蓄電池を遠隔制御して地域の電気の需給を調整することに同意する代わりに受けられる補助金です。
遠隔制御が発生することは現状ほとんどないようですが、最大60万円と大きな補助額が用意されています。
令和6年度は予算が75億円と昨年度と比べて大幅に増額しているとはいえ人気が高く、かつどんな業者でも受けられる補助金ではないため可能な限り早く業者探しを開始するのがいいでしょう。
補助金額の計算方法は、下記の通りです。
(1)基本:初期実効容量(kWh)×3.7万円
(2)①”ラベル”を満たす蓄電池:+初期実効容量(kWh)×0.2万円
②”類燃性”を満たす蓄電池:+初期実効容量(kWh)×0.6万円
③”レジリエンス”を満たす蓄電池:+初期実効容量(kWh)×0.1万円
④”廃棄物処理法上の広域認定の取得”を満たす蓄電池:+初期実効容量(kWh)×0.1万円
(1)+(2)=補助金額
都道府県の補助金
財源自体は都道府県でも市区町村経由で補助しているところも多いため、都道府県から直接補助金を出しているところはそんなに多くありません。令和6年度の補助金をいくつか紹介します。
【福島県】
補助額:4万円/kWh(上限20万円)
備考:太陽光発電設置済みで固定価格買取期間外であること
【長野県】
補助額:15万円/1件
備考:容量が4kWh以上の蓄電池に限る
東京都の方は規や条件が大きく異なるため下記の記事からご確認ください。
市区町村の補助金
市区町村からの補助金は、市内業者でないと受けられない補助金が多いため、訪問販売などで来た業者では受けられないことがあります。補助金の規模によっては、すぐに上限に達して締め切ってしまうことも多いのでご注意ください。
【愛知県春日井市】
補助額:6万円/1件
備考:1世帯につき1回限り
【東京都世田谷区】
補助額:1万円/初期実行容量kWh(上限20万円)
備考:区外業者による工事も補助の対象
【大阪府東大阪市】
補助額:上限5万円/1件
備考:募集件数140件
※下記から自治体の補助金を確認することができます。
固定価格買取制度終了後(卒FIT)の対策
太陽光発電を設置してから10年経過すると、卒FITで固定価格の買取期間が終了してしまいます。
そのままでも売電自体は継続できますが、電力会社ごとに下記の買取価格となってしまうため、放置しておくことは非常にもったいないです。
北海道電力 | 8円/kWh等 |
---|---|
東北電力 | 9円/kWh等 |
東京電力 | 8.5円/kWh等 |
中部電力 | 8円/kWh等 |
北陸電力 | 8円/kWh等 |
関西電力 | 8円/kWh等 |
中国電力 | 7.15円/kWh等 |
四国電力 | 7円/kWh等 |
九州電力 | 7円/kWh等 |
沖縄電力 | 7.7円/kWh等 |
FIT制度の買取期間満了後の当社買取価格等について|北海道電力
ツナガルでんき|東北電力
「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」(FIT)による買取期間満了後の余剰電力買取りについて|東京電力
これからデンキ|中部電力
固定価格買取制度に基づく買取期間満了後の買取について|北陸電力
買取期間が終了する太陽光発電からの余剰電力買取について|関西電力
「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」による買取期間満了後の再生可能エネルギー電気の買取価格等について|中国電力
余剰電力の買取期間が満了したお客様に朗報!|四国電力
FIT制度の買取期間が満了する太陽光発電の買取プランを決定しました|九州電力
固定価格買取制度終了後の取り扱いについて|沖縄電力
一般的に卒FITの方がとるべき対策は大きく分けて2つあります。
新しい売電先を見つける
東京電力や関西電力などの一般電気事業者の他に、新電力の会社にも売電をすることができます。
新電力に購入してもらう場合は、大体平均で10円/kWh前後、高いところだと15円/kWh近くで買い取ってくれるところもあります。
ただし、高い買取を実現しているところは、電気料金のプランを買い取り業者のものに変更しなくてはいけなかったりなど条件があるので、条件と照らし合わせてお得に売電できるところで契約するのがいいでしょう。
蓄電池を導入して余らないようにする
もうひとつの方法が、そもそも安く電気を買い取られないよう、余らないようにするという方法です。
蓄電池にためてしまえば、近年非常に高騰している電力会社の電気を買わずに済むため、あまった電気の活用と光熱費の削減、停電までいっきに対策することができます。
ただし、高価な商品で工事も伴うため、慎重に会社選びを進める必要があります。説明だけで安心しきってしまい法外な価格で購入してしまったケースも枚挙にいとまがありません。説明や価格だけでなく、しっかり評判や工事の質なども比較して、安心できる業者にお任せしましょう。