太陽光発電を増設すると売電価格・売電期間・補助金はどうなりますか?

Q
お客様からのご質問

教えて下さい。

東電買い取り価格の件ですが、
昨年2013年9月に導入し、今年2014年4月に増設しました。
この場合の東電買い取り価格はどの様になりますか?
昨年度平成25年度の買い取り価格は38円でした。

増設の場合は変わらないと業者から聞いておりましたが、
変わるのでしょうか?

以上
宜しくお願いします。

A
ソーラーアドバイザーからの回答
回答者
中村雄介

ご質問ありがとうございます。
「太陽光発電を増設すると売電価格・売電期間・補助金はどうなるのか?」とのご質問ですね。
増設の質問はたくさんいただいているので、ちょっとここあたりで一度整理した内容を書きたいと思います。

その前にまず今回のご質問にお答えします。

昨年2013年9月に設置していますので、売電価格は昨年度平成25年度の38円です。
売電期間は増設分も含めて、設置時の昨年2013年9月から20年間の計算になります。

太陽光発電の増設ルール1:既設部と増設部は同じ制度が同じ条件で適用される

太陽光発電システムを増設をした場合、あくまで既設の太陽光発電システムの容量を変更するという形になります。
そのため、既設部と増設部で売電価格や売電期間は同じになります。

太陽光発電の増設ルール2:適用される売電制度は既設部の売電制度が適用される

増設した太陽光発電システムの売電価格と売電期間は既存の太陽光発電システムが連系された時の制度が適用されます。

太陽光発電の増設ルール3:売電期間は連系日に遡って計算される

増設した太陽光発電システムの売電期間は既存の太陽光発電システムの売電開始日に遡って計算されます。
例えば、3年前に売電期間10年の3kWの太陽光発電システムを設置していた場合、さらに3kWを増設しても増設部も既設部も売電期間は3年前から計算され残り7年が売電期間となります。

太陽光発電の売電ルール4:売電価格は既設部の売電制度に基づいて適用される

太陽光発電を増設した場合の売電価格は、既設部を設置した当時に施行されていた売電制度に基づいて適用されます。

例1:2013年8月に売電申請をしている方が増設して10kW以上の産業用となった場合
これは増設すると非常にメリットが出るケースです。
2013年度(平成25年度)の産業用(10kW以上)の売電価格38.88円、売電期間20年が遡って適用されます。
既存の太陽光発電システムも売電価格は38.88円と上がります。
買取期間は増設した太陽光発電システムも含めて2013年の8月から20年間となります。
例2:2012年6月に売電申請をしている方が増設して10kW以上の産業用になった場合
これは増設するとデメリットを被るケースです。
2012年6月までの産業用の価格40円、買取期間10年が遡って適用されるます。
既存の太陽光発電システムも売電価格は40円に下がります。
買取期間は増設した太陽光発電システムも含めて2012年の6月から10年間となります。

各年度の売電制度の一覧は以下のとおりです。
増設を検討する際は必ず既設部の売電申請日を確認するようにしてください。

各年度の売電価格と売電期間
売電申請日 住宅用(10kW未満) 産業用(10kW以上)
売電価格 売電期間 売電価格 売電期間
平成21年度(2009年度) 48円/kWh 10年間 24円/kWh 10年間
平成22年度(2010年度) 48円/kWh 10年間 24円/kWh 10年間
平成23年度(2011年度) 42円/kWh 10年間 40円/kWh 10年間
平成24年度(2012年6月30日まで) 42円/kWh 10年間 40円/kWh 10年間
平成24年度(2012年7月1日以降) 42円/kWh 10年間 40円/kWh+消費税 20年間
平成25年度(2013年度) 38円/kWh 10年間 36円/kWh+消費税 20年間
平成26年度(2014年度) 37円/kWh 10年間 32円/kWh+消費税 20年間

※特に表記が無いものはすべて内税。

太陽光発電の増設ルール5:既設部の購入時に受け取った国の補助金は返還する必要はない

平成25年度まであった国の補助金は10kW未満を対象として支給されていました。
ですが、増設をして10kW以上になったとしても受け取った補助金は返す必要はありません。

太陽光発電の増設ルール6:10kW未満から10kW以上に増設しても全量買取にはならない

増設を考えらえるケースで圧倒的に多いのが、10kW未満の住宅用で設置していた方が、10kW以上を目指すケースです。
この際に注意して頂きたいのは、10kW以上に増設しても全量買取にはならないという事です。
あくまで余剰買取のままです。
上の例1のケースでも売電価格は38.88円に上がり、売電期間も20年に伸びていますが、あくまで余剰買取のままです。

太陽光発電の増設ルール7:既設部と増設部のメーカーは違ってもOK

増設の場合、既設部と増設部のメーカーが変わってもなんら問題はありません。
 
例えば既設部がシャープで増設部がソーラーフロンティアという
組み合わせも可能です。

太陽光発電を増設する時の注意点:10kW以上・10kW未満の考え方

増設して10kW以上を目指すケースで、うっかり増設したのに10kW以上にならないケースがあります。
太陽光発電システムが10kW以上かどうかを測るルールとして、システムの太陽光パネルの出力合計とパワコンの定格出力の小さい方の数字を使うというものがあります。

250Wの太陽光パネルを24枚で6.00kWの太陽光発電システムの場合、通常パワコンは定格出力5.5kWのものを使用します。
そうなると上記のルールで考えると、6.0kW>5.5kWなので計算上5.5kWとみなします。

この時にうっかり既存の太陽光発電システムが6.0kWだから250Wの太陽光パネルを16枚で4.0kWの太陽光発電システムを増設しようとすると、通常この場合パワコンは定格出力4.0kWのものを使用しますので、どちらも出力値は同じで4.0kWが計算上使用されます。

太陽光パネルを10kW以上設置しているのに10kW未満とみなされるケース
項目 既設部 増設部 合計
太陽光パネル 6.0kW 4.0kW 10.0kW
パワコン 5.5kW 4.0kW 9.5kW
実際の設置容量 5.5kW 4.0kW 9.5kW

パネルの出力合計では10kWぴったりで超えているのに、10kW以上の産業用としてみなされないという残念な結果を招いてしまいます。

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