1993年から始まった住宅用太陽光発電の歴史・普及の軌跡
住宅用太陽光発電はどうやって普及してきたのか?
こんにちは!
「太陽光発電と蓄電池の見積サイト『ソーラーパートナーズ』」記事編集部です。
住宅用太陽光発電について再考するシリーズがここ最近続いていましたが、今回は住宅用太陽光発電の歴史を振り返ってみようと思います。
内容としては以下のようなことをお伝えできればと思います。
- 「住宅用太陽光発電は安くなった」といわれてるが、もともとどれくらいの値段だったのか?
- 何が原因で、太陽光発電システムの価格は下落していったのか?
- どんな時代に、どのような人が太陽光発電システムを買っていたのか?
住宅用太陽光発電は、もともとどれくらいの値段だったのか?
住宅用太陽光発電が日本で最初に販売されたのは、今からおよそ20年前、1993年です。
経済産業省の資料に、当時の太陽光発電システムの価格が載っていました。
太陽光発電の現状と今後の政策の方向性 (p.1)|経済産業省
1993年当時の住宅用太陽光発電の価格は、なんと1kWあたり370万円/kWもしたのです!
全国平均の設置容量の4kWの太陽光発電システムであれば1480万円!!!
訪問販売会社もびっくりの価格です。
当然、一般の家庭が容易に導入できるようなものではありませんでした。
太陽光発電の補助金制度が1994年から開始
補助金制度も1994年度からスタートしていましたが、それでもまだ200万円/kW(1994年)と高く、住宅用太陽光発電が普及する上で、価格面でのハードルはかなり高かったのです。
技術の進歩や大量生産化、安価な中国メーカーの台頭などによってコストが大きく下がり、現在では当時の5分の1程度の価格にまで下がってきました。
1995年~2000年頃の購入動機は新しい技術や環境意識
住宅用太陽光発電が世に出た1993年頃は、冒頭で述べた通り価格が非常に高額でした。
その上、せっかく高いお金を払って設置しても、
「本当に期待通り発電するのか?」
「すぐに壊れるのではないか?」
といったことが、実例が無かったためよくわからなかったのです。
しかし、そういった中でも初期の頃からリスクをとって太陽光発電を導入する人たちがいて、本や雑誌のインタビュー記事などでよく紹介されていました。
そういう人たちがなぜ太陽光発電を導入するのかというと、製品の機能や具体的な利便性ではなく、
- 技術への興味
- 環境問題に対する強い意識
などを動機として購入したというケースが多かったように思います。
2000年~2008年頃は価格も安定しじわじわと普及が進む
初期の頃からリスクをとって太陽光発電を導入する人たちがある程度いたため、生産効率の向上と性能の向上によって、価格がある程度下がります。
また、太陽光発電を導入した人の紹介記事や、ネット・リアルでの口コミなどを通して体験が共有され、より多くの人たちが太陽光発電の価値や、製品としての安心感を徐々に理解していくことになりました。
しかし補助金があるとはいっても高額であることには変わりはありませんので、なかなか爆発的にとはいきませんでした。
また、価格がそれなりに下がったため、2006年~2008年の間は補助金制度も一度廃止されています。
2009年に余剰電力買取制度が施行され補助金も復活
再生可能エネルギーの固定価格買取制度について(p.4)|経済産業省 資源エネルギー庁
2009年から政府が余剰電力買取制度(売電制度)を開始し補助金制度も復活させ、さらなる普及支援を行います。
こういった施策が徐々に実を結び、その後、太陽光発電は順調に広がっていきました。
2009年以前は、太陽光発電で発電した電気は、買電価格と同じ金額で電力会社が買い取っていました。
ところが2009年から始まった売電制度によって買電価格よりもかなり高く売電することができるようになり、「太陽光発電を設置すると金銭メリットがある」という状況に一転します。
この頃から購入動機に売電(経済性)の占める割合が大きくなってきます。
2011年の東日本大震災、2012年の全量買取制度開始
2011年には東日本大震災を経験し、太陽光発電のもつ自家発電の価値が改めて認識されるようになります。
また、原発事故の影響で日本全国で原子力発電が停止され、再生可能エネルギーの重要性が再認識されます。
そして制度の面でも、2011年の補助金制度に「上限キャップ価格」という仕組みが導入されました。
「上限キャップ価格」は「この金額より高く太陽光発電を買った場合は補助金を出しませんよ」というもので、補助金を受けられるようにするために、さらに価格が下がるようになります。
2011年から始まった国の補助金の上限キャップ価格
2012年には、10kW以上の太陽光発電システムはすべての電力を買い取る全量買取制度も始まり、一気に認知度が上がります。
そして価格が十分に下がったため、2014年からは国の補助金は廃止されています。
市区町村や都道府県からの補助金は一部残っています。
最近では固定価格買取制度(売電制度)の再エネ賦課金※が高いという批判も出てきているため、「売電」ではなく蓄電池などの「自家発電・自家消費」が注目されてきています。
(※火力などほかの電源よりも高く買い取った分の差額を国民全体で負担する仕組み)
こうした中、まさに太陽光発電の「機能」が購入動機の大きな部分を占めるケースも多くなってきています。
もはや太陽光発電は「新しい物好き」の人たちではなく、いわゆる一般の家庭が「電気を生み出す太陽光発電」という機能を求めて導入を検討する時代ということです。
まとめ
今回振り返ってみて、世の中の大多数の人が太陽光発電を導入するのに必要な環境が、既に整っているのだと改めて感じました。
住宅用太陽光発電は1993年に日本で最初に販売されてからもう20年以上経っています。
住宅への導入件数は2011年に100万件を突破し、価格は1kWあたり370万円から40万円程に劇的に下がりました。
太陽光を電気に変換する変換効率などの性能も向上し、ある程度の発電量を得るために必要な屋根の面積はかなり少なくて済むようになっています。
そして、20年も昔に設置した太陽光発電の多くが今も稼働を続けている事実を見ても、製品の「安心感」というものは、既に証明済みだ思います。
住宅用の太陽光発電システムには、10~25年間のメーカー保証※がありますし、実際に稼働しているものの例として、住宅用ではないですが、京セラの佐倉ソーラーセンターの太陽光発電システムは1984年から2009年までの25年間ノーメンテナンスで稼働し続け、現在も室内照明や非常用設備に利用されています。
(※メーカー保証の期間や対象期間はメーカーごとに違います。)
もし、これまでずっと太陽光発電に興味をもっていたにも関わらず、価格やなんらかの不安を理由に導入を先送りされていた方は、そろそろ本格的に導入を検討しても良い時期だと思います。
何でも相談に乗りますので、まずはお気軽にご連絡頂ければと思います。