“どうする?ソーラー”は経済産業省の2019年問題対策!買取期間 満了後お得な選択肢は?
資源エネルギー庁が2019年問題のポータルサイトを開設
2018年10月25日、経済産業省資源エネルギー庁が住宅用太陽光発電設備の買取期間満了を迎える、いわゆる2019年問題対象者向けの情報提供サイト「どうする?ソーラー」を開設しました。
既に興味深い情報がいろいろと掲載されていますが、専門家でないと理解しにくい部分も多いので、重要ポイントをわかりやすく解説していきたいと思います。
「どうする?ソーラー」重要ポイント
- 固定買取後の選択肢、一つ目は「自家消費」
- 固定買取後の選択肢、二つ目は「相対・自由契約」
- 大手電力会社の買取メニュー発表は2019年4月~6月ごろ
- 売電価格0円は例外中の例外
- 過剰なセールストークに注意
- 東京、北陸、関西電力及び離島エリアは大手電力会社の買取継続予定
- パネルの付け替えは固定買取の対象外
重要ポイント1.
固定買取後の選択肢、一つ目は「自家消費」
どうする?ソーラー|経済産業省資源エネルギー庁(赤枠はソーラーパートナーズ作成)
「どうする?ソーラー」で固定買取期間終了後の一つ目の選択肢として記載されているのが「自家消費」です。
自家消費とはつまり「安い金額で売電するのであれば、つくった電気をご家庭で使うのにまわしたほうがお得」ということです。
「自家消費」の方法として家庭用蓄電池、電気自動車(V2H)、エコキュートが紹介されています。
自家消費の方法1. 「家庭用蓄電池」
太陽光発電でつくった電気を自家消費する方法と聞いて最初に思い浮かべるのが蓄電池ではないでしょうか。
蓄電池があれば太陽光発電でつくった電気を蓄電池に貯めて、太陽光発電が発電しない時間帯に放電することで自家消費比率を高めることができます。
ただ、一点注意が必要なのは、自家消費比率を高めることで経済メリットを生むことができるものの、蓄電池は導入費用が高額だということです。
あくまで蓄電池は経済効果が目的の製品ではなく、災害時に電気が使える「安心」や電力会社に頼らない暮らしができる「エコ」を目的とした製品です。
近年自然災害による停電も増えておりますので、ちゃんと停電時の対策をしておきたいという方は蓄電池の導入がお勧めです。
蓄電池の導入で太陽光発電のパワーコンディショナが新品に
実は2019年問題対象者が蓄電池を導入することで得られるメリットがもう一つあります。
それは、蓄電池のパワーコンディショナを太陽光発電にも対応した「ハイブリッドパワーコンディショナ」にすることで、既存の太陽光発電のパワーコンディショナの修理、交換が不要になるということです。
2019年問題対象者の場合、パワーコンディショナの保証期間は10年間のはずなので、それ以降の修理、交換は有償になってしまいます。
蓄電池の導入によってパワーコンディショナの交換が不要になるのは大きなメリットです。
自家消費の方法2.「電気自動車(V2H)」
近年著しく普及している電気自動車も太陽光発電を自家消費するのに非常に役に立ちます。
太陽光発電でつくった電気を電気自動車に貯めて、車を走らせるエネルギーとすることで自家消費比率を高めることができます。
また、V2Hという機器を導入すれば、太陽光発電で作った電気を電気自動車に貯めるだけでなく、更にその電気をご家庭に流して使うことも可能です。
最近ではニチコンが希望小売価格398,000円(消費税・設置工事費別)という安価な製品も発表しており、V2Hは固定価格買取期間終了後の現実的な選択肢であると言えます。
既に電気自動車を所有している方にはV2Hがお勧めです。
自家消費の方法3.「エコキュート」
「どうする?ソーラー」の中では少しだけしか紹介されていませんが、電気給湯器のエコキュートの導入も自家消費比率を高めることにつながります。
従来のエコキュートは電気料金のプランを深夜が割安、日中が割高ないわゆる「深夜電力」にして、深夜の電気代が安い時間帯にお湯を沸かすというものでした。
しかし最近では、太陽光発電でつくった電気を使ってお湯を沸かすことで、太陽光発電の電気の自家消費割合を高めることができるエコキュートが発売されています。
先ほど紹介した家庭用蓄電池や電気自動車(V2H)と違い、給湯器は一家に一台必ず必要なものですし、一般的なガス給湯器の寿命は10年程度と言われています。
現在ガス給湯器を利用している方や、給湯器の寿命が近い方は、固定価格買取期間終了を機に、太陽光発電の利用に対応したエコキュートへの切り替えがお勧めです。
重要ポイント2.
固定買取後の選択肢、二つ目は「相対・自由契約」
どうする?ソーラー|経済産業省資源エネルギー庁(赤枠はソーラーパートナーズ作成)
様々な業者が様々な価格で電気を買い取るようになる
そして固定買取終了後のもう一つの選択肢として書かれているのが「相対・自由契約」です。
「相対・自由契約」とは従来と同じく売電を行うということですが、今までと大きく異なるのが電気の販売先とその価格です。
これまで、一部の例外を除くと、太陽光発電でつくった電気の販売先は東京電力や関西電力など、各地域ごとの大手電力会社でした。
しかし、今後は大手電力会社に限らず様々な小売電気事業者が自由な金額で太陽光発電の電気を購入することになります。
魅力的な売電価格で買い取ってくれる業者がでてくる可能性も
2018年10月16日の時点で520事業者が登録小売電気事業者として登録しています。
もちろんその全てが太陽光発電の電気を買い取るとは思えませんが、いくつかの小売電気事業者は魅力的な売電価格で買い取りをしてくれるはずです。
なぜなら、太陽光発電は再生可能エネルギーであるため、火力発電のような枯渇性エネルギーとは異なる「環境価値」があります。
また、エネルギー自給率が低い日本において、数少ない純国産エネルギーでもあります。
小売電気事業者からすると少しぐらい高く買い取ったとしても、「環境にやさしく純国産」という「付加価値」がありますので十分魅力的なのです。
ちなみに、「どうする?ソーラー」では2018年10月26日現在、まだ事業者の公開はされていませんが、すでにページは用意されています。
太陽光発電・蓄電池をAIを使って最適化するプランも
経済産業省が「どうする?ソーラー」を発表したのとほぼ同じタイミングで、AIを使って蓄電池を制御し、最適な充放電を行えるようにするサービスも出てきています。
東電HD傘下の電力小売会社「TRENDE」はAIを使って太陽光、蓄電池を制御し、最適な充放電をすることを前提とした電気料金プラン「あいでんき」を発表しました。
「あいでんき」は深夜が割安、日中が割高な電気料金プランで、翌日の天気予報が晴れの時は、日中の太陽光発電の電気を蓄電すればいいので深夜電力の蓄電は少なめにしておき、逆に雨の時は太陽光発電の発電が足りなくなるので、深夜に目いっぱい蓄電しておくというものです。
「あいでんき」のようにAIを活用したサービスも続々もでてくるかと思います。
ソーラーパートナーズでは卒FITユーザー向けページを準備中
現在ソーラーパートナーズでは、固定買取期間が終了した卒FITユーザーそれぞれの条件にあわせて、「どうするのが一番メリットがあるのか」を解説する特設ページを準備中です。
気になる方は是非このHPを定期的にチェックしてみてください。
重要ポイント3.
大手電力会社の買取メニュー発表は2019年4月~6月ごろ
個別通知・買取メニュー発表に関する主なスケジュール|経済産業省資源エネルギー庁
各電力会社の買取メニュー発表に関するおおまかなスケジュールが発表となりました。
大手電力会社からはの発表は2019年4月~6月を予定しているとのことですが、それ以前に各電力会社が任意で発表するケースもあるようです。
実際、大手電力会社ではありませんが、すでに10円/kWhでの買取を発表している事業者もあり、今後続々と発表があると予想されます。
重要ポイント4.
売電価格0円は例外中の例外
ソーラーパートナーズにご相談の連絡をしていただいた検討者の方から、
「10年経ったら電気は買い取ってもらえないって聞いたんですが...」
「10年後は無料で電気を売らないといけないんですよね」
とご質問をいただくことが多いです。
実際には売電ができなくなるはずがないのですが、「売電できないわけではなく電気を売る価格が下がるだけですよ」と回答してもなかなか信じてもらえないことも何度かありました。
しかし「どうなる?ソーラー」の中で、はっきりと太陽光で発電した電力の0円での引き取りは、一時的に買手が不在となった場合の例外的なケースである旨が記載されました。
ちなみに、一時的に買い手が不在になる場合の具体例として以下の二つのパターンが紹介されています。
一時的に買い手不在となる具体例
- 小売電気事業者やアグリゲーターとの売電契約の切替が滞ってしまった
- 売電契約先が倒産してしまった
いずれのケースも普通に考えればまず起こりえない話です。
固定買取期間終了後も売電によるメリットは得られますのでご安心ください。
一時的に買い手不在になったときに0円での引き取りになるのはなぜ?
実際にはほとんどあり得ないケースだとはいえ、買い手不在になったときに売電価格0円での引き取りになってしまうのはなぜなのでしょうか。
それは買い手が不在だからと言って、逆潮流(売電)ができない状態にしてしまうと、技術的な問題で電力会社から供給される電気まで遮断されてしまうことが懸念されるからです。
そのため、買い手が不在の場合には一時的に一般送配電事業者が0円で電気を引き取る運用になっているのです。
また、「一般送配電事業者による引き取りあくまで一時的、例外的な措置であるべき」と資源エネルギー庁も他の資料※1で明確に記載しています。
売電価格0円は例外中の例外と考えて問題ありません。
重要ポイント5.
過剰なセールストークに注意
さすが資源エネルギー庁。
2019年問題に関する過剰なセールストークについての注意喚起も「どうなる?ソーラー」に記載してくれました。
例として記載された、注意が必要セールストークは以下の二つです。
注意が必要な営業トーク
- 「0円買取となるため、蓄電池を付けなければ損をすることになる。」
- 「0円買取となるため、当社と売電契約しなければ損をすることになる。」
重要ポイント4でも解説したように、売電価格が0円になることは実質的にはまずあり得ません。
業者から「売電価格が0円」というキーワードを聞いた場合には「怪しいぞ」と思って注意するようにしましょう。
また、2019年問題とは関係なく、これから新たに太陽光発電を導入する方に対しても、様々なセールストークで購入を迫る業者がいるのが現状です。
以下の記事に注意すべきセールストークについてまとめていますので、「自分のことかも」と思った方はソーラーパートナーズまでお気軽にご相談ください。
ご契約後のクーリングオフのご相談も承ります。
重要ポイント6.
東京、北陸、関西電力及び離島エリアは大手電力会社の買取継続予定と記載
東京電力、北陸電力、関西電力管内の場合と離島の場合には、売電価格は変更になるものの、同じ大手電力会社が継続して買取りを行う予定であると記載されています。
そのため、上記にあてはまるエリアの方は、固定買取期間終了後に売電先切り替えの対応をしなくてもそのまま売電を続けることが可能になる予定です。
中部電力も新サービス「これからデンキ」で買取継続と明言
2018年10月26日時点で「どうなる?ソーラー」では記載がありませんでしたが、中部電力も「これからデンキ」というサービスで固定買取制度終了後も電気を買い取る方針を明確にしています。
また、電気を買い取るだけではなく、発電した電気を様々な形で取引できる場として、新たな取引形態となるサービスも検討していると記載されています。
他の大手電力会社も同様のサービスを用意してくれることに期待しましょう。
重要ポイント7.
パネルの付け替えは固定買取の対象外
固定価格買取期間終了後に、「売電価格が安くなるのなら、パネルを付け替えて固定買取期間をリセットしよう」と考えた方もいるかもしれません。
しかし、「どうする?ソーラー」の中で、同じ場所でパネルを付け替えた場合には固定価格買取制度の対象とは認められないことが明記されています。
元々、太陽光発電は20年以上、環境面に悪影響を及ぼすことなく電気を生み出してくれる製品です。
だからこそ売電制度や、以前は補助金制度といった支援を受けられていたわけですので、
経済メリットが少なくなったからと言って廃棄、付け替えをしたのでは本末転倒というわけです。
既に太陽光発電を設置しており、これから固定価格買取期間終了を迎える方は既存の設備をどのように活かしていくかを考えていきましょう。
まとめ
経済産業省資源エネルギー庁が開設した2019年問題対象者向けのポータルサイト「どうする?ソーラー」に記載された重要ポイントは以下の通りです。
「どうする?ソーラー」重要ポイント
- 固定買取後の選択肢、一つ目は「自家消費」
- 固定買取後の選択肢、二つ目は「相対・自由契約」
- 大手電力会社の買取メニュー発表は2019年4月~6月ごろ
- 売電価格0円は例外中の例外
- 過剰なセールストークに注意
- 東京、北陸、関西電力及び離島エリアは大手電力会社の買取継続予定
- パネルの付け替えは固定買取の対象外
2019年問題は「問題」というネーミングのせいでネガティブにとらえられがちですが、
固定買取制度が始まって依頼初めての「卒業生」が生まれるということは太陽光発電が真の自立化に向けて、新しいフェーズに入った証です。
一部では2019年問題対象者のことを「FIT難民」と呼んでいる週刊誌などもあるようですが、実際には固定買取期間中にほとんど初期投資費用は回収、既に収益を生んでいることも珍しくないうえ、
固定買取期間終了後も「自家消費」「相対・自由契約」による経済メリットを手に入れ続けることができます。
「難民」と呼ぶにはあまりにも羨ましい状況のように感じるのは私だけでしょうか。
ソーラーパートナーズでは、これから太陽光発電を設置したいという方だけでなく、蓄電池やV2H、エコキュートを導入したいという「FIT卒業生」の方にも全国の優良工事会社のご紹介が可能です。
お見積りは無料ですので、ご希望の方は以下のフォームよりお気軽にご依頼ください。