太陽光発電の買い取り価格半減でも全然大丈夫!2025年の売電価格目標の意味とは?
日経新聞が1面で『買取価格が半減になる』という報道
日経新聞が、「太陽光発電、 買い取り価格半減へ 経産省方針」というこれまた極めて誤解を招きやすいタイトルの記事を2018年9月11日に書いてきました。
内容は2025年度~27年度までに住宅用太陽光発電の買取価格を11円程度まで下げる目標を掲げるというものです。
太陽光発電、買い取り価格半減へ 経産省方針|日本経済新聞
経済産業省は事業者や家庭から買い取る太陽光発電の価格を大きく下げる。1キロワット時あたりの買い取り価格を事業用は2022年度、家庭用は25年度にも半額にする目標を掲げる。太陽光発電はコストの一部を消費者が負担している。膨らむ負担を抑えるため、コストの抑制を促す。
経済産業省が2025年度の売電価格目標を発表
今回なぜ日経でこのような報道が出たのかというと、2018年9月12日に開催された「第8回 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」という経済産業省の会議の資料に、以下の様な記載があったからです。
目指すべきコスト水準に関する今後の方向性(案)|経済産業省
住宅用太陽光発電については、中間整理で示したとおり、蓄電池等と組み合わせながら、自家消費モデルを促進しつつ、FIT制度からの自立化を図っていくことが重要ではないか。
価格目標については、事業用太陽光発電のコスト低減スピードと歩調を合わせつつ、自立化を一層促していくため、「できるだけ早期に」という卸電力市場並み(11円/kWh)の調達価格を実現する時期を、事業用太陽光と同時期(2025~2027年度)
と明確化することについて、自家消費も含めた「FIT制度から自立したモデルの在り方」と併せて検討していくべきではないか。
おそらく日経はこの情報を事前に入手し、記事にしたのだと思います。
これを見た、現在導入検討中の方々から心配の声がたくさん届きましたので、今回の経済産業省からの発表は極めてポジティブな内容であるという事を説明させて頂きたいと思います。
なぜ今回の発表内容がポジティブなのか?
来年度(2019年度)の買取価格は既に確定していて24円です。(26円エリアもあります。)
区分 | 2018年度 | 2019年度 | 調達期間 | |
---|---|---|---|---|
買取価格 (10kW未満) |
出力制御対応機器 設置義務なし |
26円/kWh | 24円/kWh | 10年間 |
出力制御対応機器 設置義務あり |
28円/kWh | 26円/kWh | 10年間 |
そして元々できるだけ早期に11円(市場価格)を実現させるという目標は掲げられており、今回の発表は具体的な目標時期が示されたという内容なのです。
資料2 コストダウンの加速化について(目指すべきコスト水準と入札制)|経済産業省 p.13
今回の発表が極めてポジティブな内容と書いたのはこの目標時期が「できるだけ早期に」というあいまいな表現だったものから、現実的で無理のない具体的な目標時期になったからです。
計算上は毎年2円ずつ売電価格を下げていくと2026年には11円/kWhに到達しますので十分現実的なプランだと言えます。
昨年「このできるだけ早期に」という目標が発表された時には、もしできるだけというのが再来年あたりの事だったらどうしようと思っていたのですが、今回それは2025年度~27年度あたりという事が判明しましたので胸をなでおろした所です。
まとめ
太陽光発電の売電価格に関する報道は、なぜか毎回「今年も引き下げ」など、ネガティブな表現を使っていて、憤りを感じます。
当然、このようなネガティブな印象で報道されれば、太陽光発電についてそれほど詳しくない人からすると、「太陽光発電はもうダメなんだな」という印象をもってしまうことになりますが、実際は全くそんなことは無く、設置費用が順調に下がっていっている状況なのです。
一人でも多くの方に、太陽光発電に関する正しい情報が届けばと思い、いつも記事にしていますが、本当に残念です。
純国産エネルギーであり再生可能エネルギーである太陽光発電が、少しでも多く、健全な形で普及していって欲しいと願うばかりです。