太陽光発電kWh時代の到来で京セラの耐久性が強みになる
kWhで考える市場になりつつある
中村:
御社の今後の市場戦略について、言える範囲でお聞かせいただけますか。
戸成氏:
戦略と呼べるほどのものかはわかりませんが、kWではなく、kWhを中心とした考え方の市場にしたいと思いますし、実際に市場はそのような流れになりつつあります。
例えば、電力購入契約(PPA)の市場が今後拡大するだろうと予測されていますが、PPAはkWh、つまり発電量をベースに考えられる仕組みです。
そもそも太陽光発電の費用対効果を発電量で測らずに表面的なスペックであるkWを基準に測るのが一般的になっている現状がおかしいのですが...。
電力購入契約(PPA)とは
PPAとはPower Purchase Agreementの略で、直訳すると「電力購入契約」。
PPAは発電事業者の費用負担で施主の屋根に太陽光を設置し、
発電した分を従来の電力会社との契約よりも割安な電気料金で提供するという方法。
施主自身が導入費用を負担するわけではないのでkW単価を気にする必要がなく、また、発電量に応じて購入電力量が決まるのでkWhに着目されるようになる。
ちなみにPPAの仕組みでは、一定期間が経過したあとには設置した太陽光発電は建物所有者に譲渡されるのが一般的。
電力自由化以降、電力会社の乗り換えが一般的になってきていることもあり、
発電事業者からすると10年や20年といった長期間にわたって、電力契約を継続できるというメリットがある。
携帯電話の長期契約が割安なのと同じようなイメージです。
kWhで考えれば長期耐久性の強みが活きる
中村:
kWh中心の市場になれば御社にはやりやすい環境になるということでしょうか。
戸成氏:
やりやすくなります。
繰り返しになりますが、長期耐久性という面は京セラの強みですし、実際に1984年に佐倉ソーラーエネルギーセンターに設置したパネルがわずか一割程度の出力低下で現在も稼働しているという実績もあります。
初期投資額におけるkW単価が若干高かったとしても、寿命が長ければ生涯におけるkWh単価で考えればお得になります。
耐久性に強みを持つ弊社としては、現在のkW中心の考え方から、kWh中心に移行していくのは歓迎できることですし、そうなるべきだと思います。
販売店網「京セラソーラーFC」の存在も重要
中村:
あとは京セラソーラーFCの存在も御社の強みと言えるのではないでしょうか。
弊社のパートナー企業でも京セラソーラーFCに加盟している企業が何社かありますが、
いずれの企業も非常にきっちりとした営業対応で、お客様から選ばれることがとても多いです。
戸成氏:
もちろん、京セラソーラーFCは非常に重要な存在です。
我々は他メーカーと異なり、大型家電や建材を取り扱っていないため、そういった方面での販売ルートを持っていません。
そのため、京セラソーラーFC店をはじめとする販売店が真摯にお客様と向き合い、ご提案をすることで、商流を切り開いていくということが重要な意味を持っています。
日頃より丁寧にお客様と接していただいている、京セラソーラーFC店をはじめとする販売店の皆様には非常に感謝しています。
各メーカーが切磋琢磨して業界が盛り上がることを望む
中村:
最後になりましたが、何か言い足りないことなどあればお願いします。
戸成氏:太陽光発電は設置した方の大半が満足している製品であるにも関わらず、
まだまだ、「設置しているのが当たりまえ」という状況にはなっていません。
繰り返しになってしましまいますが、太陽光発電はまだまだ各メーカーが競争するような段階ではなく業界が一丸となって市場を盛り上げて行くことを考えていくべきです。
太陽光発電が非常に素晴らしい製品であることは間違いありません。
太陽光発電がもっと普及するように、各メーカーが切磋琢磨しながら盛り上げていきたいですね。