kWで選ぶ日本人kWhで選ぶドイツ人 Qセルズは年間発電量を追求
低照度特性の理由は「ドイツ育ち」だから!?
中村:
御社のパネルはQ.ANTUMテクノロジーという名称がついていますが、構造は単結晶PERCという事で間違いはないでしょうか。
東氏:
間違いないです。現在主流のPERCですね。
PERC(Passivated Emitter and Rear Cell)とは
セル裏面側にパッシベーション層(不活性化層)を形成することで、反射した光を取り入れる技術のこと。グローバルメーカーの多くが採用しています。
中村:
Qセルズのパネルは曇りの日や雨の日にも発電する低照度特性が売りですよね。
実際にパンフレットにも「Q.ANTUM太陽電池モジュールは朝夕や曇りの時など低照度に強い」と書かれていますが、
御社のパネルが低照度に強いのは「構造がPERCだから」だと考えてよろしいでしょうか。
カタログには「北緯51度のドイツ・ライプチヒ。そこで育ったからこそ実現できた高性能と優れた低照度特性」とも表記されていますが、
「高緯度のドイツで育ったパネルだと優れた低照度特性になる」という点が正直ピンとこないのですが。
Qセルズ住宅用太陽光発電システムカタログより
東氏:
構造がPERCだというのも低照度での発電量が高い理由の一つですが、カタログに書かれているように、低照度特性に優れている一番の理由は、北海道より高緯度のドイツで育ったパネルだということです。
中村:
高緯度のドイツで育つと低照度に強くなるというのはどういうことでしょうか?
東氏:
つまりは高緯度のドイツで発電量を最大化させるためにパネルを最適化させた結果が、低照度特性を高めることにつながったということです。
日照条件の良くないドイツでも発電するようなパネルにしないと、市場に認められないですからね。
スペックで選ぶ日本人、実利を選ぶドイツ人
東氏:
少し話がそれますが、ドイツ人は堅実な性格で日本人にとても似ていますが、資産運用のこととなると日本人と決定的に違う考えを持っています。
日本人は働いて稼いだお金は貯金するという方が多く、いわゆる投資をする方は少数派ですが、ドイツ人は稼いだお金を
どう運用するかという事を非常によく考えます。
平日には働いて休日には投資の勉強にいくというのが一般的なドイツ人のお父さん像です。
中村:
確かに日本人は投資に積極的とは言えませんね。
東氏:
そのように投資についてよく勉強しているドイツ人ですから、当然太陽光発電を購入するときにも利回り計算などをしっかりされるわけです。
そのため太陽光メーカーとして認められるためには表面的なスペックではなく、年間でどのくらい発電するのか、結局どのぐらい儲かるのかということシビアに確認されます。
太陽光発電のパネル自体に価値はなく、そこから生み出される電気に価値があるわけですから当然といえば当然です。
中村:
「実利を優先した」ということですね。
kWより重要なkWh
東氏:
ドイツやヨーロッパは日本よりも高緯度ですから、そんなにしょっちゅういい天気とはいきません。
そのような中で認められるためには、カンカン照りの日に最高の発電量を出すことよりも、曇りの日や、朝や夕方などの照度の低いときを含めた、一年を通した発電量が優れていることが求められます。
中村:
「kWではなくて、kWh」だということですね。非常に合理的な話です。
東氏:
日照条件が良くないドイツで、kWhつまり発電量を求めていった。
そのために低照度特性を高めた。
だからQセルズのパネルは低照度特性に優れているんです。