Qセルズ低価格の理由は大量仕入れとグループ会社内での部材調達
大量生産・大量仕入れで低価格を実現
中村:
販売店が低価格の製品を求めていたタイミングで参入したのが、御社の成功要因の一つだったとのことですが、そもそも、なぜ御社は低価格で高品質な太陽光発電を製造することができるのでしょうか。
東氏:
他メーカーとの一番の違いはモジュールの製造にかかるコストだと思います。特に原料費には大きな差があると思いますよ。
中村:
原料費でそんなに差がつくものなのでしょうか。
東氏:
太陽光発電に限らず、多く仕入れれば仕入れるほど価格が下がるのは当たり前の市場原理ですが、当社はこの仕入れ規模に大きな強みがあります。
当社の市場は日本だけではなく世界中で、累計出荷数20GW以上と世界でもトップクラスです。
当然、原材料も多くの日本メーカーとは比較にならないほどの量を仕入れています。そのため、圧倒的にコストを抑えることができます。
シリコン以外の原材料も大量仕入れで安い
中村:
太陽光発電の主な原料はシリコンですよね。シリコンの仕入れ価格に差がつくのでしょうか。
東氏:
シリコンは全体的に原料費が下がっているので仕入れ価格に極端な差はつきにくくなってきています。
それよりも大きな差がつくのはモジュールの表面を覆うガラスやアルミフレーム、端子ボックスなどの仕入れ価格です。
とにかくたくさん製造をして、たくさん仕入れをしないとガラスやアルミフレーム、端子ボックスなどを安く仕入れることは困難です。
中村:
モジュール原料というと真っ先にシリコンが思い浮かびますが、確かに改めて考えてみるとシリコン以外にも多くの部材が使われていますね。
それぞれの仕入れ原価が違えば製造コストに大きな差がつくのは当然ですね。
仕入れ原価を下げるためには大量仕入れが求められることを考えると、日本メーカーも国内市場だけを相手にしていたのでは、このコストの違いを埋めることはできないように感じますね。
東氏:
国内の小さな市場だけを相手にしていたのではグローバルメーカーと同等の価格競争力を持つことは難しいでしょうね。
世界のあらゆる市場でシェアを確保して大量生産を実現しないことにはコスト面に大きな差がつくことは間違いありません。
一部の部材はグループ会社から調達が可能
東氏:
また、原材料費の削減に関して付け加えると、当社はバックシート(樹脂製の絶縁材)やEVA(セルとバックシートを固定する封止材)といった部材はグループ会社内で調達しています。
当然外部から仕入れるよりも価格は安く抑えられます。
中村:
グループ会社からの調達は非常に有利ですね。
東氏:よく「海外メーカーは人件費が安いから価格が安い」と言われますが、それはほとんど関係ありません。
コストを下げるために必要なのは大量生産と大量仕入れ、それと外注による余計な費用の発生を避けること。
これに尽きます。