パナソニックの太陽光発電は高級品ではない 新築市場での課題と戦略とは
建設会社が間に入る新築市場では既築ほどの強さをみせられず
中村
現在、住宅用太陽光発電は60%が既築、40%が新築の市場と言われています。既築市場においては圧倒的な強さを誇る御社も、新築市場となるととたんに元気がなくなるのはなぜでしょうか。
吉田氏
残念ながら仰る通りで新築市場のシェアは課題だと認識しています。
既築市場と新築市場の明確な違いは、既築の場合には販売店に直接提案をするのに対して、新築の場合は販売店と消費者の間にハウスメーカーや工務店などのプレイヤーが入ることです。
そのため大手ハウスメーカーさんとの関係性が強いシャープ、京セラのシェアが高い状態が続いています。
また、当社が新築のシェアを延ばせていない原因として、もう一つ明確なものがあります。
我々はグループ企業にハウスメーカーのパナホームがありますが、このパナホームとの一対一の提携を密にしていた。
逆を言えば強くし過ぎてしまったという反省があります。
(※2017年10月にパナホーム株式会社はパナソニックの完全子会社となり、2018年4月にパナソニックホームズ株式会社へと社名変更予定)
中村
そういう事情もあったのですね。
今後の新築市場を攻略していく上で、御社にはどのような強みがあるとお考えでしょうか。
住宅建材を幅広く取り扱っているため新築では総合的な提案が可能
吉田氏
世間にはあまり知られていませんが、実はパナソニックには太陽光発電に限らず、新築向けの製品が多数あります。
例えば住宅で使われる配線器具はトップシェアですし、キッチンやお風呂、コンセントやスイッチに至るまで幅広く取り扱っています。
もちろん、HEMS、エコキュートやIH、そしてこれから重要となってくる蓄電池も自社製で用意しています。
これらの商品と太陽光発電を新築ハウスメーカー、工務店向けに総合的に提案していく事ができるというのが一番の強みであると思います。
中村
太陽光発電だけでなく総合的な提案ができるのは御社ならではの強みですね。
そういえば、先日、私がご相談に乗ったお客様で「躯体はテクノストラクチャー工法で建てる家で、IHやエコキュート、建具までパナソニックで揃えているから、もちろん太陽光発電もパナソニックにしたい」というお客様がいらっしゃいました。
※テクノストラクチャー工法とはパナソニック株式会社 エコソリューションズ社 ハウジングシステム事業部傘下のパナソニックESテクノストラクチャー株式会社が展開している独自の耐震工法
吉田氏
家を含めた住宅設備全般をまとめてお任せいただけるのは本当に嬉しい話です。
パナソニックは高級品ではない
中村
実を言うと、このお客様は当初「パナソニックの太陽光発電は性能はいいけど高い」というイメージをお持ちで、お客様から「住宅にかけられる予算が限られているので安価な海外メーカーを選んだほうがいいのでしょうか」とのご質問を受けました。
しかし御社のHITの相場をお伝えしたところ、「パナソニックのHITがそんな値段で買えるんですか?」という反応で、すんなりパナソニックに決めていました。
このお客様のように「パナソニックの太陽光発電は高級品」というイメージを持っている検討者は多いです。
「高性能だけど高い」というイメージを持たれてしまうことは御社にとってあまり良い話ではないですよね。
吉田氏
「パナソニックは高級品」というイメージを持たれてしまうのは当社の望むところではありません。
当社の製品は性能に対する信頼性という所が一番の売りではありますが、価格面でも市場環境に合わせて柔軟に対応するようにしています。「高級品」というイメージで敬遠されてしまうのは非常に残念ですね。
中村
私もパナソニックの性能から考えると、十分に割安な価格設定だと思います。
ただ「高性能のパナソニックが手ごろな価格で買える」という情報がまだ浸透していないようにも感じますので、その点がしっかりと伝わればもっと多くのお客様からっ求められるようになるのではないかと思います。
特に新築市場に関して言うと、工務店やハウスメーカーのおすすめしたメーカーをそのまま選ぶ方も多いですが、残念ながら工務店やハウスメーカーの担当者は太陽光発電に関する最新情報は持ち合わせていません。
そのような担当者が「パナソニックは高級路線」という過去のイメージを引きずって、御社の商品を遠ざけているということがあると思います。
吉田氏
お客様だけでなく、太陽光発電に詳しくない工務店やハウスメーカーの営業の方々に対して、いかに「HIT」が「高性能だけどお求めやすい商品」だと伝えていくかはこれからの課題ですね。
中村
残念ながら太陽光発電を販売する立場でも業界動向についていけていない方は多いですからね。HITの性能が優れていることは実際の発電量からも明らかなので、あとはどれだけ伝えられるかですね。
吉田氏
その通りです。製品には絶対の自信がありますから。