蓄電池の寿命はどれくらい?劣化(耐用年数)やサイクルについて解説!
蓄電池の寿命はおおよそ15年から20年です。メーカーによって異なりますが、メーカー保証とサイクル数を参考に判断することができます。
停電時の備えになるだけではなく、深夜電力の活用や、太陽光発電の電気を自家消費することで経済メリットを生み出すことができる家庭用蓄電池。
導入の目的は人それぞれですが、「できるだけ長期間使いたい」という点は誰もが共通ではないでしょうか。
しかし、いざ蓄電池の寿命を調べてみても、「聞きなれない表現が多くわかりにくい」という声がよく聞こえてきます。
そこで、この記事では蓄電池の劣化や寿命についてわかりやすくご説明させていただきます。
また、蓄電池の劣化を考える際に重要な「サイクル寿命」の考え方についても併せて解説いたします。
蓄電池の概要や、そもそも太陽光発電について把握したい方はこちらの記事もご覧ください
蓄電池の寿命はおおよそ15~20年
個体差があるものの蓄電池の寿命は大体15年から20年です。
本当に20年間蓄電池を一般家庭で使用している方はほとんどいらっしゃいませんが、「使用年数」と「サイクル」という考え方から、少なくとも15年以上は持つだろうと判断することができます。
蓄電池の使用年数とは?メーカー保証の考え方
「使用年数」とは、「何年使用して蓄電池の性能が何パーセント保証されるか」という指標です。
各メーカーの保証内容も「蓄電池本体は15年で50~60%の蓄電性能を保証」と定められているところがほとんどです。
保証した性能を下回るとメーカー側で修理交換対応が必要になるので、本来の性能からかなり余裕をもって保証基準を設定します。
そのため、寿命の根拠としては強い裏付けです。
現在の家庭用蓄電池のメーカー保証の年数は、一部短いメーカーで10年、基本は15年、長いところで20年です。
蓄電池のサイクルとは?
次に「サイクル」ですが、各メーカーが商品ごとに公開している「充放電を何回繰り返せるか」という指標です。
ここで「サイクル数」や「サイクル寿命」って言葉は何か違うの?と疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
順を追って、サイクルの考え方について解説していきます。
家庭用蓄電池もスマートフォンのバッテリーも「リチウムイオン蓄電池」
スマートフォンを何年も使っていると、「徐々に電池の持ちが悪くなってきて、気づくとあっという間にバッテリーが切れるようになってしまった。」という経験はないでしょうか。
これはスマートフォンに内蔵されているバッテリーが劣化して、蓄電可能容量が減少してしまったことが原因です。
今回とりあげる家庭用蓄電池もスマートフォンのバッテリーも、現在の主流は「リチウムイオン」を使用したものです。
同じリチウムイオン蓄電池ですので、家庭用蓄電池もスマートフォンと同様に徐々に蓄電可能容量が減少していきます。
家庭用蓄電池はスマートフォンより遥かに劣化しにくい
同じリチウムイオン蓄電池とはいえ、家庭用蓄電池はスマートフォンより遥かに劣化しにくく設計されています。
参考までに、スマートフォンの代表格であるiPhoneとシャープの家庭用蓄電池を比較してみます。
“iPhone 15 以降のモデルのバッテリーは、理想的な条件下で使用された場合、フル充電サイクルを 1,000 回繰り返した後も本来の蓄電容量の 80% を維持するよう設計されています”
“約12,000回(従来機は約8,000回)の充放電を繰り返しても初期の約70%の容量を維持できます”
家庭用蓄電池は設計段階で、iPhoneに比べて圧倒的に劣化しにくいのがわかりますね。
「サイクル数」と「サイクル寿命」の考え方
家庭用蓄電池がスマートフォンに比べて遥かに劣化しにくいことがおわかりいただけたかと思います。
しかし、「サイクル」という言葉が「わかるような、わからないような」といった感じではないでしょうか。
実はひとことにサイクルといっても「サイクル数」と「サイクル寿命」という考え方があります。
サイクル寿命とは
サイクル寿命をシンプルに説明すると、蓄電池を利用する中でどれぐらいの劣化をするかを表します。
蓄電池の寿命を考える際には、機械的な故障や過放電、長期保存による損失なども考慮する必要がありますが、サイクル寿命は非常に重要な指標となります。
サイクルの数え方
蓄電池における「サイクル」とは充電、放電の1セットのことです。
蓄電池の容量が100%→0%→100%となって「1サイクル」です。
ただ、実際には全ての電力を使い切ってから充電するとは限りませんよね。
例えば、100%→50%→100%で2サイクルの充放電をおこなう場合、100%→0%→100%というサイクルと比べて、どちらの方が劣化が進むと思いますか?
寿命に影響を与える「放電深度」
多くの方は、100%→50%→100%で2サイクルの方が劣化が進むと思ったのではないでしょうか。
しかし実際には
「100%→50%→100%で2サイクルの方が100%→0%→100%で1サイクルよりも劣化しない」
が正解です。
これはリチウムイオン蓄電池は容量が0%に近づけば近づくほどサイクル寿命が短くなるという性質があることが理由です。
ちなみに、この放電をして蓄電池容量をどれだけ0%に近づけたかを「放電深度」といいます。
放電深度を0%に近づけなければ、蓄電池は更に劣化しにくくなるということですね。
まとめ
家庭用蓄電池のサイクル寿命に関して抑えておくべきポイントは以下の通りです。
- 家庭用蓄電池の劣化を表す「サイクル寿命」
- 「サイクル数」は100%→0%→100%の充放電がセットで1回と数える。
- 放電深度を0%に近づけなければ、更にサイクル数を延ばすことができる。
業界的にも多くの方がサイクル数=寿命だと勘違いしています。そのため、正しい知識を持った業者で蓄電池を検討することが重要です。
ソーラーパートナーズでは蓄電池だけでなく太陽光発電のご依頼にも対応しておりますので導入をご検討されている方は是非お気軽にご相談ください。