アモルファスシリコン太陽電池が太陽光発電の未来を握る!
シリコン系太陽光発電における原料を大量に使用する問題の打開策?
アモルファス太陽電池は、薄膜による太陽電池です。ガラスなどの基板と呼ばれるものの表面に膜を作るのが一般的ですが、ミクロンサイズ(ミクロンはミリの1000分の1)で非常に薄いものですので、高価な原料を大幅に節約できる事が最大の利点です。しかしながらアモルファス太陽電池は、光が当たることによって変換効率が下がってしまうことが分かっており、変換効率が初期値で13%程度、劣化後では9~10%になってします。
低価格化が実現されても、まだ実用的な変換効率を得ることが出来ないというのが現状です。
薄膜を重ねることで高変換効率の太陽光発電に変身?
ここからは少し専門的な話になりますが、薄膜であるということは複数の種類を重ねることが出来るということが考えられます。太陽電池は材料によって、それぞれ得意な“波長”があります。例えば、赤い光を吸収しやすい、ですとか、黄色い光を吸収しやすい。もしくは赤外線・紫外線なども含まれます。薄膜を数種重ね合わせると、赤外線・可視光線・紫外線とより多くの太陽光エネルギーを取り入れることができますので、太陽光発電の変換効率が高くなるのです。
アモルファスとのハイブリッドで変換効率UP!
アモルファスと単結晶とをハイブリッドした太陽光発電に、パナソニックのHITがあります。また、アモルファスと微結晶薄膜をハイブリッドしたタンデム型太陽光発電も三菱重工業により研究が進んでいます。
NEDOが発表しているロードマップによると、2030年までに更なる変換効率の向上と高い生産性が求められる事が述べられています。太陽光発電の更なる普及の為に、こうしたハイブリッド製品の研究が必要不可欠ですので、アモルファス薄膜の研究に期待が集まります。
丸い屋根にも太陽光発電が設置可能?変幻自在のアモルファス太陽電池!
基本的にはガラス基板に薄膜を作ることが多いアモルファス太陽電池ですが、これをフィルム上に作ることで、曲げることが出来るような太陽電池を作製することが可能です。そうしますと、デザイン性はあるのですが太陽光発電の設置には向かないような丸い屋根にも太陽光発電システムを設置することも、容易に出来るような時代が訪れるかもしれません。
アモルファスシリコン太陽電池のメリット
- 薄膜で使用されるため、原料の大幅な節約ができる
- 薄膜なのでハイブリッドする材料として今後が期待される。
アモルファスシリコン太陽電池のデメリット
- アモルファス単体では変換効率が低い事が難点である。
- ガラス基板にかかるコストの低減も課題である。
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