事業認定の審査が大幅遅れ!太陽光業者の大量倒産の危機
事業計画認定申請の審査長期化は何が問題か
2017年6月19日(水)に資源エネルギー庁から、正式に新規事業計画認定申請の審査が長期化してあいまっている事への公式なお詫びが発表されました。
あまりに軽い文章で、現場で起きていることの重大さがわかっていないのではないかと思われます。
今回は、実際現場ではどのような事が起きているのか、いくつかのケースをあげてみたいと思います。
結論から言えば、以下のケースが発生していることにより、企業の倒産が起きると予想されます。
1. 現金払いの場合
工事が完了しているのに、代金未回収
まずは一番基本的な、太陽光発電の設置工事は完了したものの、事業計画認定がおりていないため連系日が決まらないというケースです。
通常、太陽光発電システムの工事請負契約はその名の通り、太陽光発電システムの設置工事が完了したら残代金を支払ってもらいます。
設置後の連系日の調整は電力会社の管轄だからです。
今までも当然のことながら、設置工事完了日と連系日には数日から下手すると十数日、最大で数十日のずれが発生しておりましたが、それでもほとんどの案件では設置工事完了をもって残代金の支払いをして頂いていました。それは今のような連系がいつになされるか全く不明という状態ではなかったからです。
ところが現在は、いつ事業計画認定の認可がおり、連系日が確定できるのかが全く回答できない状態です。
資源エネルギー庁の発表の通りであれば、設置から3か月以上もお待ち頂かなければなりません。
さすがにこれではお客様も残代金の支払いを渋るのも頷けます。
2. ローン払いの場合
工事が完了しているのに、ローンの支払いがスタート
上記の基本パターンは、全額現金で支払うケースを想定しておりました。
ソーラーローンを組んで購入される方も多数いらっしゃいます。
ソーラーローンは、ローン会社が太陽光発電の設置工事が完了したことをお客様に確認した後に、太陽光業者に代金が振り込まれ、お客様は毎月の支払が始まります。
ですが、今現在起きていることは、設備認定がおりていないために連系日が決まらずに発電ができない状況なのですが、既にローン会社へ工事完了のことを伝えて、ローン支払いが始まっています。
そのため、お客様は電気代が下がるでもなく売電収入が入るでもないので、支払いだけが続いているというケースが多数報告されています。
販売会社としては、代金の回収はできているので経営的には良いですが、ひたすらお客様からのクレームをお受けする形になり社内が疲弊していきます。
ですので今は、スキップローンを利用したりして月の支払いが発生しないように手を打っている企業も出てきています。
そして当然、完了確認をお客様が認めない場合は、ローンは実行されず太陽光業者にはお金が入りません。
3. 新築のケース
工事が完了しているのに、住宅ローンの支払いスタート
上記のソーラーローンのケースも多発しているため、最近は設置工事をひたすら延期し続けているというのが一番多い対処方です。
ところが、新築の際の太陽光発電の設置工事については、住宅ローンに組みこみケースが多いため、引き渡しに合わせて工事を完了させてしまう必要があります。
結果、ソーラーローンの際と同様に、ローン支払いは始まっているものの、太陽光発電は全く稼働できないという状態になっており、お客様だけでなく、元請けである工務店やハウスメーカーからもお叱りを受けるという二重のクレームを受ける形になってしまっています。
間違いなく企業の倒産が増加する
先ほど説明した『1.現金払い~工事が完了しているのに、代金未回収』のケースでは、お客様から代金の支払いをしてもらえていません。
ですがこの時既に太陽光業者は、太陽光発電の設置に必要な部材(パネルやパワコン)の仕入れの支払いをしてしまっています。
なぜなら一般的に、太陽光の部材は納品前入金が多く、良くても納品日の翌月末には支払いをしなければなりません。
例えば、仕入れに100万円かかる案件を毎月10件受注したとすると、翌月には1000万円の支払いをすることになります。
ただ通常、設置完了の翌月にはお客様から残代金の支払いがありますので、同じような規模の受注を続けていれば現金残高が大きく減ることはありません。
入金:お客様からのお支払い(毎月1200万円)
出金:部材の仕入れのための費用(毎月1000万円)
ところが資源エネルギー庁の審査遅れによってお客様からの入金が無い今の状況は、仕入れをして工事は完了しても、入金がない状態です。
受注を続けて工事をどんどん行ってしまうとみるみる残高が減っていきます。
そして、太陽光発電に必要なシステム製品の仕入れに対する売上代金が、現在一切回収できない状況です。
納品前入金の会社であれば、6月末までの総支払額は5000万です。
7月に入金があったとしても、6月までに資金不足になればその時点で倒産します。
企業は黒字でも資金がショートすれば倒産してしまうのです。
今の状態が続くと、経営体力のない会社の倒産が相次ぐことが予想されます。
まとめ
改正FIT法が施行され、未稼働案件が一掃されることにより、今後住宅用を中心に再度堅調な市場を形成していこうという矢先に、まさかこのような官製不況と呼ばれるようなことになるとは想像できませんでした。
とにかく1日でも早い、事業計画認定の審査手続きを心からお願いしたいと思います。