アメリカがパリ協定離脱を表明!しかし世界の温暖化対策の勢いは止まらず
アメリカがパリ協定離脱を表明
2017年6月1日(木)に、アメリカのトランプ大統領がパリ協定からの離脱を表明しました。
パリ協定とは、気候変動枠組条約に加盟するほとんどの国が参加する、地球温暖化対策の世界的な協定です。
先進国だけでなく、開発途上国も参加し、世界全体が一丸となって地球温暖化対策に臨んでいる点が画期的です。
そんなパリ協定からアメリカが離脱するということで、すごい騒ぎになっています。
アメリカは、パリ協定の親条約である国連気候変動枠組条約には残りますので、パリ協定から実際に離脱できるのは早くても4年後になります。
アメリカが離脱すると、パリ協定に参加しない国は、アメリカとシリア、ニカラグアのわずか3か国となります。
ではなぜ、トランプ大統領はパリ協定からの離脱を表明したのでしょうか。
また、アメリカがパリ協定から離脱することで、世界はどうなるのでしょうか。
考えてみたいと思います。
トランプ大統領の主張
まずは、トランプ大統領がどのような主張をしたのか確認してみたいと思います。
パリ協定離脱を発表したときの主張は、次のような内容でした。
- パリ協定を守るとアメリカで270万人分の雇用が失われる
- パリ協定を守ると2040年までにアメリカのGDPが3兆ドル分失われる
- パリ協定を参加国すべてが守っても効果がほとんどない
- パリ協定に残ると大きな法的責任を負う
- 再交渉を行って、公正な協定を改めて結ぶ
- アメリカを守るためにパリ協定から離脱する
確かに、トランプ大統領が述べた主張がすべて正しいなら、アメリカにとってパリ協定を離脱することは正しい選択のようにも思われます。
ただ、ここで挙げた内容が本当に正しいのかどうかは、この後で確認してみたいと思います。
トランプ大統領は就任以来、思うように公約を実現できておらず、なんとか目に見える成果を出したかったのかも知れません。
パリ協定からの離脱は公約に掲げていましたので、実績作りのためにパリ協定離脱を発表したように思われます。
パリ協定からの離脱は、トランプ大統領の支持層である炭鉱労働者にとっては喜ばしいことなのでしょう。
パリ協定から離脱できる4年後は、ちょうど次の大統領選挙の時期でもありますので、次の選挙対策という見方もできそうです。
では、トランプ大統領の主張は本当に正しいのでしょうか。
確認していきたいと思います。
トランプ大統領の主張に対する反論
- パリ協定を守るとアメリカで270万人分の雇用が失われる
- パリ協定を守ると2040年までにアメリカのGDPが3兆ドル分失われる
トランプ大統領が示した数値は、かなり偏った考え方をもとに算出された数値です。
既存の産業のマイナス分だけに焦点をあてていて、パリ協定をきっかけに生まれる新しい産業の効果は見込まれていません。
これでは、パリ協定を離脱する根拠としては弱いのではないかと思います。
- パリ協定を参加国すべてが守っても効果がほとんどない
トランプ大統領はパリ協定を守っても温暖化対策にほとんど効果がないと言っていますが、世界の多くの研究者の認識とは異なっています。
この主張も、一部の偏った試算をもとに発表されています。
- パリ協定に残ると大きな法的責任を負う
パリ協定に残ると大きな法的責任を負うという認識も誤っています。
パリ協定は、自国の目標を発表するという決まりはありますが、目標を達成できなかった場合の罰則などが定められているわけではありません。
目標が高すぎるなら、目標を下げれば良いだけです。
- 再交渉を行って、公正な協定を改めて結ぶ
- アメリカを守るためにパリ協定から離脱する
アメリカを守るためにパリ協定を離脱し、再交渉を行うとトランプ大統領は言っていますが、各国はアメリカとの再交渉を受け付けることはなさそうですし、むしろ国際社会におけるアメリカの発言力を低下させるだけのような気がします。
このように考えてみると、さすがに、アメリカのパリ協定離脱という決断は、間違った決断ではないかと感じます。
温暖化対策の流れは止まらない
アメリカがパリ協定から離脱することを表明した後、世界からさまざまな反応がありました。
その多くが、「アメリカのパリ協定離脱は残念だが、温暖化対策の流れは止まらない」というものです。
例えば、温暖化対策を推進するアメリカの市長たちの組織である「メイヤーズ・ナショナル・クライメート・アクション・アジェンダ(MNCAA)」に参加する市長が、トランプ大統領の声明を受けて、一気に増加したそうです。
アメリカ大統領がパリ協定から離脱しようとしても、よりアメリカの市民に近い指導者たちは、温暖化対策に積極的な姿勢を示しているわけです。
フランスのマクロン大統領は、アメリカの科学者たちに、「フランスで一緒に温暖化対策に取り組もう」と呼びかけを行い、パリ協定の離脱によって、アメリカの科学者たちが行き場をなくすことのないよう配慮を見せました。
その他にも、アップルやグーグル、フェイスブックといった、アメリカを代表する大企業の経営者たちは、次々にパリ協定離脱に反対の意を示し、自分たちで積極的に温暖化対策に取り組むことを表明しています。
太陽光の電力に1000億円を投入、アップルが25年契約で調達 | スマートジャパン
再生可能エネルギーの利用率100%を目指すアップルが、米国カリフォルニア州の太陽光発電所から25年間にわたって電力を調達する。
2016年に稼働予定の発電所から130MW分の電力を購入する契約に合意した。
25年間の調達額は1000億円強にのぼり、民間企業では過去最大の規模になる。…
トランプ大統領がパリ協定離脱を表明しても、それがアメリカの総意というわけではなく、むしろ温暖化対策に積極的に取り組む姿勢を強くする人々が出てくる結果となっています。
まとめ
アメリカのパリ協定離脱はとても残念です。
アメリカが主導的な立場でパリ協定を進めていくことと比較すると、温暖化対策に大きな遅れが出てしまうことは間違いありません。
しかし、アメリカがパリ協定を離脱するからといって、温暖化対策の流れが止まるわけではありません。
むしろ、アメリカ政府の力に期待できない分、それ以外の私たち一人ひとりが、子供たちの未来のために高い意識で温暖化対策に取り組んでいくべきだと思います。
自宅で簡単にできる温暖化対策といえば、やはり太陽光発電です。
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