九州電力管内で太陽光発電が7割の電力需要を賄いました!
太陽光発電が7割の電力需要を賄いました!
2017年5月24日(水)に、日本経済新聞に九州電力管内が、太陽光発電が7割の電力需給を賄えたと記事が出ました。
太陽光、一時需要の7割 九電のGW電力需給状況 | 日本経済新聞
九州電力は24日、今年のゴールデンウイーク期間中の電力需給状況を発表した。
休日で工場などが稼働せず電力需要が落ちた一方、好天に恵まれて太陽光発電の出力が高まったことから、一時太陽光による供給が需要全体の7割を超えた。…
ゴールデンウイークは、日射量が多くて太陽光発電の発電量が多くなり、しかも休日で製造業等での電力需要が減ったという特別なタイミングだからということもあります。
それでも、電力需要全体の7割以上を太陽光発電だけでカバーできたというのは、すごいことだと思います。
実は、九州だけではなく、今年は四国でも同じように、太陽光発電が電力需要の大部分を支えました。
四国電力の発表によると、一時、電力需要全体の66%を太陽光発電だけでカバーしたそうです。
これだけ大きな電力需要を太陽光発電で支えたという実績は、まさに、太陽光発電が基幹電源とも言える状況になったことを示しているのではないかと思います。
世界的にも太陽光発電が電力需要を支えるようになってきました
SNAPSHOT OF GLOBAL PHOTOVOLTAIC MARKETS 2016 | IEA PVPS
太陽光発電の導入量をもとにした理論発電量でみると、イタリアでは電力需要全体の7.3%を太陽光発電が賄える状況になっていますし、ドイツも電力需要全体の7.0%を太陽光発電が賄える状況になっています。
日本は、電力需要全体の4.9%を賄うことができる太陽光発電設備が、既に設置されています。
ほんの数年前までは、「電力需要の○%」なんて言い方もできないほど小さな割合だった太陽光発電が、急激にその存在感を大きくしてきたと感じます。
ちなみに、中米の国ホンジュラスは、電力需要全体の12.5%を賄えるだけの太陽光発電が導入されているそうです。
また、太陽光発電に加えて風力発電やバイオマス発電といった再生可能エネルギー全体でみると、ドイツではなんと一時電力需要全体の85%を再生可能エネルギーだけで賄ったという実績もあります。
2015年には、再生可能エネルギーの発電設備容量が石炭を追い越して世界最大となりました。
世界的にみても、再生可能エネルギーの普及が急激に進んできていることがわかります。
需給バランスが崩れないように要注意
ただ、日射量によって発電量が変動する太陽光発電の割合が大きくなることは、必ずしも手放しで喜べる状況ではありません。
電気は需要と供給のバランスがうまく取れないと、最悪の場合は停電になってしまうこともあるからです。
太陽光発電や風力発電のような変動電源の割合が大きくなり過ぎると、需要と供給のバランスを取ることが難しくなってしまうため、そこを調整できなければいけません。
今回の発表を受けた日経以外の記事では、バランスをとるためには太陽光発電設備の発電を一時停止する『出力制御』の可能性が高まると報じているメディアもいくつかありました。
四国で太陽光が電力需要の66%に、出力制御の可能性が高まる|スマートジャパン
四国電力管内で太陽光発電が増加し、電力の一時需要に占める割合が高くなってきた。2017年4月23日の12~13時の間に、太陽光発電の最大出力は161万kWを記録。これは同時刻の電力需要全体の66%に相当する。今後も太陽光発電の接続量は増加する見込みで、近い将来出力制御が行われる可能性が高まってる。
出力制御は太陽光発電を発電しないようにすることで、太陽光発電の電力を調整する方法の一つです。
ですが、『発電しない』という選択肢はもったいないですし、電力を調整する手段は出力制御の他にもたくさんありますのでご紹介します。
変動する太陽光発電の電力を調整する方法
その1.「貯める」
変動する太陽光発電の電力を調整する方法には、大きく分けると、「貯める」という方法と、「使う」という方法があります。
まずは一つ目の「貯める」方法ですが、以下2つの方法があります。
1. 電気として貯める
太陽光発電で発電した電気を蓄電池に貯める方法です。
これは一番イメージしやすい方法だと思います。
使い切れないくらいたくさん発電した太陽光発電の電気を蓄電池に貯めておき、夜間や天気の悪い日などに使うことで、安定的に太陽光発電の電気を使えるようになります。
最近は電気自動車の普及も進んでいますので、電気自動車に内蔵された蓄電池を活用することもできます。
蓄電池や電気自動車についてはこちらをご覧ください。
2. 電気以外のエネルギーとして貯める
太陽光発電で発電した電気は、電気以外のエネルギーとして貯めることもできます。
例えば、エコキュートを使う方法があります。
エコキュートは電気でお湯を沸かし、タンクに貯めておきます。
太陽光発電で需要を超える電気を生み出したときには、その電気を使ってお湯を沸かし、貯湯タンクに貯めておくわけです。
こうすることで、作り過ぎた電気を無駄にすることなく、エネルギーとして貯めておくことができます。
それ以外にも、最近では電気を使って水素を作りだし貯めておく方法なども開発が進んでいます。
また、揚水発電も、余った電気を位置エネルギーとして貯めておく手法と言えると思います。
変動する太陽光発電の電力を調整する方法
その2.「使う」
次に、「使う」方法ですが、以下の2つの方法があります。
1. 発電した地域で使う
電力の需要と供給のバランスを取るために、発電した地域で電気を使う量を増やし、うまく使い切るという方法もあります。
これは、電気が余りそうな時に、電気代が安くなるように料金体系を作っておくことで、太陽光発電による電気の供給量が多いタイミングで、電気を使う量も増えるようにうまくコントロールする等の方法を取ります。
このような方法を「デマンドレスポンス」といいます。
最近はデマンドレスポンスについても、インターネットを活用したさまざまな実証研究が進んでいますので、太陽光発電や風力発電のような変動電源にうまく対応できるようになってきています。
ディマンドレスポンスについてはこちらをご覧ください。
2. 発電した地域から離れた場所で使う
九州や四国といった、限定された地域では需要と供給が偏っているので、バランスを取ることが難しいです。
しかし、発電した電気を関西や中部、関東といった莫大な電力需要をもつ地域に電気を送り込むことができれば、供給が多すぎて困るという事態を避けることができます。
そのために、2015年4月に「電力広域的運営推進機関」という組織が発足し、広域で電力の需給バランスが取れる体制になってきています。
さらに、海底ケーブルなどを通じてアジア全体とつながることができれば、電力需給バランスはもっと取りやすくなることだと思います。
太陽光発電の出力制御は最後の手段
2014年9月の九電ショックをきっかけに法改正が行われ、電力会社が太陽光発電の電力を調整するために『出力制御』という手段が使えるようになりました。
先述した出力制御以外の手段は、法整備や設備投資が必要なものもありますが、すぐに実行できるものもあります。
出力制御は元々の位置づけとして、上記の取り組みを行って調整できなかった時のための『最後の手段』です。
太陽光発電の電気を有効活用するための取り組みが進めば、そもそも出力制御を行う必要が無くなるわけです。
さらに言うと、10kW未満(住宅用)の太陽光発電の出力制御が行われる可能性はほとんどありません。
10kW未満の太陽光発電は、出力制御などの心配は全くせずに、自分たちのメリット・デメリットだけを考えて判断して頂きたいと思います。
出力制御の詳しい説明と、なぜ10kW未満が出力制御の心配が無いのかについては、こちらの記事をご覧ください。
まとめ
世界的規模で、再生可能エネルギーの存在感が増えてきました。
これまで、太陽光発電や風力発電はお天気任せ、風任せで、発電量が変動するという弱みがあるため、基幹電源として活用することが難しいと考えられてきました。
しかし、地球温暖化が進む今の状況で、そんな弱音を吐いている余裕はありません。
発電量が変動するという課題があるなら、その課題をどのように克服して活用するのかという考え方が必要だと思います。
これまでご説明してきたように、発電量の変動をカバーする具体的な手法もいろいろと出てきています。
今後、ますますこういった手法が発達していきますので、再生可能エネルギーは間違いなく基幹電源としての役割を担うことができるようになるでしょう。
これを機に、将来の基幹電源である太陽光発電をご自宅でも活用することを検討してみてはいかがでしょうか。
ご興味のある方は、ソーラーパートナーズまでお気軽にお問い合わせください。