太陽光発電のクーリングオフできる期間は?期間はいつから数える?
太陽光発電はクーリングオフできる
「セールスマンが家に来て契約を結んだけど、やっぱりちょっと考え直したい」という場合にはクーリングオフ制度があります。
クーリングオフ制度の詳細についてはこちらに詳しく記載しています。
今回はクーリングオフの期間についてお伝えします。
クーリングオフの期間は8日間
クーリングオフの期間は、訪問販売や電話勧誘販売の場合、消費者が事業者から法定書面を受け取ってから8日間と特定商取引法第9条1項で定められています。
特定商取引法第9条1項
(訪問販売における契約の申込みの撤回等)
第九条 販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等以外の場所において商品若しくは指定権利若しくは役務につき売買契約若しくは役務提供契約の申込みを受けた場合若しくは販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等において特定顧客から商品若しくは指定権利若しくは役務につき売買契約若しくは役務提供契約の申込みを受けた場合におけるその申込みをした者又は販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等以外の場所において商品若しくは指定権利若しくは役務につき売買契約若しくは役務提供契約を締結した場合(営業所等において申込みを受け、営業所等以外の場所において売買契約又は役務提供契約を締結した場合を除く。)若しくは販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等において特定顧客と商品若しくは指定権利若しくは役務につき売買契約若しくは役務提供契約を締結した場合におけるその購入者若しくは役務の提供を受ける者(以下この条から第九条の三までにおいて「申込者等」という。)は、書面によりその売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回又はその売買契約若しくは役務提供契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。ただし、申込者等が第五条の書面を受領した日(その日前に第四条の書面を受領した場合にあつては、その書面を受領した日)から起算して八日を経過した場合(申込者等が、販売業者若しくは役務提供事業者が第六条第一項の規定に違反して申込みの撤回等に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、又は販売業者若しくは役務提供事業者が同条第三項の規定に違反して威迫したことにより困惑し、これらによつて当該期間を経過するまでに申込みの撤回等を行わなかつた場合には、当該申込者等が、当該販売業者又は当該役務提供事業者が主務省令で定めるところにより当該売買契約又は当該役務提供契約の申込みの撤回等を行うことができる旨を記載して交付した書面を受領した日から起算して八日を経過した場合)においては、この限りでない。
太陽光発電は多くの場合、購入者の自宅で契約するので特定商取引法第2条1項にある訪問販売にあたります。
特定商取引法第2条1項
第二条 この章及び第五十八条の十八第一項において「訪問販売」とは、次に掲げるものをいう。
一 販売業者又は役務の提供の事業を営む者(以下「役務提供事業者」という。)が営業所、代理店その他の主務省令で定める場所(以下「営業所等」という。)以外の場所において、売買契約の申込みを受け、若しくは売買契約を締結して行う商品若しくは指定権利の販売又は役務を有償で提供する契約(以下「役務提供契約」という。)の申込みを受け、若しくは役務提供契約を締結して行う役務の提供
二 販売業者又は役務提供事業者が、営業所等において、営業所等以外の場所において呼び止めて営業所等に同行させた者その他政令で定める方法により誘引した者(以下「特定顧客」という。)から売買契約の申込みを受け、若しくは特定顧客と売買契約を締結して行う商品若しくは指定権利の販売又は特定顧客から役務提供契約の申込みを受け、若しくは特定顧客と役務提供契約を締結して行う役務の提供
法定書面とは、特定商取引法第4条及び第5条に定められている事項が書かれた書面のことで、通常は申込書や契約書に記載されていることがほとんどです。
特定商取引法第4条及び第5条
(訪問販売における書面の交付)
第四条 販売業者又は役務提供事業者は、営業所等以外の場所において商品若しくは指定権利につき売買契約の申込みを受け、若しくは役務につき役務提供契約の申込みを受けたとき又は営業所等において特定顧客から商品若しくは指定権利につき売買契約の申込みを受け、若しくは役務につき役務提供契約の申込みを受けたときは、直ちに、主務省令で定めるところにより、次の事項についてその申込みの内容を記載した書面をその申込みをした者に交付しなければならない。ただし、その申込みを受けた際その売買契約又は役務提供契約を締結した場合においては、この限りでない。
一 商品若しくは権利又は役務の種類
二 商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価
三 商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払の時期及び方法
四 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期
五 第九条第一項の規定による売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回又は売買契約若しくは役務提供契約の解除に関する事項(同条第二項から第七項までの規定に関する事項(第二十六条第三項又は第四項の規定の適用がある場合にあつては、同条第三項又は第四項の規定に関する事項を含む。)を含む。)
六 前各号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項第五条 販売業者又は役務提供事業者は、次の各号のいずれかに該当するときは、次項に規定する場合を除き、遅滞なく(前条ただし書に規定する場合に該当するときは、直ちに)、主務省令で定めるところにより、同条各号の事項(同条第五号の事項については、売買契約又は役務提供契約の解除に関する事項に限る。)についてその売買契約又は役務提供契約の内容を明らかにする書面を購入者又は役務の提供を受ける者に交付しなければならない。
一 営業所等以外の場所において、商品若しくは指定権利につき売買契約を締結したとき又は役務につき役務提供契約を締結したとき(営業所等において特定顧客以外の顧客から申込みを受け、営業所等以外の場所において売買契約又は役務提供契約を締結したときを除く。)。
二 営業所等以外の場所において商品若しくは指定権利又は役務につき売買契約又は役務提供契約の申込みを受け、営業所等においてその売買契約又は役務提供契約を締結したとき。
三 営業所等において、特定顧客と商品若しくは指定権利につき売買契約を締結したとき又は役務につき役務提供契約を締結したとき。
2 販売業者又は役務提供事業者は、前項各号のいずれかに該当する場合において、その売買契約又は役務提供契約を締結した際に、商品を引き渡し、若しくは指定権利を移転し、又は役務を提供し、かつ、商品若しくは指定権利の代金又は役務の対価の全部を受領したときは、直ちに、主務省令で定めるところにより、前条第一号及び第二号の事項並びに同条第五号の事項のうち売買契約又は役務提供契約の解除に関する事項その他主務省令で定める事項を記載した書面を購入者又は役務の提供を受ける者に交付しなければならない。
特定商取引に関する法律施行規則
(訪問販売における書面の交付等)
第三条 法第四条第六号 の主務省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号並びに法人にあつては代表者の氏名
二 売買契約又は役務提供契約の申込み又は締結を担当した者の氏名
三 売買契約又は役務提供契約の申込み又は締結の年月日
四 商品名及び商品の商標又は製造者名
五 商品に型式があるときは、当該型式
六 商品の数量
七 商品に隠れた瑕疵がある場合の販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
八 契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
九 前二号に掲げるもののほか特約があるときは、その内容
契約や申込みの際には、下記の事項が書類にきちんと記載されているか確認しておきましょう。
契約書が法的書類としての効力を発揮するために必要な内容
- 商品またはサービスの種類
- 商品またはサービスの代金
- 商品またはサービスの代金の支払い時期及び方法
- 商品の引き渡し時期またはサービスの提供時期
- クーリングオフ制度(申し込みの撤回・契約解除)に関する事項
- 主務省令で定める事項
- 販売会社の社名・住所・電話番号・代表者氏名
- 販売会社の担当者氏名
- 契約日
- 商品名とメーカー名
- 商品の型式
- 商品の数量
販売業者や事業者は、申し込みを受けた際または契約の際に、上記の事項が書かれた書面を必ず消費者に交付しなくてはなりません。
この法定書面を消費者が受け取った日を1日目として、8日目までクーリングオフが可能です。
クーリングオフ期間の起算日
クーリングオフ期間の8日間は、あくまで法定書面をきちんと渡されていて、書面の不備がない場合です。
もし上記の内容が記載された法定書面を受け取っていない場合や、受け取っていても内容に不備がある場合には、クーリングオフの日数は進行しません。
つまり、不備のない法定書面を受け取らない限りはいつまでもクーリングオフ可能ということです。
また、後から不備のない法定書面を受け取った場合には、不備のない法定書面を受け取った日から数えて8日間がクーリングオフ期間となります。
また、書面に問題がない場合でも、断っているのに強引に契約させられたなど、販売業者の勧誘態度に問題がある場合にもクーリングオフが認められる場合があります。
そもそも特定商取引法第3条2項では契約をしない意思表示をした人に対する勧誘は禁止されています。
特定商取引法第3条2項
(契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘の禁止等)
第三条の二 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売をしようとするときは、その相手方に対し、勧誘を受ける意思があることを確認するよう努めなければならない。
2 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し、当該売買契約又は当該役務提供契約の締結について勧誘をしてはならない。
断っているのにしつこく勧誘してくる太陽光発電業者がいる場合には国民生活センターに通報すると良いでしょう。
悪徳業者には特定商取引法第8条1項に基づいて業務停止命令が下される場合があります。
特定商取引法第8条1項
(業務の停止等)
第八条 主務大臣は、販売業者若しくは役務提供事業者が第三条、第三条の二第二項若しくは第四条から第六条までの規定に違反し若しくは前条各号に掲げる行為をした場合において訪問販売に係る取引の公正及び購入者若しくは役務の提供を受ける者の利益が著しく害されるおそれがあると認めるとき、又は販売業者若しくは役務提供事業者が同条の規定による指示に従わないときは、その販売業者又は役務提供事業者に対し、一年以内の期間を限り、訪問販売に関する業務の全部又は一部を停止すべきことを命ずることができる。
クーリングオフ期間を過ぎてもクーリングオフが認められた判例
太陽光発電において、クーリングオフ期間が過ぎてもクーリングオフが認められた判例があります。
契約して2カ月経過後にクーリング・オフが認められた事例
本件は、ソーラーシステムの訪問販売について、交付書面に対価の支払時期、クーリング・オフに関する事項、担当者の氏名の記載がないこと、さらに取引方法にも問題があることを理由に、契約後2カ月を経過し、工事も完了した後に消費者が行ったクーリング・オフを有効と認め、権利の濫用(らんよう)に当たるとする事業者の主張を認めなかった事例である。(名古屋高裁平成20年9月10日判決)
この事例では、契約後2ヶ月を経過し、工事も完了した太陽光発電に対してクーリングオフが認められました。
クーリングオフが認められた理由は以下の2点がポイントです。
- 契約書に不備があった
(商品の代金・支払期日・クーリングオフに関する記載・担当者のが無いことに加え、契約締結日が虚偽の期日だった) - 取引方法に問題があった
(ローン会社に対して虚偽の承認回答を行ったことに加え、設置工事の具体的内容を説明した形跡がうかがえない)
この2点を理由に、「クーリング・オフの期間は進行せず、本件クーリング・オフの意思表示は有効と解するのが相当である」との判決が下りました。
結果的に販売会社がどのような手続きを取ったのかはわかりませんが、おそらく設置した設備はそのままにして代金を返金したのだと思います。
原理原則から言うと販売会社は商品を引き取ることができますが、一度設置したものを取り外しても売り物になりませんし、売り物にならないものを引き上げるために工事代をかけることはしないと思います。
消費者の方にはこの事例を絶対に濫用していただきたくないですが、こんな事例があるくらい消費者が守られているということは、知っておいて損は無いと思います。
クーリングオフで困ったら消費生活センターへ相談を
困ったときや不安な時は泣き寝入りせず、まずはお近くの消費生活センターに相談してみましょう。
クーリングオフ制度に詳しい相談員がいますので、難しい状況の場合でもアドバイスをもらえます。
消費者ホットライン(全国統一番号)|国民生活センター
- 消費者ホットラインは、「誰もがアクセスしやすい相談窓口」として開設されたものです。
- 相談を受け付けるにあたっては、円滑な相談処理を実施するために、氏名、住所、電話番号、性別、年齢、職業をお聞きします。
- 土日祝日は、都道府県等の消費生活センター等が開所していない場合、国民生活センターに電話がつながります。(一部地域や年末年始、国民生活センターの建物点検日を除く)
- IP電話など、一部の電話からはつながりません。
- 通話料金はご利用の電話会社のサービスによって異なります。窓口へおつなぎする前には、「○○秒ごとに、およそ○○円」というアナウンスが流れます。携帯電話会社の通話料定額サービス等でも、別途ナビダイヤル通話料が発生します。
- 詳細につきましては消費者ホットライン(消費者庁)をご覧ください。
クーリングオフすべきかどうかはご相談ください
契約してしまった太陽光発電が妥当な金額か、また提案に問題が無いかを判断するのは難しいと思います。
もし、クーリングオフすべきかどうかお悩みでしたら、下のフォームより一度ご相談下さい。