太陽光発電にメンテナンスは必要?維持費(ランニングコスト)の相場はどれくらい?
こんにちは!
「太陽光発電と蓄電池の見積サイト『ソーラーパートナーズ』」記事編集部です。(蓄電池専用ページはこちら)
この記事では太陽光発電のメンテナンス費用について解説します。
また、メンテナンス費用以外に考えられるランニングコストについても網羅的に記載しています。
太陽光発電を設置した後にかかる費用について不安に感じている方は是非お読みください。
そもそもメンテナンス費用が掛かるのに太陽光発電ってお得なの?と考えている方は、太陽光発電のメリット・デメリットも確認することをオススメします。
動画
「太陽光発電にメンテナンスは必要?メンテナンス費用の相場とランニングコストはどれくらい?」
太陽光発電のメンテナンスについて動画でもまとめてみました。
太陽光発電はメンテナンスフリーではない
太陽光発電はメンテナンスフリーと言われることもありますが、メンテナンスは必要と考えるべきです。
毎年の売電価格を決定する資源エネルギー庁調達価格等算定委員会の資料でも、メンテナンス費用がかかる前提で売電価格が決定されています。
また、同じく資源エネルギー庁の資料、事業計画策定ガイドラインの中でも、メンテナンス、保守点検の必要性について書かれています。
太陽光発電はメンテナンスフリーではなく、メンテナンスが必要と覚えておきましょう。
また、調達価格等算定委員会の資料によると、メンテナンス費用は、
- 「定期点検費用」
- 「パワコン交換費用」
の2つに分類されています。
それぞれ詳しく見てみましょう。
定期点検費用
定期点検費用は1回2万円程度
まずは定期点検にかかる費用からです。
資源エネルギー庁の資料では、定期点検の頻度は、4年毎に1回以上、費用は1回当たり2万円程度が一般的な相場とされています。
参考までに20年間に換算すると10万円が定期点検費用という計算になります。
ちなみに、「定期点検」は、長期にわたる発電量の維持と安全性確保の観点から、定期的に行われることが「推奨」されているものであり、法的な「義務」が課されているわけではありません。
しかし太陽光発電は屋根に設置する電気工作物です。
長期間運用していると、過酷な気象条件や自然災害の影響等も少なからず受け、電気的な不具合や、設置状況が不十分になることも考えられます。
長期間安心して運用するには定期点検を実施した方が良いですよ、ということですね。
国も定期点検を推奨する立場から、定期点検をしっかりと費用に盛り込んだ上で、買取価格を決めていますから、是非設置される方は定期点検を積極的に実施したいところです。
定期点検の具体的内容
それでは、定期点検では具体的にはどのようなことをするのでしょうか?
太陽電池メーカー等で構成される、一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)は、住宅用太陽光発電の定期点検に関してガイドラインを定めています。
業界のガイドラインなので、拘束力はなく必ずしもこれに従う必要はありませんが、標準的な点検項目と考えられるので、ここではその概要を紹介したいと思います。
出典:「太陽光発電システム保守点検ガイドライン【住宅用】」について.pdf p.3/5
表1に記載の通り、定期点検では、太陽電池や接続箱、パワコンについて、
- 目視
- 電気的な測定
を通して問題がないか確認します。
メンテナンスを自分でやるのは避けましょう
稀に、「目視や電気の測定ぐらいであれば自分でメンテナンスをしたい」という方がいますが、自分でメンテナンスするのはお勧めできません。
不慣れな方が屋根上に上って点検をするのは非常に危険ですし、太陽光発電は電気工作物ですので感電のリスクもあります。
また、不適切な修理をしたことで故障してもメーカー保証がつかなくなってしまうということも考えられます。
メンテナンスは必ず業者にお任せするようにしましょう。
パワコンの交換費用
パワコンの交換費用は20万円程度
パワコンは太陽電池で発電した直流電力を交流に交換する装置ですが、太陽電池とは異なり、普通に運転していても自然に機械的な摩耗等が発生するため、ある程度の期間が経つと、交換する必要があります。
資源エネルギー庁の資料では、実態として、稼働する20年に一度は交換され、その費用は19.6万円とされています。
年間にでどのくらいメンテナンス費用がかかるのか
それでは年間のメンテナンス費用を計算してみましょう。
どれくらいの期間使うかによって計算結果は異なりますが、太陽電池モジュールは少なくとも20年以上稼働すると言われていますので、ここでは20年として計算しましょう。
詳しい計算式は下図の通りですが、仮に5kWの太陽光発電を設置したとすると、年間平均でメンテナンス費用はシステム全体で14,800円、1kWあたりで2,960円がかかる計算となります。
メンテナンス費用以外のランニングコスト
メンテナンス以外のランニングコストについても確認しておきましょう。
メンテナンス費用以外で想定されるランニングコストは以下の3つです。
メンテナンス費用以外で想定されるランニングコスト
- パネルの修理
- 税金
- 雨漏りなど工事トラブル
パワコンの修理費用についてはメンテナンス費用に含んでおりますので、ここで改めては触れません。
それぞれ確認していきましょう。
1.パネルの修理はメーカー保証期間内は無償
現在、多くのメーカーがパネルの出力保証期間を25年で設定しています。
保証期間内であれば、万が一パネルが故障してもメーカー保証を使って無償で修理ができます。
ただし、メーカー施工基準を無視した設置方法であった場合など、保証対象外となる場合もありますので注意しましょう。
2.税金はほとんどのケースでかからない
太陽光発電が固定資産税、所得税の課税対象となる場合があります。
しかし、住宅用では実際に課税対象となることはほとんどありえません。
理由は以下の通りです
住宅用太陽光発電がほとんど課税対象にならない理由
- 所得税の対象給与所得者の場合、は経費を差し引いた雑所得が20万円の場合に限られる
- 固定資産税の対象は屋根材一体型のみ
住宅用の規模で経費差し引き後の売電収入が20万円以上になることはまずありえません。
また、現在設置される太陽光発電の大半は屋根材一体型ではなく屋根置き型です。
以上の理由から住宅用の規模で課税対象となるケースは珍しいです。
3.工事トラブルによる出費のリスクはある
最後にもう一つ、工事瑕疵による出費についても触れておきます。
ずさんな工事を行う業者を選んでしまった場合に限りますが、工事瑕疵による出費のリスクはあると考えておくべきです。
本来であれば工事瑕疵に伴う出費が生じた場合には、工事保険の適用になり、施主は出費なく修理をすることが可能ですが、
業者が倒産してしまうと、ほとんどの場合、施主負担での修理を余儀なくされます。
業者選びは慎重に行うようにしましょう。
まとめ
太陽電池モジュールは基本的にメンテナンスフリーとは言え、パワコンについては10年程度で交換が必要ですし、より長く安心して使おうと思うと定期点検も必要でしょう。
固定価格買取制度の買取期間は最初の10年間で終了しますが、太陽電池モジュールの寿命は20年以上と言われています。
10年経過後もできるだけ多くの経済的メリットを享受することができるよう、正常に発電する状態を長期間キープしたいところです。
モニタリングシステム等で日々の発電量についてはご自身でもチェックできるかもしれませんが、見えないシステムの異常を検知するには、やはり定期的に専門家に点検を依頼した方が安心です。
本文中でも少し触れましたが、こういったメンテナンスに必要な費用は、買取価格の決定に際して、設置者が負担する費用として考慮されていますので、「必要な費用」と考えましょう。
1kWあたり年間2,960円くらい貯金しておけば、メンテナンスや機器の交換が必要になった場合でも、嫌な思いをせずに済みそうですね。
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