50kW以上の太陽光発電に接続規制。沖縄電力管内は実質設置不可の状況に
沖縄電力管内の太陽光発電の設置が実質困難な状況に
沖縄電力は7月31日に、7月中に申込を済ませた300kW未満の太陽光発電については接続できる見通しがたったという発表を行いました。
8月以降に申込分については接続が難しくなるという事の発表でもあります。
既に300kW以上の太陽光発電については、昨年(2013年)の12月24日に、接続限界の57MWを超過したことを沖縄電力は発表をしておりました。
今回の発表で、沖縄電力管内では実質全ての容量の太陽光発電システムの接続が困難な状況に陥った事になります。
北海道電力でもほぼ同じ状況に陥っており今後の動向が注目されています。
なぜ沖縄電力で太陽光発電の設置に規制がかかるのか
実は全国的な発表ではありませんでしたが、7月9日に沖縄電力は売電の申込みしていた電気工事会社に対して、『接続申込に係る回答の一時保留のお知らせ』を配っていました。
その上で「7月分は接続できるようになったが、これ以降は厳しい」という公式な発表を行ったという事になります。
実は、他の電力会社(東北電力・東京電力・中部電力・関西電力・四国電力・九州電力)でも、太陽光発電が集中したエリアでは接続規制がかかっています。
ただ沖縄電力のように管轄エリア全体で規制がかかるという例は初めてです。
これは沖縄電力の系統規模が小さいことに加え、沖縄電力だけ他の電力会社と系統が接続していない独立系統である事が原因です。
日本の送電ネットワーク
全国各地で見かける送電線。日本ではこの送電線が、図のような網の目の形に張り巡らされています。これにより、一部の送電線が断線しても瞬時に別の送電線からの電力供給に切り替えることができるのです。
なぜ太陽光発電の設置に規制がかかるのか
電力会社は、変動する需要(必要な電力量)に対して、火力発電を調整しながら共有(発電する電力量)を調整しています。
調整ができるメインの電源は火力発電です。
割と自由に調節ができる火力発電にに対して太陽光発電は一定の電気を生み出すわけではなく天気次第ですので非常に不安定な出力の電源です。
そもそも変動する需要に合わせて調整しないければいけないところに、さらに勝手に変動する太陽光発電が入ってくると、この調整作業が更に困難になってきます。
太陽光発電を設置しすぎると、この調整能力のピークを越えてしまうため規制がかかってしまうのです。
北海道電力はこれを世界最大の蓄電池を導入する事で対応しようとしています。
沖縄電力も今回対応策を発表していますが、どれもその場しのぎの対応策ですので根本的な解決には繋がっていません。
調整力不足と容量不足
しかし沖縄電力で起きている問題と、各電力会社の一部エリアで起きている規制は問題が少し違います。
沖縄電力の場合は全体の調整力不足ですが、こちらは接続ポイント近辺の容量不足というミクロの問題です。
これらは適切な接続ポイントを探したり、技術的対策を施せば接続が可能となるのですが、コストがかさみます。
このような容量不足は接続容量の大きい高圧案件で起きており、いわゆるメガソーラー案件が多数暗礁に乗り上げています。
群馬県の北部エリアではとうとうこの送電線の容量を増量する工事の負担金の入札を行うという発表がありました。
群馬県北部エリアにおける再生可能エネルギー等発電設備による当社電力系統への連系に関する入札募集の実施について
当社は、群馬県北部エリアにおいて、より多くの再生可能エネルギー事業者さまに当社電力系統へ連系していただくことを目的として、系統連系を希望される事業者さまを対象に、送電容量対策工事に関する工事費負担金の入札募集を行うことといたしました。
群馬県北部エリアにおける再生可能エネルギー等発電設備による当社電力系統への連系に関する入札募集の実施について|東京電力
応募受付後にお示しする接続検討回答をご確認いただいた上で、15 万4千ボルト上越幹線送電容量対策工事(下表、15 万4千ボルト上越幹線送電線等増強工事または6万6千ボルト開閉器設置工事)にかかる工事費負担金として、最大受電電力 1kW あたりの負担金単価(以下、「入札負担金単価」)を、下表エリア別の条件により入札いただきます。
群馬県北部エリアにおける再生可能エネルギー等発電設備による当社電力系統への連系に関する入札募集の概要について(別紙1)|東京電力
これは入札を行って入札額の高い人から系統接続していきますというものです。
足元を見られているとはまさにこのような事を言うのだと思います。
まとめ
沖縄電力と北海道電力の系統規模が小さい事による全体の調整力不足は別として、他の電力会社エリア(東北電力・東京電力・中部電力・関西電力・四国電力・九州電力)で起きている規制は全て高圧および特別高圧に限っての事です。
※高圧:50kW以上2000kW未満
※特別高圧:2000kW以上
50kW未満の低圧においてはこのような事はありませんので、住宅用で考えていらっしゃる方は安心して検討を進めて頂いて大丈夫です。