太陽光発電の品質の低い工事が招く、ケーブル焼損と発電量の損失
工務店からの相談:修理対応してくれる工事会社を紹介して欲しい
栃木の工務店から太陽光発電システムの修理についてのご相談を受けました。
工務店の方が自社で販売・施工した家にお住いの方から、2年前に太陽光発電システムを設置したいという相談をうけ、販売をした事があったそうです。
その方から太陽光発電システムの発電量が著しく低下しているという連絡が入ったそうです。
その上で工務店さんから、
「当時依頼した下請けの工事会社が既に倒産してなくなってしまっていて、今回発生した不具合の修理をどうしたら良いか困っている。
どこか対応してくれる工事会社を紹介してもらえないか?」
というご相談を受けました。
太陽光発電のケーブル焼損によって火災の可能性もあり
一番最初に連絡があったのが昨年12月で下請けの工事会社がいないため、メーカーに連絡をし点検に伺ってもらったのですが、その時はなぜか発電量の低下が直っていて、機器異常も認められなかったそうです。
しかしまた今年2月に発電量異常が起きたため、メーカーが再度点検に伺ったところ確かに著しい発電量低下が見られたため屋根上も含めて細かくチェックをしたところケーブルの断線箇所が発見されました。
そのケーブルの断線箇所は焼損しており、火災につながる可能性もあった状態だったそうです。
普通はケーブルの断線など起きませんし、ましてや焼損など聞いたことがありません。
ただ理由は明白でした。
なぜ太陽光発電のケーブルが断線・焼損したのか?
断線したケーブルはパネルとパネルをつなぐケーブルです。
通常隣同士のパネルはパネルの裏側についている接続ケーブル同士を繋ぎあわせます。
ただ屋根が広い場合や屋根と屋根をまたぐ場合など元々パネル裏側についている接続ケーブルの長さでは足りないため、延長ケーブルで繋ぎあわせます。
この延長ケーブル(業界的にはモジュール間ケーブルと言います)はオプション品で普通にシステム設計をして発注をすると納品されません。
太陽光発電のシステム設計をする際に、「こことここは延長ケーブル必要そうだな」と予め発注しておくものです。
ですが今回の方は、工事会社が設置工事の日に、パネルとパネルにつなぐケーブルが必要な事に気づくも工事のやり直しをしたくないので、手持ちのケーブルで圧着接続(延長ケーブルを使用せず、ケーブルとケーブルを直接接続すること)をしたのだと思います。
他にも断線はしていないものの延長ケーブルを用いずに接続している箇所が2か所見つかったそうです。
圧着接続による不具合はメーカーの10年保証で直してもらえるか?
圧着接続自体はやってはいけない事ではないのですが、こと太陽光発電システムの設置工事に限ればメーカー指定の工法ではありません。
正しく延長ケーブルで接続していれば問題なかったのですが、今回のケースですと機器の故障ではなく、施工の問題であるためメーカーの10年保証は適用されません。
施工会社、ひいては依頼した販売会社の責任となります。
ですから今回この販売会社である工務店から修理のできる工事会社を紹介して欲しいという依頼が来たわけです。
修理対応してくれる工事会社が簡単に見つからない
何社かソーラーパートナーズのパートナー企業に連絡をしたのですがそのうち数社には断られてしまいます。
一様に嫌がるのは、今回のこの断線の修理だけにとどまると思えないからというのが理由でした。
既にたくさんのストレスのかかっていた状態ですので、また別の箇所で不具合が起きる可能性が考えられ、その責任を取らされかねないからというものでした。
なんとか事情を説明して修理工事の了承を得るところまで行ったのですが、対応できるのが早くて4月中旬以降という状態です。
確かにそれもそのはずです。
太陽光発電システムの設置工事を行っている会社で、駆け込み時期である年度末に暇な会社がいるわけありません。
3月いっぱいは消費税駆け込みの為の工事が詰まっていて、4月以降も売電、補助金駆け込みの工事が目白押しです。
まとめ
そうなると発電量がもとに戻るのは早くて4月後半という事になります。
その間の電気代削減や売電収入は下がったままです。
早く直してあげたいのはやまやまですが、工事会社さんも自分のお客様が優先なので如何ともしがたい状況です。
ただ火事にならなかっただけマシだったと思う方が、今回は良いのかもしれません。
何度も言っていることですが、やはり太陽光発電システムは建築工事、電気工事、アフターメンテナンスがセットの商品です。
決してモノだけではないので、太陽光発電は安ければ良いというものではないという事を、今後も啓蒙していかなければいけないと強く思いました。