太陽光発電の売電価格が上がる?パナソニックとエプコがプレミアム売電事業を開始
パナソニックとエプコが太陽光発電の売電事業を開始
先週パナソニック社とエプコ社が家庭用太陽光発電アグリゲーション事業に関する合弁会社パナソニック・エプコエナジーサービス株式会社を1月31日に設立すると発表しました。
アグリゲーションの意味がわからなかったので調べてみました。
- aggregation【名詞】
- 1.【不可算名詞】集合,集成.
- 2.【可算名詞】集合体,集団.
つまり、家庭用太陽光発電アグリゲーション事業とは、家庭用の太陽光発電で発電した電気を集約する事業という事になります。
家庭用電力小売り事業の全面自由化
2016年度には家庭向けの電力小売市場が全面自由化されると言われています。
その市場規模は7.5兆円とも言われています。
パナソニックはその市場に対して先駆けとして、全面自由化を待たずに実現可能な事業としてビジネスを展開していく事を目的に、家庭用太陽光発電アグリゲーション事業を設立したとのことです。
事業の内容としては、個々の住宅から太陽光発電システムの小規模な電力を買い取り、集約して大規模な電力需要に対して販売するというものです。
パナソニックの発表資料を見ると事業目標として2018年度の契約数50万戸以上としています。
パナソニックの買取価格は電力会社の買取価格より高くなる可能性がある
パナソニックとエプコから配信された家庭用太陽光発電アグリゲーション事業についてのニュースリリースの内容をもう少し詳しく見ていくと、以下の様な記述がありました。
太陽光発電システム設置住宅のお客様へのメリットとして、固定価格買取制度の価格にプレミアムを上乗せした買い取りやアプリケーションを活用した省エネ支援などによる家庭の電力に関する家計の改善を通じて、太陽光発電のさらなる利活用の促進を実現していきます。
将来的には、電力小売自由化を見据えたパートナー連携や幅広いエネルギーサービスの提供を検討していきます。
つまり2014年現在であれば「38円で売電できているものを例えば40円で買い取りましょう」というものです。
しかし、大規模な電力需要に対して販売する時に今いくら位で売れるかというとだいたい15円~20円の間です。
つまり普通に考えると40円で買って、15円で売るので25円のマイナスになります。
これは1kWhあたりの話ですので2018年度の目標の50万戸から仮に年間4000kWh平均で買い取った場合には単純計算で500億円の赤字になってしまいます。
家庭用太陽光発電アグリゲーション事業はどうやってビジネスとして成立するのか?
現在日本国民はすべからく、再エネ賦課金という再生可能エネルギーの買取にかかった費用を負担しています。
(実際に家庭で負担している金額は月額で数十円から数百円くらいだと思います。)
電力会社は電力を買い取る際に、再エネ賦課金をもらっています。
そしてパナソニックが今回の事業で電力を買い取った場合も、同様に再エネ賦課金がもらえるのです。
ただここが少し小難しいのですが買取価格に設定されている「1kWhあたり38円」がまるっと貰える訳ではありません。
回避可能費用といものを差し引いた金額を貰えることになっています。
この回避可能費用というのは「電力会社が外部から電力を買い取ったために自分で発電しなくてよくなるので、その電力分を自分で発電していたら発生していたであろう費用」の事です。
つまり、「本来ならかかっていたはずの費用(回避可能費用)はかからなかった訳だからその分はさすがに差し引くよ」というものです。
この回避可能費用は毎月計算され変動します。
今月であれば9.34円です。
裏を返せば電力会社は今月であれば9.34円で電気を仕入れる事ができるという事になります。
この9.34円はパナソニックが仕入れる場合も同様です。
そうなると話は全然変わってきます。
例えば、38円/kWhで売電している太陽光発電導入者から2円のプレミアムを載せて40円/kWhで買い取り、15円で大規模な電力需要に対して販売したとします。
そうすると、40円から再エネ賦課金分の28.66円を差し引き、プレミアム分2円が載った11.34円買い取り、15円で販売しますので、粗利はkWhあたり3.66円です。
先にあげた状況と同様に、2018年度の目標の50万戸から年間4000kWh平均で買い取るとすると、73.2億円の粗利となります。
まとめ
当然この事業を運営するための費用はかかりますし、太陽光発電から発電される不安定な電力を調整するための蓄電池や調整電源としての別電源が必要だったりと簡単ではないと思います。
ですがどちらかというと、なんか再生可能エネルギー普及に対する風当たりが増すのではないかなと危惧します。
パナソニックがどれくらいのプレミアムを載せるかにもよりますが、太陽光発電を設置している人の利潤がより増加するからです。
プレミアムが高くなるとパナソニックの利益が減るという利益構造から考えて、プレミアムを過度に高く設定する事は考えにくいですが、この事業が本格化すれば、太陽光発電を設置する人は積極的にパナソニックに売電したいと思うようになります。
太陽光発電の普及は日本のエネルギー問題を解決する大切な要素の一つですので、かじ取りには十分注意していただきたいと思います。
私は4月から49kwの野建により売電する予定です。現在は北電になります。今ここで紹介されているパナソニックが高く買うとなれば変更できるのでしょうか。にわかに信じがたいですが。
田中和正 様
コメントありがとうございます。
今のところ無理かと思います。
発表内容を見る限りでは買取先は住宅用に限っているようです。
パナソニックの方式良いね誰も電力が安く成るのであるなら大賛成です
ナガシマキヨシ 様
コメントありがとうございます。
誰もが安くならないところが難しいですよね。
パナソニックも契約したら10年とか20年の長期契約でずっとプレミアム価格できるのかな??
一般人 様
コメントありがとうございます。
あくまで予想ですが、固定価格買取制度ありきのサービスですので、それぞれの固定買取期間が終了するまでという事になるのではないかなと思います。
ピンバック: パナソニックが太陽光発電余剰電力買い取りに!?No.2 | 田舎でつくろう! ( blog版)
ピンバック: 電力自由化 太陽光発電売電価格が上がる??? | 不動産投資と太陽光発電で脱サラを目指すブログ