マンションへの太陽光発電設置が進まない、たった一つのどうにもならない理由
年始に東京の方から太陽光発電についての相談を頂きました。
「マンションに太陽光発電を導入したいのですが、いくら位かかるでしょうか?」
という内容でした。
この質問を受けた時は必ずこう聞き返すようにしています。
『マンションの管理組合の理事の方でしょうか?』
管理組合の理事の方ではなくて、小規模なマンションのオーナーの方であれば話は簡単です。
ただほとんどの場合マンション管理組合の理事の方からの問い合わせです。
この場合、太陽光発電の設置は非常に難しくなります。
理事の方からの場合、マンションに太陽光発電を設置するための合議が必要になる
一戸建ての場合、相談者の方イコールその戸建の持ち主の方であり決裁権者です。
マンション管理組合理事の方からの問い合わせの場合、例え方は悪いですが戸建で例えるとお子様から相談をいただいている感じに似ています。
いくらお子様が導入に前向きになってもその後ご両親がその気にならないと導入には至りません。
マンション管理組合の理事の方は当然そのマンションの所有者です。
ただマンションの場合区分所有権ですのでマンションの部屋の数だけ所有者がいます。
総戸数100戸のマンションなら少なくとも100人の所有者がいます。
マンションは部屋の中は自分のものですが、それ以外の部分廊下や階段、屋上などは(マンション住まいではない方ですと意外と知らないのはバルコニー)全て共用部分となりマンション住民みんなの物です。
マンションに太陽光発電を設置するとなると屋上に設置することになりますので共用部分への設置となります。
マンション住民全員が考えて導入するかしないかを決めなくてはなりません。
マンションに太陽光発電を設置となると少なくとも総額500万円以上はかかります。
大きな容量にするとなると数千万ともなります。
これだけの大きな買い物をするかしないかの判断を合議制で行うのはそりゃ至難の業です。
マンションに太陽光発電を設置するための合議には全戸数のうち4分の3以上の賛成が必要
総戸数100戸のマンションで全員の同意がなければ太陽光発電の設置ができないのかというとそういうわけではありません。
「共用部分の変更」にあたりますので、4分の3以上の賛成が得られればOKです。
OKと言っても4分の3以上です。
断言してしまいますがこれはまず不可能な数字です。
緊急の議題でそれを決議しなければマンションの生活に重大な不具合が発生するというような全員が当事者であると認識できるような事態であれば可能性はあるかもしれれませんが、太陽光発電システムは無ければないで普段の生活に全く影響がないものです。
いくら意欲的な管理組合理事の方が太陽光発電システムをこのマンションに導入すると初期投資がかなり高いが20年のスパンで考えたらこれだけのメリットがあるのですと伝えたところで、当然住民の中にはリスクに対して過剰に反応する方もいれば投資を嫌がる人もいます。
ましてや管理組合の理事はだいたい1年周期で回り持ちで行うのが通例です。
貴重な休みを使って月に1回ほど集まり会議をします。
私も経験がありますが、私は少なくとも早く終わって帰りたいと思っていました。
わざわざ面倒くさい案件を議題として持ってこられたら全力で却下、来年持越しを提案すると思います。
まとめ
長々と書いてしまいましたが、管理組合の理事会で総会の議題としてあげるかどうかの検討のためには、とりあえず見積書をいくつかとって検討します。
そしてほぼこの段階で検討断念に至ります。
思っていたより高い、リスクが高い、大規模修繕との絡み、いろいろ考えると凄い面倒臭いなこれはとなり、理事会の段階で案件自体が無くなります。
こうなる事が目に見えているので、管理組合の方から相談があった場合は、おおよその金額感を伝えてまずそれで理事会で軽く話をしてみて欲しいと伝えるようにしています。
その後正式にいくつか相見積もりを取りたいんですとなったケースは一度もありません。
低層マンションであれば結構メリットでると思うのですが、戸数が多い場合は難しいでしょうね。