4.0kWの太陽光発電を設置したのに実際には3kWも発電しない!これって不具合ですか?
茨城県の方から太陽光発電のご相談を頂きました。
「1週間程前に4.0kWの太陽光発電を設置したのだが、モニターの表示が晴れている時でも3kWを超える事がない。
不具合が発生しているのではと販売店に言ったのだがそういうものだから不具合ではないと言われた。これは本当か?」
との内容です。
本当によく聞かれる質問ではありますが、このブログでは書いた事が無かったと思います。
せっかくですのでこの場で共有させて頂きます。
4.0kWの太陽光発電は瞬発的にも4.0kWは発電しません
契約する前に「1か月や1年でどのくらいの発電量になるのか」という話にはよくなるのですが、「瞬間的にどのくらい発電しているのか」という話にはなかなかなりません。
いざ設置してみてモニターを見ると「あれ?全然発電してない!?」という反応になる事があります。
kWとkWhと似たような2種類の単位があります。
似たようではありますが、全くの別物なので注意が必要です。
紛らわしいので、驚くのも無理はない事ですね。
販売店の説明不足とも言えますが、意図的に隠したりとかそのような事では無い事がほとんどでしょう。
太陽光発電システムのご説明の中でわざわざ出てこない部分ではありますので、致し方のない部分であるとも思います。
モジュール温度25度というのはどのような状態なのか
4.0kWの太陽光発電システムというのは、公称最大出力4.0kWの太陽光発電システムという事です。
そして公称最大出力というのは簡単に言うと、限定されたものすごく条件の良い状態での出力値です。
- 分光分布AM1.5
- 放射照度1000W/m2
- モジュール温度25℃
の状態での出力値が最大出力とされています。
細かく説明すると難しくなりすぎるので、モジュール温度25℃の部分だけ軽く説明させていただきます。
これは気温25℃という事ではなく、モジュール=太陽光パネルの温度が25℃の状態という事です。
晴れた日に屋根を触った事がある方はイメージしやすいかもしれませんが、太陽の光を浴びている部分の熱さは、冬で気温が低かろうがかなりの熱さになります。
小学校の時に虫眼鏡で実験をしましたが太陽光は集めれば火を起こせます。
つまり太陽光のエネルギーは本当に大きく、本当に高温になります。
太陽光は欲しいのですが、太陽熱は欲しくないのが太陽光発電システムです。
太陽光パネルの熱が25℃以上になればなるほどどんどん発電効率は落ちていってしまいます。
一般的な太陽光発電メーカーの年間発電量の計算式では、12月、1月、2月の一番寒い時期でも10%も、モジュールの温度上昇によってロスする事になっています。
パワーコンディショナで直流から交流に変換する時にもロスをします
家で電気を使うためには直流ではなく交流の電気でなくてはなりませんので、パワーコンディショナでこの変換作業を行います。
そしてこの時にどうしても数%ロスをしてしまいます。
一般的な太陽光発電メーカーの計算式では、大体5%前後のロスをする計算となっています。
(どのくらいロスを見込むかは、そのメーカーのパワコンの変換効率次第ですので、パンフレットをご覧になって頂くと記載がございます)
そしてそれ以外にケーブルや回路などの影響等により、約5%ロスをすると言われており、ほぼどのメーカーも計算式にその他のロス率として5%を組み込んでいます。
夏は暑いので温度上昇によるロス率は20%
今は夏ですしちょうど先週あたりから猛暑日が続いておりますので温度上昇によるロスは一年でもピークの時期です。
この方のシステムはカナディアンソーラーだったのですが、夏場のロス率は20%で計算します。
そうしますと4.0kWから20%マイナスとして3.2kW。
そこからパワコンで変換する時にさらに5%マイナスとして3.04kW。
その他のロスが5%とすると4.0kW×0.05=0.2kWですのでそれを差し引くと2.84kWとなります。
ですので計算上では夏場は少なくともこれ以上には発電しない事になります。
まとめ
夏場は20%の温度ロスと書きましたが、当然日によって温度は違いますし晴れている日や雨の日もあります。
先ほどの計算では放射強度などは考慮しておりません。
著しい減少であればできるかもしれませんが、瞬間的な発電量ではなかなか不具合の発見は難しいと思います。
やはり1か月の発電量の合計と当初シミュレーションの発電量予測とを比べて頂くのが一番良い方法だと思います。