蓄電池の工事はどんなことをするの?内容、時間、手順、工事費用まとめて解説!
家庭用蓄電池を検討する時、どんな工事がどんなタイムスケジュールで進行するのか、しっかり把握している方はなかなかいません。
それゆえに、
「太陽光発電の時は、工事中に停電があったけど蓄電池はどうなんだろう?」
「蓄電池の工事なんて簡単でしょ?工事費高くない?」
「何時間ぐらいかかるんだろう?」
といったちょっとした疑問が放置されたまま、工事当日を迎えることもめずらしくありません。
今回の記事では、
そんな蓄電池の工事をちょっとした疑問を解決し、具体的なイメージができるよう解説していきます。
実際の工事の現場で記録したタイムスケジュールも公開しますので、是非参考にしてみてください。
検討開始から工事の開始までは1~3か月
まずは、どのようなステップで検討が進み工事当日を迎えるのか確認してみましょう。
蓄電池の検討を開始してから工事にたどり着くまで早くて1か月、納品が遅れたり補助金申請に時間がかかる場合は3か月程度かかるのが一般的です。
弊社ソーラーパートナーズに問い合わせをいただいた時には、工事まで下記のようなステップで進んでいくことになります。
手順 | 備考 |
---|---|
①コチラで見積依頼する | |
②アドバイザーが電話で状況を確認し地元の工事会社を手配する | 自宅の環境や希望メーカーに合わせて最大3社手配させていただきます |
③手配した工事会社に現地を見てもらう | 設置している太陽光発電や設置スペースの確保ができるか確認します |
④見積もりを出してもらい検討する | お見積りの内容が適正かアドバイザーにご相談いただいても問題ありません |
⑤設置することを決めたら工事会社に連絡する | |
⑥(該当する場合は)補助金を申請してもらう | 補助金申請は基本的に工事会社が行います |
⑦工事会社と契約する | 基本的に補助金申請の後に契約の流れとなります |
⑧工事会社と工事の日程を打ち合わせる | |
⑨工事当日に自宅で立ち会う | 特に何かをする必要はありませんが自宅の中と外を行き来して工事をするため立ち合いが必要です |
⑩引き渡し完了 | 引き渡しの時に操作方法やサポートについて案内があります |
蓄電池施工にかかる工事費
相場として蓄電池工事にかかる工事費は約30万円~40万円程度です。
ただし、下記の3点に注意してください。
1,お見積書は商品代や工事費の内訳は自由に変えることができるので工事費で高い安いを判断することはできません。必ず総額で判断しましょう。
2,蓄電池は商品によって設置する機器の数や電気工事の複雑さが異なるため費用もそれ応じて異なります。
3,設置環境によってクレーンなどが必要なケースがあるため、その場合は工事費用が上がります。
工事費の他に本体価格なども含めた総額については下記の記事をご覧ください。
蓄電池工事の事前調査
蓄電池の見積もりを出すためには現地調査が必要です。
現地調査では、
1,蓄電池を設置するスペースが確保できるか
2,太陽光発電のパワコンの位置
3,分電盤の位置
4,太陽光発電の回路設計
5,商品を運び込むことが可能か
を重点的に確認することになります。
事前の確認なくお見積りを出す場合、あとから追加の工事費が必要になってしまうケースがあるので注意しなくてはいけません。
蓄電池の工事内容
蓄電池の工事ではおおまかに、
1,不要な機器の取り外し
2,壁の中に配線を通す
3,蓄電池に必要な機器の取り付け
4,機器と配線を繋ぐ
という工程が必要になります。
不要な機器というのは、例えばハイブリッドタイプの蓄電池を設置するときに、撤去する太陽光発電のパワーコンディショナーや接続箱などです。
不要な機器を取り外したときに残った穴を活用して、できる限り新しい穴を増やさないよう施工する提案ができるかどうか、そして見栄え良くきれいに施工できるかどうか、工事会社の腕の見せ所です。
蓄電池の設置現場レポート
ここからは実際の蓄電池工事の現場で、何時にどんな工程を経て完工に至ったのか、屋内工事と屋外工事に分けてレポートします。
今回立ち会った工事は、下記の条件で行われたものです。
・工事人数:3人(別現場の都合で途中から1人)
・工事商品:オムロン 12.7kWh
※蓄電池本体やパワコン等の機器を屋外設置する必要がある商品です
・既設の太陽光発電:東芝 3.6kW(9年前に設置)
・その他:パナソニック製の蓄電盤(1kWh)設置済み
・蓄電池設置の目的:そろそろ固定価格買取制度が終了するタイミング。今まで売電していた電気がもったいないので自宅で使えるように蓄電池を検討し始めた。元々ついている蓄電盤のために、普段からリビングで使える電気の量が少なかったので、高い出力の蓄電池を導入したかった。
蓄電池工事|屋内外共通
[8:59]工事会社が現地に到着
まず到着した工事会社さんは、施主様にご挨拶したのち、ご近所さんへ挨拶します。
工事では大きな音が出るのでトラブルにならないよう、事前に施主様からご近所さんへお伝えしておくといいでしょう。
次に施主様と一緒に屋外と屋内の機器が設置される場所の最終確認を行います。
屋外では太陽光発電の接続箱を取り外して、蓄電池本体、パワコン、PVユニット、トランスユニットを設置する予定です。
隣家までのスペースを広くとれないので、施主様は「パワコン、PVユニット、トランスユニットが外壁の高い位置に設置できるオムロンの蓄電池に魅力を感じた」と仰っておりました。
太陽光発電のパワコンと蓄電盤は屋内のクローゼットの中に設置されていました。
今回の工事ではそれぞれ取り外してから、蓄電池に必要な全負荷分電盤とゲートウェイ(システムの運転状況をモニターする機器)を設置することになります。
しかし、蓄電盤は停電時だけでなく平常時もリビングに繋がっているため、一度リビングの電気を蓄電盤から切り離して分電盤に戻すという説明がありました。
蓄電池工事|屋内レポート
[9:13]クローゼットの中を養生
工事を開始する前に、工事によって家を汚したり破損しないよう丁寧に養生を行います。
丁寧に養生されていないとハラハラしながら見守ることになるので、気になることがあったら工事会社に伝えましょう。
[9:24]パワコンと蓄電盤の取り外し
パワーコンディショナーと蓄電盤の取り外し作業に入ります。
今回は蓄電盤という特殊な機器の取り外しがあるため、この時点でリビングのみ停電になります。
一般的な家屋に蓄電盤はないため、基本的な蓄電池工事では1回(今回の工事では[13:34]の作業分)しか停電作業はありません。
時間にして9:31~10:06の35分間リビングのみ停電していました。
[10:40]屋内の配線と全負荷分電盤の取付準備
屋外に機器が設置されたらスムーズに繋ぐことができるようにあらかじめ屋根裏に配線を通しておきます。
配線と機器を繋ぐと電気が流れて危険なので、この段階では屋根裏に線があるだけという状態です。
次に全負荷分電盤の設置に移りますが「元々蓄電盤がかかっていた壁に全負荷分電盤を設置する方が壁紙の色あせが目立たずに済むので綺麗に仕上がりますよ」と工事会社から施主様へ提案がありました。
ちなみに全負荷分電盤というのは、蓄電池を全負荷型(停電時に家全体に電気を供給するタイプ)にするために必要な機器です。
下記の画像は蓋を開けた状態の全負荷分電盤です。
[11:16]ゲートウェイ設置場所の穴あけ
ゲートウェイはオムロンの蓄電池に付帯する壁掛けのコンソールです。
蓄電池の設定を変更したり、太陽光発電と蓄電池の状態をランプで知らせてくれます。
屋外で機器を設置している間に、ゲートウェイの設置も進めておきます。
ゲートウェイは、本体と電気の流れをモニターする計測ユニットで一式となります。
今回は分電盤との位置やゲートウェイの見やすさを考えて、本体はインターフォンの隣に設置することになりました。
[12:00]休憩
お昼休憩は多くの場合1時間程度とります。
工事の予定が詰まっている場合や、短時間の工事の場合休憩を短くしたり、休憩を取らずに工事を続行してしまうこともあります。
[13:00]全負荷分電盤の設置
元々蓄電盤がついていた位置に全負荷分電盤を設置します。
その際、全負荷分電盤へつながる配線とゲートウェイ機器の配線も繋ぎ始めます。
[13:34]停電させて全ての配線を繋ぐ
家の分電盤に今回設置した主な蓄電池関連の機器を繋げるため、一時的に停電状態にします。
ブレーカーを落とした上で、家に入ってくる電気を全て遮断するためにメーターから入ってくる電気も遮断する必要があります。
[14:43]停電から復旧させゲートウェイを設置
停電時間は1時間9分でした。
この時には作業を一人で行っていたので、停電時間は現場によって様々です。
停電に伴い、冷蔵庫の中身が心配という方もいると思いますが、2時間から3時間程度であれば食品が傷むこともないようです。
あらかじめ停電時間をご説明いただけることが多いですが、もし説明がなく心配であれば、停電前にはどんな会社でも必ず施主様にお声がけしますので、停電作業前にどのぐらいの時間停電するか確認するといいでしょう。
次はゲートウェイの本体を設置します。
機能だけでなく、見栄えも重要なので、水平器を使って床に対して水平に設置されているか確認しながら固定していきます。
[15:17]取り外した機器の跡が目立たないよう処理
今回取り外した太陽光発電のパワコンが設置してあった場所は、ネジや配線口が目立つため、綺麗に補修します。
壁に残った跡とネジは壁紙と同じ色で埋めて、配線口はカバーを取り付けました。
[15:24]屋内工事終了
屋内の工事は養生マット敷いていたので、マットやごみを片付けました。
その後、蓄電池の運転確認をしてから、運転モードの設定や操作の説明を一通りして終了となります。
蓄電池工事|屋外レポート
[9:10]太陽光発電の接続箱の取り外し
外壁に設置されている接続箱の配線を絶縁処理し、屋内のパワコンに電気が流れないようにします。
その際、むき出しの配線同士が接触するとショートしてしまうかもしれないため、丁寧に処理しなくてはいけません。
電気はガスや水道と違い正しく処理されたのか目に見えづらいため、信頼できる工事会社を選ぶことが大切です。
しっかりと絶縁処理をしたら接続箱を取り外します。
[10:30]外壁に穴を開ける位置を確認
外壁に設置する機器は、屋根裏を通って屋内に設置する機器に繋がるため、配線用の穴を正しい位置に開けないといけません。
そのため、穴を開ける位置は慎重に確認します。
配線用の穴の位置から考えて機器を設置する位置も順番に決定していきます。
今回は外壁に蓄電池用のパワコン、トランスユニット、PVユニットを設置するため、機器の間隔も確かめます。
その際、状況を確認した工事会社から「一部を隠ぺい配線ができそう」と施主様へ提案があったので、隠ぺいさせながら工事を進めることになりました。
[10:50]外壁に穴を開ける
慎重に外壁に穴を開けていきますが、その時に雨水が屋内に入らないよう少し下から斜め上に向かって穴を開けます。
穴は防水性能と気密性能をできるだけ落とさないよう処理をしますが、さらに屋内に雨水が入らないようにしています。
蓄電池の工事で一番大きな音がするのは、外壁に穴を開けるときです。
穴を開けた後も機器を固定する際しばらく音が続くので、ご近所さんへの挨拶はしっかりしておきましょう。
[11:05]外壁に機器の設置
外壁に機器を固定するには、背板を外壁に固定し、背板に機器をひっかけるように設置します。
電池用のパワコン、トランスユニット、PVユニットそれぞれの背板固定する前に、背板がしっかり地面に対して水平がどうか水平器で確認します。
近所の人にも見えるため、工事会社も張り切って見栄え良く設置してくれます。
[12:00]休憩
お昼休憩は多くの場合1時間程度とります。
工事の予定が詰まっている場合や、短時間の工事の場合休憩を短くしたり、休憩を取らずに工事を続行してしまうこともあります。
[13:00]屋外の機器同士を繋ぐ
屋外に設置した機器はそれぞれパワコンへ繋ぐ必要があります。
配線が外壁上で繋がっていると見栄えが悪く、外の環境にさらされると劣化も早くなるので、壁の中(今回の現場では屋根裏)でそれぞれ配線を繋ぎます。
機器の左下にある配線口から壁の中へ配線を通し、配線の両端に圧着端子を付けて、隣に設置した機器と繋いでいきます。
[14:00]蓄電池本体の設置
ここで蓄電池本体を設置します。
蓄電池本体はコンクリートブロック基礎を置き、その上に蓄電池ユニットを固定することで転倒防止対策となります。
今回設置する12.7kWhの蓄電池は138kgも重さがあるので、設置場所まで運ぶのも一苦労です。
基礎も今までと同様に水平器を使い、しっかりと傾きがないか確認しながら設置をしていきます。
[14:25]工事完了
屋内工事の進捗に応じて残りの配線工事を終え、機器にカバーをかけたら完了です。
カバーをかけるまでは、機器からエアコン室外機よりも少し小さいぐらいの音がしていましたが、カバーをかけた後はほとんど音がしませんでした。
工事の時に出たゴミをまとめ、汚れを落としたら工事は終了となります。
蓄電池工事の3つの注意点
蓄電池の工事をすることが決まったら、スムーズに設置をするためにいくつか注意しておくべきポイントがあります。
蓄電池工事の3つの注意点
1,工事会社の車両が当日どこに停められそうか事前に打ち合わせておく
蓄電池の工事では大体1台から2台の車で工事会社の方がいらっしゃいます。
道をふさいで工事をすることはできないため、工事会社との打ち合わせの際には、
・車何台で来るのか
・自宅の駐車スペースに停められるか
・近所ならどこのパーキングが使えそうか
・道が細くて車が入れないなどあるか
あたりを事前に確認して認識をすり合わせておくといいでしょう。
事前の確認不足で、商品の搬入が難しくて工事自体が延期になってしまう可能性もあります。
蓄電池工事の3つの注意点
2,工事中の停電
蓄電池の工事では、必ず一度は停電して配線を繋げる作業が入ります。
停電のタイミングは必ず工事会社からアナウンスがありますが、停電になったときに知らずに家の電化製品がダメージを負ってしまうケースがあるため注意が必要です。
特に注意すべきものは、インターネット機器、冷蔵庫、エアコンです。
最近はインターネットに常時繋がっているIoT機器が増えてきたので、ネットに繋がっているという認識を持っていない電化製品もあるかもしれません。
多くの場合は、停電が解消されたときに再接続すれば問題ないことが多いですが、一度自宅の家電でネットに繋がっているものがどれか確認していただくことをおすすめします。
次に冷蔵庫ですが、これは言わずもがなで、食品が傷んでしまうリスクがあります。
冷蔵庫は扉を閉めていれば2~3時間程度なら温度をキープできますが、それ以上となると注意が必要です。
蓄電池のみの工事で2時間以上停電している場合、工事会社にとっても想定外の問題が起こっているケースがあるので、一度工事会社と相談してみましょう。
最後にエアコンですが、電源を切ってから停電させることをおすすめします。
理由はエアコンの故障に繋がったり、再起動に必要な電気の量が多いので復旧の際にブレーカーが落ちてしまう可能性があるためです。
蓄電池工事の3つの注意点
3,隣家への協力依頼
特に都心や住宅地で気を付けていただきたいポイントです。
蓄電池の工事をする際、隣家との距離が狭く機器設置を行うために隣家の敷地に足をかけながら作業をしなくてはいけないケースが多くあります。
工事当日に判明してトラブルになることがないよう、事前に隣家の方に敷地に入る可能性があることをお伝えしておくといいでしょう。
その際、大きな音が出ることも伝えておくと、トラブルを抱えることなくスムーズに工事が行えます。
番外編:蓄電池工事のおすすめ差し入れ
以前、弊社の工事会社ネットワークに所属する全国の会社に対して、工事の現場で差し入れされて嬉しいものをアンケートしたことがあります。
あいにく夏場の差し入れしかアンケート結果がありませんが、よろしければ差し入れを考えている方は参考にしてみてください。