首都直下地震に太陽光発電や蓄電池は役立つのか?徹底解説!
結論:首都直下型地震に太陽光発電と蓄電池は有効です。
在宅避難人口が多く、広範囲で停電が1週間つづくと予想される首都直下地震では電気の自給自足の必要性が特に高いです。
政府が具体的に発生を想定している地震のひとつが首都直下型地震です。
首都の東京都だけでなく、関東の広い範囲で被害が出ると予想されています。死傷者やインフラなどの直接的な被害だけでなく、経済や政府機関への影響が特に大きい地震だと考えられています。
関東の人口は約4300万人ですが、そのほとんどの人が何かしらの被害を受ける可能性が非常に高い地震です。
いざという時にのため用意しているかどうかで、震災直後の暮らしが大きく変わりますので、今回は下記の内容で首都直下地震の概要と、自宅の防災設備として太陽光発電や蓄電池が役に立つかを解説していきます。
首都直下型地震の概要
首都直下型地震は、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、山梨県、茨城県のいずれかの地域を震源として起こるマグニチュード7クラスの大地震です。
政府では30年以内の発生率が70%と予想しています。
関東では、大正関東地震に代表されるマグニチュード8クラスの巨大地震が200年~400年に一度のペースで発生していますが、過去の傾向から、そのクラスの地震が発生する100年ほど前からマグニチュード7クラスの大地震が頻繁に発生することがわかってきました。
まとめると、首都直下型地震というのは100年後に発生が予想される巨大地震と、その前に何度も発生すると想定される一連の大地震のことを指します。
首都直下地震で想定される被害
地震の揺れによる建物の倒壊はもちろんですが、首都直下地震で特徴的な被害として想定されているのは火災です。
首都圏には木造住宅の密集地域がいくつか存在しています。特に環状七号線の内側に多く、延焼した結果、焼失する建物は41万棟に及ぶと言われています。
また、人口密集地域で公共交通機関が麻痺すると、避難所に行くため、帰宅するため、県外に逃れるためなど色んな目的の人々が無秩序に移動するので、群衆雪崩が発生する可能性が高まります。
インフラに関しては、東京都が令和4年に発表した被害想定によると、下記のようになります。
・電力は停電が1週間程度続き計画停電を経て1か月後に多くの地域で復旧
・上下水道ともに復旧に1か月以上要する
・ガスは3日目までは安全点検が続きそれ以降順次復旧
・通信は1週間後に順次回復
・鉄道は1ヶ月経過しても復旧しない可能性あり
・道路は1週間交通規制が続いた後順次解除するが瓦礫の撤去状況による
首都直下の被害に太陽光と蓄電池は有効?
住居の倒壊や火災の心配がない場合は、基本的に在宅避難が理想とされています。
理由は、首都直下地震は人口が多い地域で起こる地震なので、避難所に逃れてくる人が増加し続けるためです。
結果的に、避難所に人が増え続けることでプライバシーがない空間で過ごすだけでなく、トイレなどの衛生環境が急速に悪化し感染症が広まることが予想されています。
在宅避難ができるのであれば、被害地域から出るにせよ留まるにせよ、避難所には行かずに自宅で情報収集に徹するのが最善です。
しかし、多くの人が在宅避難が維持できなくなるのは、住居倒壊や火災の問題だけではありません。自宅の電気が使えないことで冷蔵庫の中身が傷み、仕方なく避難所に行かざるを得ない状況になることが原因です。
そのため、震災初期の混乱に巻き込まれずに在宅避難をするために太陽光発電や蓄電池は非常に有効です。
太陽光発電と蓄電池ができること
太陽光発電は文字通り太陽光で電気を発電します。
普段使いであれば、発電した電気は家全体で使うことができるので電気代削減効果を期待することもできますが、停電時となると話が変わります。
停電時は電気を発電しても、非常用コンセント(太陽光発電の工事の際につけるコンセント)からしか電気を使うことができません。
そのため、スマホの充電をしたりスタンドタイプの照明を使うことならできますが、テレビ、エアコン、冷蔵庫などを使うには不便があります。
停電時も家全体で電気を使うようにするのであれば蓄電池も必要です。
蓄電池は電気をためる機能しかありませんが、最近の商品は太陽光発電の電気をためつつ、同時に家全体で電気を使えるよう放電できるタイプもあるので、電気の自給自足が可能となります。
目安として一般家庭であれば、1日の電気使用量は13kWhです。普段通りの生活をしようと思ったら太陽光発電は4kW前後で蓄電池は9kWh前後の設備があれば十分供給できます。
また、太陽光発電や蓄電池とセットで、インフラが停止した時に役立ってくれる商品として、IHとエコキュートのようなオール電化製品も注目を集めています。
太陽光発電や蓄電池で、停電時も電気が使えるようになった時、元々ガスに依存していたコンロや給湯まで電気で動かせるようになれば、さらに不便を感じづらくなります。
さらに、エコキュートは300リットルや400リットルの水を貯めておくようなタンクを備えているので、水のインフラが停止している非常時にはタンクから水を使うこともできます。
実際の導入事例
過去に大規模な停電が起きた際、ソーラーパートナーズで太陽光発電や蓄電池を設置した方にアンケートを実施したことがあります。
本当に太陽光発電や蓄電池が役立つのか一番リアルな声なので参考にしてみてください。
2018年北海道胆振東部地震
停電時に太陽光発電や蓄電池を良かったこと
- 天気のいい日だったので、冷蔵庫+洗濯機+スマホ4台+テレビが同時充電出来た。
- 冷蔵庫、携帯の充電、自宅電話、水洗トイレが使用できて良かった。
他の家庭では冷凍庫内のものが溶けたり、携帯の充電がなかったりで大変そうだった。 - 冷蔵庫を稼働できたことが一番大きい。曇り空でも必要電力は終日賄えた。
半日通電すれば夜間は通電しなくても冷凍品は解けないし、冷蔵品にも気になるほどの温度影響はなかった。 - 冷蔵庫の中の物を腐らせることなく、その後の食料不足(店が営業してない)を気にせず過ごせた。
- 自分たちだけでなく、両隣の人へも電力を供給できたのが良かった。
やはり冷蔵庫が使えたことが一番印象的だったようです。
ご近所さんへ電気を供給できたというのもいい話です。
冷蔵庫の中に食料があっても電気がないと腐らせてしまいます。しかし、多くの人は避難所では食糧不足を経験することになります。そんな中、食料を無駄にせず使えるというのは、精神的にもストレスが少ないということかもしれません。
このアンケートでは、太陽光発電だけ設置して蓄電池を設置しなかった方からも回答をいただきました。
多かった声は「蓄電池を設置しておけばよかった」「延長コードを用意しておけばよかった」というものです。
蓄電池に関する回答
- こんな事が起きて、改めて太陽光発電の優位性を知ったが、蓄電池システムも考えなくてはと思った。
- 今回の事で、太陽光発電だけでなく、蓄電池も欲しいと感じました。
- 冬に備えて蓄電池を買った。
延長コードに関する回答
- パワコンから冷蔵庫まで遠くて延長コードが宙にぶら下がっている状態だったので、もう1本延長コードが必要だった。
- コードを伸ばさなければ使えない。
太陽光発電だけの場合、停電時には非常用コンセントにしか電気が供給されません。もちろん発電していない時間帯にも使えません。便利に使うのであれば家じゅうで普段通りに使えるように蓄電池を導入するか、携帯電話の充電やちょっとした照明ぐらいしか使わないにしても延長コードがあると便利です。
2019年台風15号(千葉県)
地震ではありませんが、長期間の停電を経験した方からの回答です。
今回は太陽光と蓄電池をセットで導入した方からの回答のみご紹介します。
蓄電池所有者の回答
- 停電を気にしなかった。
- 冷蔵庫と扇風機が使えたのは助かっている。携帯充電やWi-Fiが使えるのも。
- 夜電気が使える安心感があった
- 冷蔵庫とテレビ、トイレを使えて助かった。電灯もついたことで安心出来た。
- エアコン、冷蔵庫、テレビ、照明が使え夜も涼しく寝れた。
- 冷蔵庫が使えた
- 照明が使え、ご飯が炊け、洗濯が出来てトイレが流せたのでとても助かった。
- WIFI、テレビ、携帯の心配が無かった
- 暑い中のエアコン使用
蓄電池まであると、停電を気にせず災害時にも家で過ごせるようです。
ただ、首都直下地震で注意が必要な点としては、携帯電話やWi-Fiはネット通信できない可能性があります。2024年の能登半島地震では場所によっては電波が通じなくなってしまったというケースがあったそうです。復旧は通信事業者次第なので、使えない可能性があるということもおさえておきましょう。
まとめ
首都直下地震は、政治的にも経済的にも大きな打撃を与える可能性が非常に高い大地震です。
それも一度乗り越えたら終わりではなく、これから100年の間何度も同じ規模の地震が発生することが過去の例から予想されます。
国や都が太陽光発電や蓄電池の導入に血税を投じている理由としてこれ以上のものはありません。
一戸建ての家を持っている方、もしくはこれから購入する方は、家に必要な設備のひとつとして、家電や家具のように太陽光発電や蓄電池を設置することをおすすめします。
現在は、国、都道府県、市区町村とで太陽光発電や蓄電池へ補助金を用意しています。しかし、今まで増額傾向だった補助金が、今年から予算の増額や条件の緩和と消極的な策へと移り変わったようです。
太陽光発電や蓄電池は検討し始めてすぐに設置ができるものではありません。
適正価格でしっかり工事してくれる業者を比較しながら検討し、設置申請や補助金申請を出して、数か月後に申請受理して初めて必要な部材を発注して工事に移ることができます。
そのため、震災後に設置しておけば良かったと後悔することがないよう早めの検討をおすすめします。
よくある質問
最後によくある質問について回答します。
Q.太陽光発電は夜は使えないんですか?
A. 太陽光発電だけでは蓄電する機能がないので、平常時でも停電時でも夜間に使うことはできません。昼間に発電している時は、平常時なら家全体で電気を使うことができますが、停電時は非常用コンセントという1か所のコンセントからしか電気を使うことができません。
Q.蓄電池があればオール電化も使えますか?
A. 蓄電池によります。最近では多くの蓄電池が200V機器(オール電化、リビング用エアコンなど)に対応していますが、一部の商品は対応できないものもあります。200V対応している蓄電池かどうかをチェックして検討してください。
Q.太陽光発電や蓄電池の設置費用を安くする方法は?
A. ①相見積もりをとる.②補助金を利用する.③工事会社に直接依頼する.の3つです。
会社によって100万円以上の価格差があることもあるので、しっかり比較検討をしましょう。