トライブリッドシステム一覧!2024年大手メーカー参入で戦国時代へ
日本では一層大きな盛り上がりをみせる電気自動車(EV)とハイブリッド車(PHEV)の需要に対し、家庭に設置できる充電設備や蓄電設備のラインナップも充実してきました。
今では、限られた場所にしかなかった充電スポットも個人宅へと普及され、V2Hを含めた停電対策までも期待されています。
その中でもトライブリッドシステム(V2H+蓄電池)は電気自動車関連では最高性能の設備です。2024年からは大手メーカーの参入によって選択肢が増えるので、既に太陽光発電を設置している方にも、これから検討する方にも良いタイミングになると思います。
今回は、トライブリッドシステムのメーカー、商品について下記の通り詳しく解説していきます。
・トライブリッドシステムのメーカーと商品一覧
・各メーカーごとのトライブリッドシステムの違いや特徴
・トライブリッドシステムで利用可能な補助金
トライブリッドシステムのメーカーと商品一覧
ニチコン
まずは、世界で初めてV2Hを開発したニチコンです。
トライブリッドシステムに関しても最初に発売を開始した経緯から、他のメーカーよりも商品のラインナップが豊富です。蓄電池についても近年は人気が高く、昨年のメーカー別販売実績は1位となりました。
ニチコン ESS-T3シリーズ | |
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型番 | ESS-T3シリーズ |
蓄電容量 | 4.9kWh,7.4kWh,9.9kWh,14.9kWhから選択 |
保証期間 | 15年 |
全負荷・特定負荷 | 全負荷型 |
備考 | V2Hスタンドは一体型とセパレートがありそれぞれ価格が異なります。期間内であれば先に蓄電池もしくはV2Hだけを先に設置することが可能です。 |
パナソニック
次に有名な家電メーカーであり、世界的な蓄電池メーカーでもあるパナソニックです。家庭用蓄電池ももちろんですが、テスラとの提携に関しても大きな話題となりました。実は太陽光発電と蓄電池を連携させるハイブリッドシステムを初めて開発したメーカーでもあります。パナソニックの動向はこれからのトライブリッド市場でも要注目です。
パナソニックの「eneplat」は、2024年からシステムの構成機器を刷新するので、下記の情報は新モデルのものです。
パナソニック eneplat | |
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名称 | eneplat |
蓄電容量 | 6.4kWh,6.7kWh,12.8kWh,13.1kWh,13.4kWhから選択 |
保証期間 | 15年 |
全負荷・特定負荷 | 全負荷型 |
備考 | 蓄電ユニットの保証は無償10年、有償15年から選べます。期間内であれば先に蓄電池もしくはV2Hだけを先に設置することが可能です。 |
シャープ
シャープも言わずと知れた有名メーカーです。特に太陽光発電に関しては、最初期から供給を続けてきたので累計販売台数は堂々の1位。そのため、結果的に蓄電池もシャープ製が人気となり、弊社実績に基づく全国の蓄電池の人気商品ランキングも二年連続で1位となりました。
そんなシャープが2024年から太陽光発電や蓄電池に連係可能なEVコンバータ(V2H)を販売し始めました。太陽光発電OBへの蓄電池販売が成功しているだけに、多くのOBを抱えるシャープがトライブリッド市場へどのような影響を与えるのか要注目です。
シャープ EV用コンバータ | |
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型番 | JH-WE2301 |
蓄電容量 | 6.5kWh,9.5kWh,13.0kWhから選択 |
保証期間 | 5年 |
全負荷・特定負荷 | 全負荷型 |
備考 | 保証期間は無償で5年で有償で5年分ごとに追加可能(最大15年)。期間内であれば先に蓄電池もしくはV2Hだけを先に設置することが可能です。 |
長州産業
長州産業といえば、太陽光発電でここ数年一番人気の国産メーカーです。長州という名前の通り山口県に本社があります。海外メーカーに価格で押され、ほとんどのメーカーのシェアが下がる中、国内メーカーで唯一人気を高めています。
元々は太陽光パネルはOEMでパナソニックから供給を受けていましたが、自社パネルが人気となり次第にOEMの取り扱いはなくなりました。蓄電池はオムロンから供給を受け、昨年はオムロン製の蓄電池のシェアを2位まで押し上げる活躍をみせました。そして肝心のトライブリッドシステムはどのように調達しているかですが、ここにきてパナソニックの「eneplat」をOEMで採用されています。長州産業での名称は「SMART PV EVO」です。
ただ、パナソニックの項目で紹介したものと蓄電容量が異なります。パナソニックが2024年に新モデルを販売するので、ゆくゆくは長州産業のモデルも変わるかもしれません。
長州産業 SMART PV EVO | |
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名称 | スマートPVエボ |
蓄電容量 | 6.3kWh,12.6kWhから選択 |
保証期間 | 15年 |
全負荷・特定負荷 | 全負荷型 |
備考 | 長州産業独自の保証として無償で蓄電池ユニット15年さらに施工保証が10年つきます。期間内であれば先に蓄電池もしくはV2Hだけを先に設置することが可能です。 |
ダイヤゼブラ電機
ダイヤゼブラ電機は、数年前に蓄電池業界で一世を風靡した「EIBS 7」という人気商品を供給しているメーカーです。最近は太陽光発電と蓄電池のメーカーを揃える方が多いため、あまり名前は聞かなくなりましたが、高い性能は健在です。
そんなダイヤゼブラ電機が、なんと東京電力ホールディングスと共同開発したトライブリッドシステムを発表しました。トライブリッドシステムのうち、V2Hは「EIBS Va-1」(アイビス・ブイエーワン)、蓄電池は「EIBS V」(アイビス・ブイ)という名称です。「EIBS V」は2024年3月から販売開始され、「EIBS Va-1」は2024年夏ごろに販売開始と発表されています。
ダイヤゼブラ電機 「EIBS Va-1」「EIBS V」 | |
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名称 | 「EIBS Va-1」「EIBS V」 |
蓄電容量 | 6.21kWh |
保証期間 | -年 |
全負荷・特定負荷 | -型 |
備考 | まだ詳細がでていない部分があります。蓄電池ユニットは20,000サイクルと高寿命です。期間内であれば先に蓄電池もしくはV2Hだけを先に設置することが可能です。 |
メーカーごとのトライブリッドシステムの違いや特徴
ここからは各トライブリッドシステムの特徴や違いに焦点をあてて解説します。
トライブリッドシステム価格
トライブリッドシステムはパワーコンディショナー、蓄電池、V2Hという複数の商品が組み合わさっています。もちろん商品代だけでなく工事費などもかかってくるので正確に比較することはできません。特に蓄電池やパワーコンディショナーはカタログの価格と仕入れ値が大きく変わってくるため参考にすることはできませんが、V2H部分はカタログ価格と仕入れ値が大きく変わらないことが多いため比較しやすいポイントです。蓄電池などを含めた総額は会社ごとに大きく異なりますので、比較見積もりをした上でご検討ください。
メーカー | V2H型番 | V2H価格(税抜) |
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ニチコン | ES-T3P1 V2Hポッドセパレート型(ケーブル3.5m) |
150万円 |
ニチコン | ES-T3PL1 V2Hポッドセパレート型(ケーブル7.5m) |
160万円 |
ニチコン | ES-T3V1 V2Hポッド一体型(ケーブル7.5m) |
130万円 |
パナソニック | LJV2671C | 160万円 |
シャープ | JH-WE2301 | 150万円 |
長州産業 | VCP601 | 160万円 |
ダイヤゼブラ電機 | EIBS Va-1(型番未発表) | -万円(未発表) |
こうして比べてみると、メーカーごとに大きな違いはありませんが、ニチコンの一体型がとびぬけて安い印象です。まだそこまで多くのデータが集まっているわけではありませんが、実際ニチコンのトライブリッドシステムはご紹介した他のメーカーよりも提案ベースでは安い価格となっていると報告がありました。
トライブリッドシステム特徴
実はトライブリッドシステムに採用されているV2Hは、V2H単体で設置する商品より高性能であることがほとんどです。そのため、どのトライブリッドシステムも急速充電機能を備え、停電時は高出力で家に電気を供給できるようになっているので、最低限欲しい機能が備わっていないということはあまりないと思います。
しかし、そんな中でも他社との差別化のために、各社がウリにしているポイントがあるのでご紹介します。
メーカー | 特徴 |
---|---|
ニチコン |
・V2Hポッドを使って自由なレイアウト ・最大9.9kWのハイスピード充電 ・AIや気象予報による充放電の自動制御 |
パナソニック |
・業界初電気自動車と蓄電池に同時充放電 ・屋内の配線工事なしで後から蓄電池V2Hの増設可能 ・既存システムでカットされていた太陽光のパワコン出力超過分を最大9kWまで利用 ・HEMS(AiSEG2)や気象予報による充放電の自動制御 |
シャープ |
・業界最小&最軽量ですっきり壁掛け設置 ・無償保証5年に加えて自然災害補償や事故を含む有償5年保証(最大15年) ・HEMS(COCORO ENERGY)や気象予報による充放電の自動制御 |
長州産業 |
・パナソニックと同様の機能 ・長州産業独自の機器15年、施工10年保証 ・HEMS(AiSEG2)や気象予報による充放電の自動制御 |
ダイヤゼブラ電機 |
・薄型軽量、省スペースでの設置を実現 ・V2H、蓄電池の充電・放電をAIが制御 ・蓄電池ユニットの充電・放電が20,000サイクル可能 |
上の比較表には書いていませんが、ダイヤゼブラ電機以外は蓄電池の容量を複数パターンから選ぶことができます。トライブリッドに求められる蓄電池の容量に関しては、様々な意見があります。下記の記事でも触れているので参考にしてください。
トライブリッドシステムで利用可能な補助金
トライブリッドシステムでは、一般社団法人次世代自動車振興センターが出している助成金が利用できます。
最大45万円で概要は以下の通りです。
事業名 | 「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金」 | |
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補助金名 | 「充電設備・V2H充放電設備・外部給電器補助金」 | |
補助条件 | 一般社団法人次世代自動車振興センターが補助対象として定めたV2H充放電設備を新品で購入設置すること | |
補助金上限金額 | 設備費:30万円 | 工事費:15万円 |
補助金交付申請受付期間(追加申請受付の期間) | 2024年度は二回に分けて募集 ・6月中旬~7月中旬 ・8月下旬~9月末 ※昨年は2か月程度で予算上限に達してしまったため早めの検討をお勧めしています。 |
そして、今回ご紹介したトライブリッドシステムで具体的に受けることができる助成金はこちらです。
基本的にトライブリッドシステムは高価なものなので最大限の補助を受けることができますが、ニチコンの一体型は費用が安いので減額となっているようです。
※新商品のため上限金額が発表になっていないものがありますが、性能や価格を考えて恐らく45万円の補助がでると想定されます。最新情報が発表され次第表は更新予定です。
メーカー | V2H型番 | 補助金上限 |
---|---|---|
ニチコン | ES-T3P1 V2Hポッドセパレート型(ケーブル3.5m) |
45万円 |
ニチコン | ES-T3PL1 V2Hポッドセパレート型(ケーブル7.5m) |
45万円 |
ニチコン | ES-T3V1 V2Hポッド一体型(ケーブル7.5m) |
未定 |
パナソニック | LJV2671C | 未定(恐らく45万円) |
シャープ | JH-WE2301 | 未定(恐らく45万円) |
長州産業 | VCP601 | 45万円 |
ダイヤゼブラ電機 | EIBS Va-1(型番未発表) | 未定(恐らく45万円) |
また、トライブリッドシステムは蓄電池を含んでおりますので、時期や条件が合えば国の蓄電池補助金を利用することも検討してみてください。
事業名 | 「家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業」 | |
---|---|---|
補助金名 | 「DR補助金」 | |
補助条件 | 一般社団法人環境共創イニシアチブが補助対象として定めた蓄電池を新品で購入設置すること | |
補助金上限金額 | 設備工事費:60万円 | |
補助金交付申請受付期間(追加申請受付の期間) | 2024年4月10日~12月6日 ※昨年は1か月程度で予算上限に達してしまったため早めの検討をお勧めしています。 |
この他にも、都道府県や市区町村から補助金が出ているケースがあるのでご確認ください。
トライブリッドシステムをお得に設置するには
現在販売されているトライブリッドシステムをまとめて紹介しました。デザイン、性能、価格など比較ポイントはありますが、トライブリッドシステムに求められる性能はそこまで大きく変わらないと思うので、どこかが飛びぬけて良いというものではないかと思います。そうなると、大切になってくるポイントが、どの会社から購入して工事してもらうのかという点です。トライブリッドのように蓄電池やV2Hが内蔵されている複雑なシステムは、過剰な工事費を見積もりに乗せられていたり、細かい機器に余計な費用が乗せられていてもなかなか気づけません。ただ、工事を伴う商品なので、提案を出す会社によって価格が変わってくることは不自然ではありません。そのため、ご自宅の適正金額を知っていることがとても重要になります。
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