【誰でもわかる】太陽光発電2019年問題とは結局なにが問題なのか?
こんにちは!
「太陽光発電と蓄電池の見積サイト『ソーラーパートナーズ』」記事編集部です。(蓄電池専用ページはこちら)
太陽光発電について調べると頻繁に聞くであろうキーワードが「2019年問題」です。
名前に「問題」とつくだけあって、「太陽光発電は本当に大丈夫なの?」と不安を感じている人も多いと思います。
しかし、この2019年問題ですが、実は関係のある人はごくわずかです。
この記事では、「2019年問題とは何か」といった基本的なことから、「2019年問題の対象者は誰」「これから設置する人は大丈夫か」「2019年問題の対策」といった点まで網羅的に解説します。
固定買取期間終了後の売電価格に関する情報も掲載していますので、太陽光発電設置済みの人も、これから設置を考えている人も、この記事を読めば、今後どれぐらいの収入が得られるのか見通しがつくはずです。
ソーラーパートナーズでは太陽光発電をこれからご検討する方はもちろん、2019年問題対象者(卒FIT)の方向けに、蓄電池単体のご提案にも対応しています。
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2019年問題とは2019年に56万件の固定買取期間が満了すること
2015年2月19日 「太陽光発電の現状と展望」自由民主党 再生可能エネルギー普及拡大委員会での説明資料| JPEA 太陽光発電協会
2019年問題とは2019年11月以降、太陽光発電の固定価格買取期間が満了する人が出てくることを指しています。
「太陽光発電でつくった電気のうち、余った分を10年間同じ金額で買い取りますよ」という余剰電力買取制度が始まったのが2009年11月のことです。
2019年11月に制度開始からちょうど10年が経ちますので、このときに初めて、固定買取期間が満了する人が出てきます。
2019年に固定買取期間が満了する太陽光発電は56万件と非常に数が多いため、「2019年問題」という名称までついているのです。
ちなみに、固定価格買取制度はFITとも呼ばれており、この固定買取期間が満了することは「FITを卒業する」という意味で「卒FIT」とも呼ばれています。
新聞などで「卒FIT」という言葉を聞いたら、「固定買取期間満了後の話をしているんだな」と考えてください。
2019年問題が注目される理由
2009年当時の売電価格は48円/kWh
2019年に卒FITを迎える人が大勢いることは2009年に売電制度が始まった時からわかっていた事ですので、大騒ぎするほどのことではありません。
しかし「2019年問題」としてこれだけ注目されるのには訳があります。
その訳とは、2009年当時に太陽光発電を設置した人の売電価格が48円/kWhと非常に高額だったことです。
売電価格が高かった分、卒FIT後に売電価格が下がるインパクトが大きいのでこれだけの注目を集めています。
卒FIT後の売電価格は11円/kWhが目安
卒FIT後の売電価格は各電力会社が自由に設定することとなりますが、経産省は11円/kWhという金額を目安として設定しています。
2009年に太陽光発電を設置した人は売電価格48円/kWhから四分の一以下になるということです。
ちなみにこの11円/kWhという金額は電力卸市場価格の価格を基に設定されています。
11円/kWhという価格はあくまで目安ですので、実際の買取価格は各電力会社が決定することになりますが、既に10円/kWhでの買取を表明している新電力会社もあり、大きくずれることはないと思います。
売電価格11円/kWhで収入は10万円以上減少
売電価格が48円/kWhから11円/kWhに下がると、具体的にどれぐらい売電収入が少なくなるか見てみましょう。
5kWの太陽光発電を設置していると仮定してざっくりと計算してみます。
太陽光発電の年間発電量はおおよそ1kWhあたり、1,000kWhです。
つまり設置している太陽光発電が5kWだとすると、おおよそ年間の発電量は5,000kWhということです。
標準的な自家消費割合比率3割を自家消費に使用したとすると、売電できるのは3,500kWhという計算になりますね。
売電価格は48円から11円に下がると差額は37円です。
つまり、5kWの太陽光発電を設置していた場合、売電価格が48円から11円に下落すると、年間の売電収入は3,500kWh×37円=129,500円も減少してしまう計算になります。
これはかなりイタイですね。
2019年問題の「本質的な問題点」とは
56万件の卒FITが発生すること自体は本質的には問題ではない
いわゆる「2019年問題」がこれだけ注目されている理由は、「2019年に卒FITを迎える人が56万件と非常に多いこと」「卒FIT後に売電価格が大幅に下がること」です。
しかし、この2点は「2019年問題」の本質ではありません。
なぜなら、「2019年に卒FITを迎える人が56万件と非常に多いこと」も「卒FIT後に売電価格が大幅に下がること」も2009年当時から予めわかっていたことだからです。
2019年問題の本質的な問題 「売電価格が当初の想定より安くなる」
2019年問題の本質的な問題点、それは「卒FIT後の売電価格が11円/kWh程度になる」ということです。
なぜ、「卒FIT後の売電価格が11円/kWh程度になる」ということが2019年問題の本質的な問題点なのかというと、元々は卒FIT後の売電価格は24円/kWhが目安と想定されていたからです。
当然、太陽光発電を設置する人も、11年目以降は24円/kWhで電気を買い取ってもらえる前提で設置することを決めていました。
しかし、ある時点を境に「卒FIT後の売電価格は11円が目安」と変わってしまいました。
これは、当初の想定よりも得られる収入が少なくなるということを意味します。
この「卒FIT後の売電価格の想定が当初よりも安くなった」ということこそが「2019年問題の本質的な問題点」と考えるべきです。
2019年問題の影響を受ける人は
ここまでで2019年問題が注目される理由と本質的な問題点について説明してきました。
一度内容を振り返っておきましょう。
2019年問題が注目される理由
- 2019年に卒FITを迎える人が56万件と非常に多い
- 卒FIT後に売電価格が大幅に下がる
2019年問題の「本質的な問題点」
- 卒FIT後の売電価格の想定が当初よりも安くなった
では、ここまで説明した内容を踏まえて、「実際に2019年問題の影響を受けるのはどんな人か」について説明します。
2019年問題の本質的な問題は「ある時点を境に卒FIT後の売電価格の想定が24円から11円に変わったこと」と変わってしまったことです。
つまり、卒FIT後の売電価格を24円と想定していた時期に太陽光発電を設置していた人が「2019年問題の影響を受ける人」ということができます。
2016年度以降に契約→2019年問題の影響なし
ズバリ、卒FIT後の売電価格の想定が24円/kWhから11円/kWhに変わったタイミングは2016年度です。
2016年度以降は、経産省の資料の中でも、固定価格買取制度終了後の売電価格は11円/kWhという前提で諸々の決定がされています。
つまり2016年度以降に太陽光発電を設置する方は2019年問題とは無関係です。
これから太陽光発電を設置をする人も関係ありません。
2016年度以降に太陽光発電を設置している人は、業者に騙されてさえいなければ、卒FIT後の売電価格を11円/kWhと想定した収支シミュレーションを用意してもらっていると思います。
「11年目以降ももっと高い金額で売電できると思っていたのに!」ということにはならないはずです。
2015年度までに契約→2019年問題の影響あり
2015年度までに売電の契約をした方は2019年問題の影響があります。
2015年度までは経産省の資料で11年目以降の売電価格は24円/kWhと想定されていたからです。
当然、太陽光発電の業者はどこも11年目以降の売電価格を24円/kWhという想定で収支シミュレーションを作成していました。
つまり、2015年度までに契約をした方は「当初想定していたよりも11年目以降の売電収入が少なくなる」という意味で「2019年問題の影響がある」と言えます。
ただし、以下の条件に当てはまる場合には例外です。
2015年度までの契約でも2019年問題の影響を受けない条件
- 設置容量が10kW以上
- 2009年11月以前に契約している場合
条件1.容量が10kW以上の場合
2015年度までに契約していても、太陽光発電の容量が10kW以上であれば2019年問題は関係ありません。
なぜなら、10kW以上の場合、固定買取期間が20年ですので、卒FITを迎えるのはまだまだ先の話だからです。
(厳密には2012年7月以前に契約した場合には10kW以上も固定買取期間が10年間でしたが、あまりよい条件ではなかったため、ほとんど対象の方はいないと思います)
条件2.2009年11月以前に契約している場合
2009年11月以前に契約している方の場合、2019年11月に固定価格買取期間が終了し、売電価格が下がりますが、それでも2019年問題の対象者とすることには違和感があります。
なぜなら、2009年11月以前に契約している方は、そもそも今の余った電気を高く買い取るという制度を前提として設置していないはずだからです。
当時は現在の制度とは違うRPS法のもとでの売電でしたので、買電単価と同じ約24円でした。
その後2009年11月に余剰電力買取制度がスタートし、それ以前に設置されていた方も、幸運なことに10年間42円の売電単価に跳ね上がったという経緯があります。
仮に2019年11月から売電単価が11円に再度変更になったとしても購入した当初の24円がずっと続いていた時よりもメリットは大きくなります。
そのため、2019年11月以降に売電価格の下落することを嘆くよりも、むしろ2009年11月からの10年間、固定価格買取制度の対象となったことを喜ぶべきでしょう。
卒FIT後の選択肢は「自由・相対契約による売電」or「自家消費」
固定買取期間終了後の太陽光発電の利用方法は大きく「自由・相対契約による売電」と「自家消費」との2つの方向性に別れます。
卒FIT後の選択肢1.「自由・相対契約による売電」
固定買取期間中はほぼ100%に近い方が大手電力会社に売電していますが、固定買取期間終了後は大手電力会社への売電を継続する以外にも、新電力会社やメーカ―に売電するという選択肢も生まれます。
電気の買取価格も電力会社によって異なります。
大手電力会社が買取金額を発表
東京電力などの大手電力会社各社は、固定価格買取制度終了後も太陽光発電の電気を買い取る方針を表明しています。
買取価格は以下の通り発表されています。
北海道電力 |
8円/kWh等 買取電力量1kWhあたり1エネモポイントを進呈するプランもあり。 対象エリアは北海道(一部離島除く)。 |
---|---|
東北電力 |
9円/kWh等 エコキュートや蓄電池をリースするサービスや、電気を仮想的に東北電力が預かり、自宅や家族の電気使用量を差し引くサービスもあり 対象エリアは⻘森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県、新潟県および首都圏。 |
東京電力 |
8.5円/kWh等 仮想的に余剰電力を東京電力が預かり、他の時間帯にご使用したものとみなす「電気のお預かりプラン(仮称)」も提供予定。 対象エリアは栃木県、群馬県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都(一部除く)、神奈川県、山梨県、静岡県(富士川以東)。 |
中部電力 |
8円/kWh等 現金の代わりにamazonギフト券プレゼントや翌月の電気料金が削減できるプランもあり。 対象エリアは長野県、岐阜県、静岡県(一部を除く)、愛知県、三重県。首都圏エリアでの買取サービスは改めて公表予定 |
北陸電力 |
8円/kWh等 年間定額で一括支払いのプランや、他時間帯の購入電気料金の削減に使えるプランもあり。 対象エリアは富山県、石川県、福井県(一部を除く)、岐阜県。 |
関西電力 |
8円/kWh等 他時間帯の購入電気料金の削減に使えるプランもあり。 対象エリアは滋賀県、京都府、大阪府、奈良県、和歌山県、兵庫県(一部除く)、福井県(一部)、岐阜県(一部)、三重県(一部)。 |
中国電力 |
7.15円/kWh等 対象エリアは鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、兵庫県の一部、香川県の一部、愛媛県の一部。 |
四国電力 |
7円/kWh等 他時間帯の購入電気料金の削減に使えるプランもあり。 対象エリアは香川県(一部除く)、愛媛県(一部除く)、徳島県、高知県。 |
九州電力 |
7円/kWh等 他プランは現在詳細検討中との発表あり(6月24日現在) 対象エリアは福岡、佐賀、長崎、大分、熊本、宮崎、鹿児島県。 |
沖縄電力 |
7.5円/kWh等 対象エリアは沖縄県。 |
FIT制度の買取期間満了後の当社買取価格等について|北海道電力
ツナガルでんき|東北電力
「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」(FIT)による買取期間満了後の余剰電力買取りについて|東京電力
これからデンキ|中部電力
固定価格買取制度に基づく買取期間満了後の買取について|北陸電力
買取期間が終了する太陽光発電からの余剰電力買取について|関西電力
「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」による買取期間満了後の再生可能エネルギー電気の買取価格等について|中国電力
余剰電力の買取期間が満了したお客様に朗報!|四国電力
FIT制度の買取期間が満了する太陽光発電の買取プランを決定しました|九州電力
固定価格買取制度終了後の取り扱いについて|沖縄電力
新電力会社やメーカーに売電先を切り替え
新電力会社各社も固定価格買取期間終了後の太陽光発電の電気を買い取る方針を表明しています。
新電力会社の中には、買取価格を10円/kWhと発表している会社もあります。
また、太陽光発電メーカーのソーラーフロンティアも固定買取期間終了後の買取を表明しています。
ソーラーフロンティアの買取価格は九州エリアは7.5円/kWh、それ以外のエリアで8.5円kWhです。
卒FIT後の選択肢2.
「自家消費」
卒FIT後に売電よりもお得になるのが自家消費です。
当然、売電をする分の電力を自家消費すれば、売電価格下落の影響はありませんので、できるだけ自家消費量を増やしたほうがお得です。
自家消費量を増やす方法は以下の3つがあげられます。
自家消費量を増やす方法
- 蓄電地の導入
- エコキュートの活用
- 電気自動車への充電
それぞれ詳しく見てみましょう
自家消費量を増やす方法1.蓄電池の導入
2019年問題の対策として最も注目されているのが蓄電池です。
安い金額で売電するはずだった電気を蓄電池に貯めて、夜間などに使うことで電気代削減に役立てることができます。
また、2019年問題対象者は、太陽光発電を設置してから10年が経っていますので、パワコンの交換時期も近づいているはずです。
蓄電池を導入するときに太陽光発電と蓄電池のどちらにも対応したハイブリッドパワコンを導入することで、パワコン交換費用を浮かせることができます。
自家消費量を増やす方法2.エコキュートの活用
2019年問題の対策、2つ目は「エコキュートの活用」です。
具体的には、従来夜間に行っていたエコキュートの湯沸かしを、日中に太陽光発電の電気を使って行うように切り替えることです。
最新のエコキュートの中には太陽光発電での湯沸かしに対応している機種がいくつかあります。
一般的に給湯器の寿命はだいたい10年程度と言われていますので、寿命が近いのであれば太陽光発電の電気でお湯を沸かすことのできるエコキュートへの交換がおすすめです。
自家消費量を増やす方法3.V2H(電気自動車)
2019年問題の対策として最後に紹介するのが、V2Hです。
V2Hとは「Vehicle to Home」の略で、電気自動車に貯めた電気をご家庭送ることができる機器のことです。
V2Hによって、太陽光発電で作った電気を電気自動車に貯めておいて、移動に使わなかった分はご家庭で消費するといったことが可能になります。
電気自動車も太陽光発電も今後ますます普及していくと考えられますので、それに伴い、V2Hもどんどん一般的な存在になっていくと思います。
経済産業省も2019年問題特設サイト「どうする?ソーラー」を開設
経済産業省も2019年問題特設サイト「どうする?ソーラー」を開設し、2019年問題に関する情報を掲載しています。
ソーラーパートナーズでは「どうする?ソーラー」に書いてある内容の要点をわかりやすくまとめたページも作成しています。
「どうする?ソーラー」の内容でわからないところがあれば是非参考にしてみてください。
まとめ
「2019年問題」が直接的に関わってくるのは2015年以前に設置した人に限定されます。
2015年以前に太陽光発電を設置した人は、卒FIT後の売電価格が当初の想定より下がってしまいますので、蓄電池やエコキュート、V2Hなどの自家消費率を高める機器の導入を検討してみてください。
「2019年問題」はそのネーミングから「2019年に設置する人も関係があるのでは」と勘違いされることが多いですが、これから太陽光発電を設置する人にはまったく関係がありません。
また10年前に太陽光発電を設置した場合に比べて、今は設置費用も半額以下に下がっており、費用対効果が非常に良くなっています。
2020年には売電制度の抜本的な見直しを控えている状況で、売電価格が大幅に引き下げられる可能性もありますので、まさに今が太陽光発電を検討するベストなタイミングです。
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