2020年度 家庭用蓄電池に補助金追加公募! かんたん解説「災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金 追加公募」
この記事は2020年度の情報です。
最新の蓄電池の補助金情報についてはこちら。
蓄電池業界を賑わす驚きのニュースです。2020年04月07日(火)~2020年6月30日(火)に蓄電池補助金の追加公募を受け付けることが発表になりました。
「平成31年度『災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金』」の追加公募です。
この補助金、額が大きく、魅力的な内容ですが、公式な資料は内容が難しく、一般の方には理解するのは難しいのではないかと思います。
そこで、この記事では、2020年に復活した家庭用蓄電池の補助金の概要について、できる限りわかりやすく解説します。
蓄電池補助金の要点
まずは2020年に復活した蓄電池補助金「平成31年度『災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金』追加公募」について、要点をまとめます。
補助金の仕組みがかなりややこしいですが、まずは以下のポイントを頭に入れておいていただくと、すんなり理解できるかと思います。
対象 | 10kW未満の太陽光発電を設置済み、もしくは蓄電池と同時に設置する方 |
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予算 | 38.5億円(2019年度予算)の内数 |
補助額 |
容量などの条件により補助額は異なる。 8kWh蓄電池を総額125万円(工事費込み)で設置した場合の例では23.6万円※詳細な条件は後述します。 |
公募期間 |
2020年04月07日(火)~2020年6月30日(火) ※2020年4月7日時点で環境共創イニシアチブHPに「新型コロナウィルス感染症の対応状況等を踏まえ、延長等の措置が講じられる可能性があります。」との記載あり |
注意事項 | 補助金交付決定前の蓄電池の契約・発注はNG |
それでは細かい部分についても解説していきます。
補助金対象となる蓄電システムの条件
蓄電池とセットで10kW未満太陽光発電の設置は必須
家庭用蓄電池の補助金を受給するためには細かい条件がいくつかありますが、最も基本的な点は「10kW未満の太陽光発電の併設が必須」ということです。
設置している太陽光発電の容量が10kW以上の場合は対象外となります。
既に太陽光発電を設置している場合だけではなく、これから太陽光発電と蓄電池をセットで設置する方も対象です。
なぜ太陽光発電の設置が必須なのかというと、この補助金の目的が「太陽光発電と蓄電池を組み合わせて設置することで、災害時に電気を各ご家庭で確保できるようにする」ことだからです。
残念ですが集合住宅に住んでいるなどの事情から、蓄電池単体で設置を検討しているという場合には補助金対象外なので注意してください。
その他の条件はほとんど気にしないで大丈夫
太陽光発電を併設すること以外にも、蓄電システムが補助金の受給対象製品になるためにはいくつかの必要要件があります。
例えば、補助金の受給対象製品はメーカー無償保証期間及び、サイクル寿命が10年以上である必要があります。
(「サイクル寿命10年」を簡単に言うと、「10年使用したときの残存容量が60%以上」ということです。)
その他にもHEMS(ECHONET lite)規格を搭載していることなど、いくつかの条件がありますが、ほとんどの製品はクリアしている条件なのであまり気にする必要はないと思います。
ただし、太陽光発電と連携できないタイプの蓄電池は補助対象外となりますので、その点だけ注意してください。
当記事の公開時点では、まだ補助金対象機種として登録されていない製品も多いですが、続々と対象機種が増えてきています。今後も徐々に増えてくるものと考えらえれます。
蓄電池の容量に応じて補助金額が異なる
補助金の具体的な金額は以下の通りです。
災害時に活用可能な家庭用蓄電システム
導入促進事業費補助金 公募要領 追加公募版|環境共創イニシアチブ
蓄電池の補助金は蓄電池の容量によって補助額が異なりますので、大容量であればあるほど高額な補助金を受給できます。
しかし一点注意が必要なのは蓄電池の容量は蓄電容量ではなく「初期実効容量」で算出するという点です。
蓄電容量とは、最大でどれぐらいの電気を貯められるかを表している値です。
一方、初期実効容量は工場出荷時の蓄電システムの放電時に供給可能な出力容量を表しています。
基本的に、初期実効容量は蓄電容量よりも少なくなります。
例えば、シャープのクラウド蓄電システムJHーWBP41Eという機種の場合、蓄電容量は4.0kWhなのに対して、初期実効容量は3.4kWhです。
基本的に、メーカーのカタログには「蓄電容量」だけが表記されていますが、「実効容量」で補助額を計算する必要がありますので注意しましょう。
補助金の計算例
前提条件
- 家庭用蓄電システム販売価格:1,000,000円(蓄電容量8.0kWh 初期実効容量6.8kWh 15年保証)
家庭用蓄電システム工事費:250,000円- HEMS機器販売価格 120,000円 、工事費 50,000円
計算内容
- 蓄電容量8.0kWh×13.5万円=1,080,000円が目標価格となり、販売価格1,000,000円は目標価格以
下のため2019年度目標価格以下の補助額を適用- 家庭用蓄電システム設備費補助金額:初期実効容量6.8kWh×補助額20,000円=136,000円
- HEMS機器設備費補助金額: 120,000円×1/2=60,000円だが、上限50,000円を適用
- 工事費補助金額 :(250,000円+50,000円)×1/2=150,000円だが、上限50,000円を適用
- 136,000円+50,000円+50,000円=236,000円が補助金の額となる
補足:蓄電池補助金の追加公募は「災害対応型」のみ
少し話がややこしくなってしまうのですが、2020年に用意される蓄電池補助金は「災害対応型」のみとなっており、2019年度に補助金の増額対象となっていた「ネットワーク型」「周波数制御型」に対する補助はありません。
「ネットワーク型」「周波数制御型」はVPP実証事業に参加する設備のことです。VPPの説明を始めるとだいぶ長くなってしまいますし、2020年度の蓄電池補助金とは関係がないのでここでは割愛します。
「災害対応型」とは、災害時に太陽光発電でつくった電気を優先的に貯める設定に切り替えることができる、もしくは常にそのような設定にできる蓄電池のことを指しています。
太陽光発電でつくった電気を優先的に貯める設定のことを「グリーンモード」と言います。
災害時には「節電要請窓口」から「電力が不足していて節電してくださいね」といった連絡がきますので、その時にはグリーンモードに設定する必要があります。
ちなみに、要件の一つとして「遠隔でグリーンモードへの切り替えが行えること」と書かれていますが、補助金の執行団体である環境共創イニシアチブ(SII)に確認したところ、手動での切り替えであったとしても補助対象にはなるとのことです。
手動でのグリーンモードへの切り替えにはほとんどの機種が対応しています。
補助金対象となるためには設備費用に上限あり
災害時に活用可能な家庭用蓄電システム
導入促進事業費補助金 公募要領|環境共創イニシアチブ
補助金対象となるためには補助対象設備の設備費が設定された目標価格を下回っている必要があります。
これはわかりやすく言うと、「そもそもの設備費用を安くしないと補助金を出しませんよ」ということです。
何故安い設備にだけ補助金を支給するかというと、蓄電池の価格低減を推進して普及を進めるという目的があるからです。
目標価格は蓄電池の保証年数ごとに設定されており、設備費がその金額を下回ることが条件となります。
目標価格は2019年度と2018年度の2種類が設定されており、2019年度の目標価格を下回ることができなくても、2018年度の目標価格を下回れば補助金の半額が支給されます。
現在の蓄電池の相場価格を考えると、2019年度目標価格を下回ることのできる機種は限られます。
2018年度目標価格を下回り、半額の補助金を受給するというケースが多くなると考えられます。
ちなみに、この目標価格の算出においては、蓄電池の容量は「初期実効容量」ではなく「蓄電容量」で計算します。
ややこしいですが、「補助額は初期実効容量で計算」「目標価格(設備費用上限)は蓄電容量で計算」と、補助額と目標価格で容量の考え方が異なりますので注意してください。
また、公募要領には、この目標価格は設備費のみが対象と書かれています。
念のため補助金の執行団体である環境共創イニシアチブにも確認してみましたが、工事費は目標価格に含めないということです。
(HEMSの費用も目標価格には含まれません)
費用内訳のうち、工事費の割合を高くすれば補助金対象になる?
工事費は目標価格に含めないと聞くと、「それなら費用内訳のうち、工事費を高くして、設備費を安くすれば総額が高くても補助金対象になるのでは?」と思わないでしょうか。
この点についても環境共創イニシアチブに問い合わせたところ、
「工事費の上限は定めていないが、不適切に高い工事費を設定している場合には確認の連絡をする。工事費の算出に正当性がないと判断した場合には補助金は支給しない」という回答でした。
現在の相場価格から考えると、目標価格はかなり安いので、工事費をどれぐらい計上できるかは補助金受給ができるかどうかの分かれ目になるかもしれません。
補足:2018年度目標価格でも半額になるのは家庭用蓄電システム設備費分だけ
2019年度目標価格を下回らずに、2018年度目標価格だけを下回った場合に補助金額が半額になるのは「家庭用蓄電システム設備費分だけ」ということが環境共創イニシアチブの資料で明示されました。
工事代やHEMSについては補助金額は半額になりませんのでご安心ください。
補助金の公募は2020年4月7日~6月30日
2020年の蓄電池補助金の受付期間は以下の通りです。
- 2020年04月07日(火)~2020年6月30日(火)
また、2020年4月7日には、一般社団法人環境共創イニシアチブより、コロナウイルスの影響で、公募期間の延長等の措置をとる可能性があると発表がありましたので、締め切りは少し先になる可能性もありそうです。
補助金交付決定前の契約・発注はNGなので注意
補助金を需給するために一点気を付けなければならないのは「補助金交付決定前の契約・発注はNG」だという点です。
業者とは補助金交付決定前には仮契約や覚書などを交わすにとどめておき、交付決定してから本契約を結ぶ必要があります。
勇み足には注意しましょう。
まとめ 2020年の補助金は蓄電池検討者にとってはチャンス
当初は、2020年度には蓄電池の補助金は支給されないと考えていました。2020年概算要求に蓄電池補助金は含まれていなかったからです。
しかし、まさかの追加公募によって補助金が復活となりました。
仕組みのややこしい補助制度ですので、ご不明な点などございましたら、ソーラーパートナーズまでお気軽にご相談ください。
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参考:平成31年度「災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金」
追加公募について|一般社団法人環境共創イニシアチブ